不動産投資㉒実務編…キャッシュフロー表の作成をやってみよう
これまで不動産投資で重要なキャッシュフロー表の作成について解説しましたが、本日は今までの内容で実際のCFシミュレーションをおこないます。
今回のシミュレーションで使用するのは、「株式会社ファーストロジック:楽待」が一般公開している「CFシミュレーション」です。😍(ありがとうございます)
1回目からのキャッシュフローのブログは「不動産投資⑯業者が作るキャッシュフローの計算に騙されるな」からご覧くださいね。
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キャッシュフローを作成する物件
それでは楽待が公開しているCFシミュレーションを使って、実際に販売されている投資物件のシミュレーションをおこなってみましょう。
今回シミュレーションする投資用不動産は、大手の投資用不動産を扱う専門サイトに掲載されている物件です。
不動産の詳細情報は以下のとおりです。
- 価格:4,200万円
- 立地:埼玉県川口市
- アクセス:駅から徒歩5分
- 築年数:7年
- 建物面積:98.93㎡
- 敷地面積:82.49㎡
- 構造:木造2階建て
- 部屋数:5部屋
- 表面利回り:7.09%
- 満室時年収:297.78万円
東京の通勤圏である埼玉県川口市の1棟木造アパートで部屋数は5部屋、築年数は比較的新しい築7年の物件です。
写真を見たところ、築年数が少ないことから綺麗な物件です。
CFシミュレーションで物件情報を入力
それでは楽待CFシミュレーションの画面で、物件価格に「4,200万円」、表面利回りに「7.09%」を入力します。
つぎに物件構造は「木造」、築年数は「7年」、建物面積を「98.93㎡」と入力してください。
入力が終了すると自動的に上の写真のようなシミュレーション結果が表示されます。
しかし、この状態はまだすべての条件が入力されておらず、あくまで概算的なシミュレーションです
さらに条件を追加入力してシミュレーションの精度をあげます。
条件変更欄で条件を変更する
物件情報を入力した時点では、まだ正確な条件が設定されておらず、仮の数値が入力されています。
自分の条件に合った内容に変更しなくてはなりません。
まず自己資金を入力します。
今回は自己資金を物件価格の3割程度、「1,200万円」を用意したと仮定し、自己資金を「1,200万円」に変更します。
残金は融資を利用したと仮定し「オリックス銀行 不動産投資ローン」の金利を参考に、「2.6%」を金利に入力します。
ローン期間は耐用年数の残りを考えて「16年」を設定してください。
このアパートは川口市の住宅街に立地しており、駅からも近く入居率は90%程度で問題ありませんが、ライバル物件も多いエリアなので、余裕を見て「88%」で入力します。
購入条件の変更
購入条件では自動的に価格が設定されていますが、そのなかの建物価格を変更します。
建物価格が増加すると減価償却費が増えます。
今回の物件では土地面積が狭いことから、販売価格の30%を建物価格として「1,200万円」を建物価格に入力します。
次に収入欄で家賃下落率を1%に設定します。
最後に支出欄ですが、管理を業者に依頼するなら、管理費は「5%」、自己管理であれば「0%」に設定します。
今回は投資初心者用なので管理委託として「5%」を管理費に設定します。
修繕費は5%のままで問題ありません。
大規模修繕ですがこの物件は築7年なので3年後、13年後、23年後に大規模修繕を実施すると仮定します。
3年後に「50万円」、13年後に「150万円」、23年後に「150万円」を設定します。
これで入力は完了です。
CFシミュレーションの結果は?
それではシミュレーション結果を見てみましょう。
今回の物件は販売価格4,200万円ですが、諸経費等を入れると4,494万円が実際の購入に必要な金額です。
頭金を1,200万円用意しましたが、諸経費をいれて3,294万円の借入れが必要でした。
16年ローンで年間の返済額は268万円、さらに年間の経費として税金、管理費で76.2万円を年間支出します。
そしてそれらの条件でシミュレーションした結果が、上のグラフです。
投資初期から赤字が続きローンが完済する16年目から年間キャッシュフローは黒字になりますが、その時点で累計キャッシュフローは1,700万円以上の赤字です。
「16年目で累計1,700万円の赤字って…」😥
「それって投資なの?」😭
そうですね、怖い結果になりました。😎
ローン返済が終わる16年目からの年間キャッシュフローは黒字ですが、累計キャッシュフローが黒字になるのはなんと38年目です。
「ひえー38年かかって累計黒字なの?」😫
そうですね、はやりローンの返済が大きいことでなかなか黒字化できないことが問題ですね。
とくに13年目の大規模修繕をおこなう年は、年間キャッシュフローが260万円以上の赤字なので、大規模修繕費用もオーナーが自費で準備しなくてはなりません。
この投資は失敗する可能性が高い
CFシミュレーションの結果で判断するとこの物件による不動産投資はキャッシュが出ないことから、失敗する可能性が高いことが予想されます。
またローンの返済が終わる16年目からは、年間キャッシュフローは黒字化しますが、累計キャッシュフローが黒字になるのはなんと38年かかります。
売却による出口を探ってみても、累計キャッシュフローが大きいことから、アパートを売却して利益を得るのも少し難しいと思います。
これらのことからJ塾長ならこの不動産への投資はおこないません。😎キッパリ
このように不動産投資をおこなうには、自分で集めた情報を使用したキャッシュフロー表を作成することが大切です。
今回J塾長がおこなったシミュレーション結果は、このようになりましたが、きっと不動産業者が同じ物件をシミュレーションしたら、もっと違う結果(良い結果?)になっていたでしょう。
「どちらのシミュレーションが正しいのか?」
ではなく、
「どちらの入力情報が現実に合っているか?」
が大切だと思います。
次回はこのシミュレーション結果から、この物件を投資可能する可能性について考えてみます。