【株主優待券の偽造問題】リスクの高い銘柄の見つけ方

大江戸温泉物語トップ
(引用:大江戸温泉物語HP)

大江戸温泉リート投資法人(3472)」が、投資主優待制度の廃止を発表しました。

 

大江戸温泉リートは「大江戸温泉物語グループ」が運営する温泉施設への投資をおこなっており、現在14施設の温浴施設やホテル等を保有しています。

 

2021年7月20日に発表された「 投資主優待制度の廃止に関するお知らせ」には、2021年5月31日の基準日をもって株主優待制度を廃止することが掲載されています。

株主(投資主)優待制度は会社の業績により改悪や廃止になることは、先日のブログでも紹介してきました。

しかし、今回の大江戸温泉リートの廃止は、業績悪化が主要因ではありません。

 

今回廃止を決定した理由は偽造優待券の流通が見つかったことによる措置です。

 

本日は株主優待券の偽造と偽造リスクの高い銘柄の見つけ方について考えてみます。

 

株主優待制度の廃止についてのブログは「株主優待制度の廃止…株価への影響と投資判断」からご覧ください。

 

大江戸温泉物語の偽造優待券が急増していた

 

J塾長も大変驚いたのですが、大江戸温泉リートの説明を見ると、投資主優待券として配布していた大江戸温泉物語の偽造利用券が確認されただけでなく、急増している事実があったようです。

 

大江戸温泉リートの優待制度は以下の内容です。

 

  • 5口から10口未満    施設利用券1,000円
  • 10口以上       施設利用券2,000円

 

優待券の偽造品が多く確認されたことで、今年の5月末の基準日を最後に優待制度自体が廃止されました。

 

優待券の偽造は犯罪行為だね。
今までも同じようなことがあったの?

 

そうですね、いままでも優待券の偽造はありましたが、これは偽造有価証券に該当する犯罪です。

しかしこれまでは個人的な不正が多かったのですが、今回の大江戸温泉リートは組織的な犯行が疑われています。

どちらにしても優待制度の廃止は残念ですね。

  

あれっ
J塾長もこのリート持っていたよね。

 

ドキッ

そうそうJ塾長も保有していますが、実は4口しか持っておらず、もともと優待の対象ではありませんでした。
また廃止による投資口価格の影響も少なかったのでホッとしています。

 

株主優待券の偽造で中国籍の女性が逮捕 

 

くら寿司IR
(引用:くら寿司株式会社HP)

 

2021年7月15日のYahoo!ニュースに、株主優待券の偽造で中国籍の女性らが逮捕されたことが報道されています。

(引用:「偽造回転すし優待券出品、中国籍女ら逮捕 詐欺容疑で岡山県警、フリマサイトに」山陽新聞)

 

この記事を読むと中国籍の女性らが回転すしを展開する企業の偽造株主優待券を輸入し、フリマサイトで販売、不当な利益を得ていた容疑が持たれています。

 

このニュースを受けてJ塾長なりに検索した結果、ある回転すしチェーンのIRが見つかりました。

 

回転すしチェーンで有名な「くら寿司」です。

  

くら寿司株式会社の2021年4月20日付けのIRニュースには、株主優待券の一時使用停止が告示されています。

 

この措置の理由は偽造優待券がインターネット上で販売されていることが確認されたことの対応でした。

(くら寿司株式会社:「弊社「株主ご優待券」の一時使用停止について」)

 

くら寿司は全株主に対して株主優待券の交換をおこなうと共に、偽造有価証券として警察への告発をおこなっています。

 

これらのことから、今回山陽新聞で報道された中国国籍の女性の容疑である偽造優待券は、くら寿司の優待券であるとJ塾長は推測しています。

 

優待券を返却して交換するんだね。
くら寿司にとってもけっこう大変な作業だ。

  

くら寿司は着払いで優待券を回収するので、その配送費用もかかります。

またネットの口コミでは、返却された優待券は500円分が加算されていたようです。
この神対応はくら寿司の企業価値を高める効果がありますね。

しかし、この記事で注目するのが、偽造優待券は中国から不正に輸入していることです。

つまり個人が簡素にコピーしたものではなく、中国で組織的に作られているスーパー偽造品である可能性が高く、優待市場を混乱させる要因になるかもしれません。

株主優待を実施する企業はこれから、中国からの「スーパー偽造優待券対策」をおこなう必要性に迫られるでしょう。

 

株主優待品の転売が難しくなる

 

先日公開したブログ「【株主優待の現金化】FIREで活用するには現金化する方法も」では、FIRE(ファイア)における現金収入として優待品の売却について触れました。

一定の商品券や食事券などをフリマサイトで売却することで、FIRE(ファイア)生活費用としての収入が得られますが、今回の偽造問題が深刻化することで、優待券の売却ができなくなる事態も考えらえます。

 

そーかぁ
これからは企業も偽造防止のために転売を禁止したり、フリマサイトも取り扱いを制限する可能性があるんだね。

  

現状でも転売ができないようにポイント制を導入する企業もありますが、転売抑制の動きはこれからも加速すると思います。

 

FIREの株主優待で注意することは偽造リスク

 

日本にはさまざまな株主優待券がありますが、なかには簡単にコピーできる優待券はたくさんあります。

 

たとえば「株主通信」や「決算報告書」に印刷されている優待券は、自宅のプリンターでもコピーは可能です。

これらの優待券の多くは現金的な価値は少なく、その意味で組織的な偽造リスクは心配しなくてもよさそうです。

 

しかし、なかには金券的な食事券にも関わらず、簡素な印刷で済ませている企業もあります。

このような優待券は将来的に偽造問題が発生する可能性があり、将来的な優待廃止の可能性も考慮しなくてはなりません。

 

でもどうやって優待券を見極めるの?

 

 

かんたんな方法としては、ヤフオクやメルカリの画面で該当する優待券を検索して、実際の画像を確認する方法が簡単ですね。

また、質問欄などで「これは本物ですか?」などの問い合わせがある優待券は、偽造品が出回っている可能性があります。

J塾長のおすすめは「すかいらーく」のようにプリペイドカードになっている優待券です。
プリペイドカードの優待券は、QUOカードと同じく偽造は難しい思います。

また航空会社の優待チケットなども偽造できない仕組みですね。

 

さらに、一般的な商品券のように優待券に「ホログラム」を入れている企業もあるので、このような優待券は偽造が難しく将来的な偽造リスクも少ないと考えます。

 

最近では「コロワイド」や「コメダ珈琲」のように、株主カードによるポイント制の優待を実施している企業も多くなってきました。

株主カードによる優待は偽造は難しいのですが、会員カードを販売できないことから現金化は難しくなります。

これらの銘柄はFIRE(ファイア)生活のなかで、楽しんで使用した方がよいでしょう。

優待株