株主優待制度を変更・改悪すると株価への影響は?

チェンジ

これまで株主優待制度の内容や新設・廃止時における株価の動きなどを紹介してきましたが、本日は株主優待制度の見直し(変更)による改悪について考えてみます。

 

近年、株主優待制度を導入する企業が増えていますが、制度の見直し(変更)をおこなうことも多くなっています。

 

本日は株主優待制度を改悪することで株価に与える影響を考えてみます。

 

株主優待制度についてのブログは「株主優待制度の新設!その後の株価の行方と利回りの変動」からご覧ください。

 

株主優待制度の見直し(変更)に注意

株主優待制度の見直しには2種類あります。

 

  1. 拡充
  2. 改悪

 

拡充は制度の見直しにより、さらに充実した優待になるなることで、株主にとっては増配と同じくらい嬉しいものです。

また優待の拡充により注目され新たな投資家も増えることから、買いが集まり株価は上昇します。

 

しかし改悪は制度自体の廃止は免れても、今までより見劣りする優待制度となり、株主の落胆は大きくなるでしょう。

そのため、落胆した株主は株式を売却し株価は下落します。

 

つまり、株主優待制度の拡充は株価上昇の要因であり、改悪は株価を引き下げる原因です。

 

なかには株主優待制度を新設して数年で、優待制度の改悪をおこなう企業があるので、優待新設銘柄については決算などを確認して優待を維持できる体力があるかを確認することが重要です。

 

優待改悪で株価が下落

 

ヴィアチャート
(Yahoo!ファイナンス ヴィアホールディングスチャート)

 

東証1部上場の「ヴィア・ホールディングス(7918)」は、2021年3月3日に株主優待制度の変更を発表しました。

ヴィア・ホールディングスは関東圏を中心に飲食業を展開する外食企業で、やきとりチェーンの「扇屋」などが有名です。

 

実はJ塾長も数年前まで ヴィア・ホールディングスの株主であり、当時は人気優待銘柄として有名な企業でした。

J塾長が保有していた4年前の株価は約1,100円程度で、優待は飲食代金に利用できる食事券でした。

 

ときどき焼き鳥を食べにいってたよね

昔は半年で7,500円くらいの食事券をもらっていました
優待の利用制限もなくメニューも豊富で美味しかったね

  

しかし、2017年に優待の改悪により食事券を廃止し、1,000円の飲食代金ごとに500円利用できる割引券に変更されました。

J塾長は改悪される前に嫌な予感がしたことから全株売却したのですが、優待の改悪と業績悪化から最近の株価は300円の水準まで下落していました。

 

えー4年間で株価が1/4になったの

 

そうだね
ヴィア・ホールディングスは、業績悪化と優待の改悪もあり下落を続けています

 

今年に入ってコロナ危機もワクチンの目途がたったことから、株価も300円を目指して上昇を始めた3月に更なる改悪が発表されました。

 

優待がさらに改悪へ

 

今年3月に発表された変更点は1,000円の食事代ごとに500円利用できる割引券が、半額の250円に減額されることです。

さらに今まで年に2回の優待でしたが年1回に変更され、テイクアウトの利用も不可になりました。

 

これはお手本とおりの改悪だぁ

株価はどうなったの?

 

現在の株価は上昇するきっかけを失い、180円程度の水準にあります
ただし ヴィア・ホールディングスの現状は業績が主要因であり、優待改悪だけが原因ではありません。

 

 なぜ ヴィア・ホールディングスは優待制度を廃止しないのか?

 

債務超過である ヴィア・ホールディングスは、経営が苦しいにもかかわらずなぜ優待制度を廃止しないのでしょうか?

その理由として考えられるのは、株価対策だと思います。

 

なにっ
優待改悪は株価下落要因なので株価対策にはならないよ

そうですが、この経営状態でも株価が180円で維持されている理由は、改悪してでも優待制度を維持していることが最大の要因です。

 

本来債務超過で赤字の ヴィア・ホールディングスに投資する意味はなく、企業価値も見いだせません。

しかし、優待制度を維持することで、かろうじて投資家を集め、株価も180円水準に維持できています。

 

上場企業にとって株価を維持することは、会社の資産価値(企業価値)を守る意味でも重要です。

 

ヴィア・ホールディングスの復活を期待したいですね。

 

債務超過でも優待で株価を維持できる

 

ワイズテーブルチャート
(yahoo!ファイナンス ワイズテーブルコーポレーション チャート)

ワイズテーブルコーポレーション(2798)」は、高級イタリアンレストラン「XEX」などを手掛ける外食企業ですが、コロナの影響による業績悪化で債務超過状態にあります。

 

また上場廃止の可能性もある企業で、FIRE(ファイア)の投資対象としては難しい銘柄です。

 

ワイズも昔、持っていたような…

そうだね
ワイズテーブルも過去に保有していた銘柄ですが、債務超過の噂が流れた時点で売却しました

 

ワイズテーブルの優待制度は年2回、100株以上の株主に対して5,000円の食事券が貰えるものです。

ワイズテーブルが手掛けるレストランは、質のよいイタリアンを提供するものばかりで、J塾長もお気に入りでした。

 

業績悪化や債務超過でワイズも株価が数百円になったの?

いいえ、ワイズの株価は現在でも1,900円程度を推移しており、ヴィアのような下落は起きていません

そして、その理由が優待制度を改悪していないことだと思います

 

ワイズテーブルは業績が悪化しても株主優待制度の見直しを行っていません。

そのため赤字であるにもかかわらず、単元株主は半年ごとに5,000円の食事券を貰えます。

年間で1万円の食事券ですから、優待利回りは大台の5.2%です。(株価1,900円として)

 

債務超過で赤字なのに5.2%の利回りなんてwww

優待が維持されている間は株価の暴落はおこらないかもしれませんね

反対に優待の廃止や見直しがあった場合は、ヴィアと同じ状況まで落ちる可能があります

予想できないので少し怖いですね

 

ワイズテーブルの決算書をみると優待制度を維持するための引当金として約6,000万円が充てらており、債務超過の現状で重い負担になっているはずです。

 

しかし、ワイズ経営陣は無理にでも優待を維持し、株価を下げずに企業価値を守る判断をおこなっているのだと推測します。

 

それでも現状では新規の買いは…難しいですね

 

優待で投資を判断するのは危険

 

ワイズにように業績が悪化していても魅力ある優待があれば、株価が維持されることがあります。

しかしいくら優待がよくても、業績が悪化していれば最終的には、上場廃止や倒産による損失を出すかもしれません。

ワイズも株価は維持されていますが出来高が少なく、取引が限定されているように感じます。

 

FIRE(ファイア)の不労所得では安定した収入を得ることが目的ですから、優待利回りだけに注目しないであくまで業績で判断してください。

また優待の改悪は株価下落のサインですから、改悪の情報が入ったら売却を検討することも大切です。

 

明日は株主優待品をFIRE(ファイア)生活費に流用する方法を紹介します。

優待株