【量的緩和は年内維持】FRB議長テーパリングは年後半に?
8月27日、アメリカ経済の見通しを予想する上で重要な「ジャクソンホール会議(米年次経済シンポジウム)」が開かれ、米FRB(米連保準備理事会)のパウエル議長が講演をおこないました。
この会議は米国の経済動向を見るためにも注目されており、内容により株式市場の混乱も考えられましたが、実際には内容は好感され米国市場の株はのきなみ上昇しました。
本日のブログは投資初心者向けに、ジャクソンホール会議の内容がなぜ株価につながるのかを簡単に説明します。
米国経済についてのブログは「アメリカ6月雇用統計が予想以上の伸び!株式市場に与える影響」などをご覧ください。
パウエル議長の講演が株価上昇の理由
ジャクソンホール会議では米連保準備委員会(FRB)のパウエル議長が講演をおこなうので、世界中のエコノミストが内容に注目していました。
FRBってなに?
アメリカの中央銀行で、日本の日本銀行と同じだと思ってください。
つまりパウエル議長は日本の日銀総裁と同じ立場ですね。
コロナ禍における開催であることからオンラインで講演をおこなったパウエル議長は、「テーパリングの時期は年内が適切」だと述べています。
(参考:「米国株、S&P500とナスダックが最高値 FRB議長講演で安心感」 ロイター)
今までFRBの委員からは、早期のテーパリング開始が示唆されてきましたが、パウエル議長は慎重な姿勢をとってきました。
しかし、はじめてパウエル議長からテーパリングの年内開始が示唆されたことで、現実味を一段と増しています。
でも量的緩和を縮小させるテーパリングが始まると株価は下がるのでは?
そうですね。
しかし近い将来、テーパリングが開始されることはもはや避けられない事実なので、株式市場はすでに織り込み済みで動いています。
またパウエル議長は講演で具体的な時期を明言せず、さらに「まだしばらくは市場を注視する」などの発言から、テーパリングの開始は年後半になるとの安心感も生まれたようです。
アメリカでは金融緩和(量的緩和)の縮小などの経済政策は、FOMC(連邦市場公開委員会)で決定するのが通例です。
FOMCの開催スケジュールは決まっており、次回が9月でその次が11月です。
今回、パウエル議長が具体的なテーパリングの時期を明言しなかったことから、9月のFOMCで量的緩和が決定されることはないと市場は判断したようです。
つまりテーパリングを実施するなら11月…と安心感が広がり株価が上昇した模様ですね。
また報道をみるとテーパリングにおける量的緩和の問題と長期金利の問題は別で、テーパリングを実施したことが金利上昇を認めたことでないとの考えもあるようです。
9月の次は11月…
予定がバレているのかな?
でも、それによって市場に事前準備をさせる猶予を与える効果もあります。
とくにコロナ禍にFRBはサプライズを好んでおらず、穏やかな経済対策をこれからもおこなうと思います。
アメリカではこのように要人の講演やインタヴューで、政策を事前に「示唆」することが多く、市場はその意味を読み解いて対応をとることが多いようです。
まるで映画やゲームみたいですね。
テーパリングってなに?
先ほどから何回も出ているテーパリングですが、「量的緩和を減らす政策」のことです。
たとえば国の経済状況が悪化すると、中央銀行は長期金利を引き下げてお金を借りやすくして、市場に資金を提供します。
しかし金利下げても資金が市場に回らず経済が回復しない、もしくは金利を引き下げる余地がなくなっている場合には、市場に資金を注入させるために「国債などの買上げ」、「住宅ローン証券(不動産担保証券)の買上げ」などの「量的緩和政策」を実施します。
日本で説明すると日本銀行が銀行が保有する国債などの債券、証券類を買取ることで銀行に資金を注入し、市場でお金を借りやすい状況を作り出す政策です。
量的緩和政策の効果が出ると経済は上向きインフレに傾向になります。
また失業率も改善され目的は達成されることから、量的緩和政策を徐々に縮小させなくてはなりません。
このことを「テーパリング(量的緩和の縮小)」と呼びます。
テーパリングをおこなわないとどうなるの?
きちんと見極めてテーパリングを実施しないと「急激なインフレ」や、いわゆる「バブル経済」が起こると考えられています。
ドンドンお金を借りて資産を買う…このような借金だらけの危険な経済が生まれるかもしれませんね。
テーパリングと株価の関係はどう?
実はテーパリング実施は株価にとっては悪材料です。
つまりテーパリングの実施は、資金量を減らし株式投資の資金量が少なくなります。
またテーパリングと同時に金利も上昇することから、株式を売って債券を買う流れが始まります。
でも今回はテーパリングを示唆したけど株価はあがったよ?
アメリカでは年内にテーパリングが始まることは織り込み済みでした。
パウエル議長以外のFRB委員がこれまで何回もインタヴューで、テーパリングに触れていたからです。
つまり今回好感されたのはテーパリングの有無ではなく、11月のFOMCで決定されるとの憶測からだとJ塾長は考えています。
また現実的には11月に発表されても、織り込み済みとして株価に大きな悪影響はでないかもしれませんね。
今回のジャクソンホール会議の影響を簡単にまとめてみましたが、皆んさんはどのように考えますか?
アメリカ要人の発言がさまざまな憶測を呼びます。
今回のブログはあくまでJ塾長の感じ方なので、あくまで参考程度に受け取ってください。