株主優待制度の廃止…株価への影響と投資判断

株主優待封筒

先日までは株主優待制度の導入・新設による株価への影響等について紹介しました。

 

実は毎年、株主優待制度を導入する企業がある一方、制度自体を廃止する企業が少なからずあります。

本日のブログでは株主優待を廃止した場合におこる株価への影響と投資判断について考えてみます。

 

株主優待制度については「株主優待制度の新設!その後の株価の行方と利回りの変動」からご覧ください。

株主優待制度の廃止

 

先日、ある人気優待株の優待制度が廃止されることが公表されました。

 その会社とは不動産デベロッパーの「タカラレーベン(8897)」で、人気優待銘柄としても有名な企業です。

廃止前の優待内容(年1回、3月末基準)

  • 100株以上   :  お米券1kg(400円相当)
  • 500株以上   :  お米券3kg(1,320円相当)
  • 1000株以上  :  お米券5kg(2,200円相当)

 

タカラレーベンは優待銘柄として人気で、投資初心者向けの雑誌等には「初心者おすすめ優待株」としてたびたび紹介されていました。

 

お米券は誰もが喜ぶ優待だね
FIRE(ファイア)でも利用できるし…

株式投資雑誌の「おすすめ銘柄」の常連だったので、そこそこ話題になったようです

今回の廃止はあくまで業績悪化ではなく、株主に対する公平な利益配分の観点から配当を高める方針へと転換したことが理由と説明されています。

つまり、利益に対する配当の割合である「配当性向を高める」ために株主優待を廃止するのです。

 

市場の反応はシビア

 

タカラレーベンチャート

 

タカラレーベンの発表では株主優待制度を廃止する代わりに配当性向を5ポイント上げて、30%~35%に引き上げるとしています。

ただし、前期の配当性向もすでに32%程度だったので、40%程度に上げないと計算が合わないと思います。

 

配当性向を上げても業績が悪化すると配当は少なくなるよ
なんとなく優待の負担をなくすために廃止したような…

真実はわかりませんが、市場の反応は実にシビアでタカラレーベンの株価は大きく売られることになりました

 

タカラレーベンの株価は優待廃止の翌営業日には、20円安、約6%もの下落となりました。

100株保有の株主で考えると20円の値下がりは2,000円の損失です。(20円×100株)

 

しかし、廃止になった優待は100株で400円相当のお米券ですから、廃止の実害より1,600円も大きく売られたことになります。

それだけ株主にとってはショックだったのでしょう

 

100株株主が多い優待銘柄は廃止よる影響が大きい

 

株主優待を目当てにする投資家は、効率よく優待品を得るために、投資額をおさえた投資を好みます。

また企業のなかには株主数を増やすことを目的に、最低単元が有利になる優待制度を設けることもあります。

 

なんで保有単元株が少ない株主をふやしたいの?

色々な説がありますが、M&Aや株主総会対策として考えている企業もあるようです

 

このような企業では100株の最低単元株を持つ個人投資家が多く集まり、結果として彼らの目的はあくまで優待品のみです。

 

わかった
優待品目的だから廃止になったら、株を保有する必要がなくなるんだ

むーちゃん よくわかったね

彼らは優待品が目的なので、優待制度が廃止されたら、株を売却して他の優待銘柄に移ることが多いようです

それじゃ 100株株主が多い銘柄は、優待廃止で売りが多く出る可能性が…

さすがだね、べっちゃん

タカラレーベンでも配当利回りは4%以上もあるのに大きく売られました
これは100株株主が売却したことが理由かもしれません。

 

株主優待廃止でも株価に影響されない銘柄もある

 

株主優待が廃止されても株価に影響を与えない場合もあります。

たとえば優待廃止に見合う増配などがある銘柄では、株価は下落せずに維持~上昇するでしょう。

 

反対に配当金の増配ではなく、配当性向を高めるなどの内容では、市場はシビアな反応を見せることが多くなります。

 

優待廃止に対して明確な対案を提示することが大切なんだね

最近では廃止にあたり、株主の公平性を理由にする企業が多いのですが、なんとなく言い訳にも聞こえますね

 

また近年では株主優待制度を設けて1年~2年程度で廃止する企業も出ています。

もはや詐欺だぁ

株主優待が新設されたからと言って業績を確認しないと、直ぐに廃止になる可能性があるのでしっかり見極めることが大切です

 

新設された株主優待に飛びついて数年で廃止、株価暴落にならないように投資判断は十分調査しておこなってください。

 

明日は株主優待制度の改悪についてJ塾長の経験も含めて紹介します。

優待株