不動産投資⑲危ないキャッシュフロー計算と見方…家賃下落率
不動産業者が作成したキャッシュフロー表で騙されないためには、前提となる条件項目をしっかりと確認することが大切です。
先日は表面利回りでしたが、本日はCFシミュレーションに入力する「家賃下落率」について考えてみましょう。
このブログでは参考とするシミュレーションとして、「株式会社ファーストロジック:楽待」が一般公開している「CFシミュレーション」を利用します。😍(ありがとうございます)
キャッシュフローの計算については「不動産投資⑯業者が作るキャッシュフローの計算に騙されるな」からご覧くださいね。
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家賃は必ず下がる
数年前にファイナンシャルプランナーであるJ塾長の元に、不動産投資の相談が舞い込みました。
それは友人からの紹介できた案件で、不動産投資を始めるにあたり「投資プランの確認をしてほしい」との依頼です。
依頼者はAさんとします。
Aさんは業者が主催する不動産セミナーを2社ほど受講して、そのなかの1社から物件を提案されており、判断を迫られている状況です。
業者からはいくつかの資料を渡されており、その資料が正しいのかが不安で相談したかったのです。
さっそくJ塾長は資料を確認しましたが、最初に目にとまったのが「年ごとの家賃の推移」でした。
Aさんが渡されたキャッシュフロー表のようなものには、購入から30年間のお金の流れが記載されていましたが、そこに書かれていいる「収入=家賃」がほとんど下がっていなかったのです。
つまり、新築で購入して30年間家賃がほぼ横ばいで、30年後の家賃下落率も「たった5%」でした。
「え~築30年のアパートが新築と変わらない家賃なんて」😣
「そんなアパートには住まないよ」😬
そうですね、アパートやマンションの築年数が経過すれば、家賃が下がるのは当たり前です。
家賃が同レベルなら、誰もが新しいアパートを選択するでしょう。
そしてJ塾長はAさんに答えました。
「Aさん、家賃が30年間で5%しか下落しないなんて…無理がありすぎです。」😎
家賃の下落率は年間0.8%~1.0%程度
総務省統計局が実施した「借家家賃の経年変化について-消費者物価指数における家賃の品質調整に関する調査研究」では、2017年の家賃下落率が非木造集合住宅で「0.828%」、木造集合住宅で「0.809%」でした。(総務省統計局)
「賃貸住宅は築年数が増えるごとに家賃が減っているのか~」🤔
そうです、RCであっても木造であっても、前年の家賃から平均0.8%程度、家賃が下落することを意味しています。😎
つまり、FCシミュレーションで入力する1年ごとの家賃下落率は平均で0.8%強、エリアによっては1.0%~1.5%程度は入力しなくてはなりません。
楽待のCFシミュレーションでも、物件情報を入力した後に現れる「条件変更」欄にある「収入」欄に「家賃下落率」がありますので、想定する家賃下落率を設定してくださいね。
家賃が上昇するエリアもある
賃貸住宅の家賃は年々下がることが多いのですが、反対に住宅不足から上昇するエリアも存在します。
東北大震災が発生したことで、震源の近県エリアでは移住した元被災者が賃貸住宅を求めて、物件不足が発生しました。
結果として家賃は高騰して築古物件でも新築並みの家賃設定がおこなわれたようです。
「そーか アパートが少ないと需要が増え、家賃は下がらないんだね」🤓
また東京都心や近畿の一部エリアでは、そもそも空き地が少ないことから新規の賃貸物件が増えず、結果として家賃の下落が起きない状況です。
「都心より郊外の方が家賃の下落がおきやすいんだね」🙄
そのとおり、購入する不動産の立地を考えて判断することが大切です😎
家賃の下落には限界がある
家賃の下落には限界があると言われています。
たとえば築28年のアパートと築35年のアパートの違いがわかりますか?
たしかに新築アパートと築20年のアパートでは大きな違いがありますが、一定程度下落するとそこから家賃がさらに下落することは少ないようです。
J塾長は築25年程度経過したアパートは、近隣に低家賃のライバル物件がない限り、家賃下落リスクを考慮する必要はないと思っています。
その意味ではキャッシュフロー表で意識するべき家賃下落率は築25年で20%~25%程度だと思います。
「つまり2割程度家賃が下がったら横ばい?」😏
そうですね、その程度の下落をイメージしてキャッシュフロー表を作成すると安心ですね。😎
ただし、近年ではアパートやマンションのが増加しているエリアが多く、人口に対して供給過多になっている状況があります。
そうなると将来的な家賃の暴落が発生する可能性が否定できません。
賃貸物件が供給過多になっているエリアでは、もっと厳しい家賃下落率が必要になることも考慮してください。
明日は「入居率」について紹介します。