【FIRE後の生活】国民健康保険には地域の負担差がある

健康保険

先日のブログではFIRE(ファイア)を始めてからの国民健康保険について紹介しました。

とくに所得が多いサラリーマンを辞めた翌年は、国民健康保険税(国民健康保険料)が高額になる可能性が高く、FIREの生活費を圧迫するかもしれません。

 

しかし、国民健康保険の問題はこれだけではありません。

実は平等と思われている国民健康保険は、住む地域によって保険料に違いがあります。

 

国民健康保険って公的な保険だよね?
だったら日本全国一律じゃないとおかしくない?

 

べっちゃんの疑問ももっともですが、現実は少し違います。

本日のブログは国民健康保険税の地域差について紹介します。

 

国民健康保険とFIRE(ファイア)については「【FIRE後の生活】国民健康保険料を甘く見てはいけない」をご覧ください。

 

国民健康保険制度の改革

国民健康保険は設立以来、市町村における運営が原則でした。

市町村で運営することから自治体の財政による影響が大きく、国民健康保険においても自治体の財政状況により保険税額(保険料)に大きな違いがあったのです。

 

そこで国は2018年4月に国民健康保険制度を大幅に改革し、市町村町の運営から県単位の運営に移したのです。

 

それまでは市町村で運営していた国民健康保険が、県に移管したら良いことがあるの?

今まで同じ県であっても、財政の豊かな市町村は国民健康保険税が安く、財政が厳しい市町村は高額になっていました。
そこで不平等をなくす意味で県単位の運用にすることで、県内平等の保険サービスを目指します。

 

2018年に国民健康保険ほ運営が県単位になりましたが、実際にはすべての業務が県に移管されたのではなく、今までとおり一部の業務は市町村がおこないます。

また現在でも国民健康保険税の地域差は残っており、少しづつ解消する予定です。

 

目的は保険税の統一でしょう?
なんで早くやらないの?

国民健康保険は財政難が続いており、一気に保険税の統一を行うと、値上げが必要な加入者が増加し、急激な負担増が想定されます。
そうならないように少しづつ保険税の統一をおこなっているようですね。

国民健康保険税の地域差を考えてFIRE先を決める

県別保険料指数
(引用:厚生労働省 都道府県別保険料指数)

FIRE(ファイア)生活に入ると、国民健康保険税の負担が生活費としてかかってきます。

そこで生活費を安くする対策として、国民健康保険税の安い自治体で暮らすのも良い選択かもしれません。

 

それでは厚生労働省が作成した「平成29年度市町村国民健康保険における保険料の地域差分析」を参考に国民健康保険の地域差を見てみましょう。(このデータはあくまで平成29年度のもので、現在との差異があるかもしれません。)

■2017年国民健康保険 標準化指数 都道府県単位

【国民健康保険税が高い県】

  1. 徳島県 :1.243
  2. 佐賀県 :1.221
  3. 山形県 :1.217

【国民健康保険税が安い県】

  1. 埼玉県 :0.875
  2. 神奈川県 :0.885
  3. 愛知県 :0.905

標準化指数は国民健康保険税の全国平均を1として指数化したもので、徳島県は全国平近より24%高く、埼玉県は12%安いと考えてください。

 

じゃーFIRE(ファイア)で住むなら埼玉県が狙い目だね。

いやいやあくまでこれは県の平均なので、市町村ではもっと大きな開きがあります。

たとえば埼玉県でも本庄市は0.970で小鹿野町は0.625です。
つまり埼玉県でも住む自治体により3割以上国民健康保険税に違いが出ます。

最も国民健康保険税が安い市町村は?

■2017年国民健康保険 標準化指数 市町村単位

【国民健康保険税が高い市町村】

  1. 北海道天塩町 :1.629
  2. 徳島県阿波市 :1.519
  3. 沖縄県多良間氏 :1.510

【国民健康保険税が安い市町村】

  1. 東京都御蔵島村 :0.480
  2. 北海道幌内町 :0.531
  3. 長野県根羽村 :0.536

 

えー一番高い北海道の天塩町と東京都の御蔵島村の差が約3.4倍あるよ。

これが国民健康保険税の不平等の問題です。
御蔵島村の住民も天塩町の住民も医療費の負担は同じく3割負担です。
しかし支払う保険税は1/3程度ですね。

反対にFIRE(ファイア)生活を始めるなら国民健康保険が安い地域が魅力ですね。

 

たとえば標準的な国民健康保険税が1人年間10万円と仮定した場合、天塩町では16.2万円、御蔵島村なら4.8万円です。

本当に1/3も違うんだね。

国民健康保険税の違いが大きい県のはどこ?

つぎに各県内における国民健康保険税の価格差をみてみましょう。

 

■2017年国民健康保険 標準化指数 都道府県の最小最大差

【国民健康保険税の価格差が多い都道府県】

  1. 北海道 :3.1倍
  2. 沖縄県 :2.7倍
  3. 長野県 :2.2倍

【国民健康保険 税の価格差が少ない都道府県】

  1. 香川県、茨城県 :1.2倍
  2. 栃木県、千葉県、新潟県、富山県、滋賀県、大阪府、山口県、佐賀県 :1.3倍
  3. 神奈川県、静岡県、鳥取県、岡山県、広島県、長崎県 :1.4倍

香川県や茨城県では市町村による国民健康保険税の価格差が1.2倍なので、同じ県内であっても住む自治体で最大2割の違いがあります。

反対に北海道では3.1倍の違いが自治体間であるので、FIRE(ファイア)で北海道に移住する際には国民健康保険税を調べてから判断してください。

近い将来は県単位で統一料金になる

現状の国民健康保険は県と市町村が合同で運用している状態であり、いまだ保険税額にも地域差が見られます。

しかし2024年以降をめどに国民健康保険税の統一化を目標にしている県もあることから、近い将来には県単位での保険料設定が進むことが想定されます。

ただしあくまでそれは県単位であり、統一されても県の財政により保険税の差はでることが予想されるので、FIRE(ファイア)先を決める場合は比較するなどのに対応をおこなうことが大切です。

 

※今回使用した統計はあくまで国民健康保険が改定された2017年のデータであり、最新ではなりません。

※最新の保険税額についてはネット上には各自治体の国民健康保険シミュレーションや、「国民健康保険計算機」などが無料提供されているので、それらを活用して計算してください。

FIRE関連