【配当利回り7倍超】明和産業の増配はプライム対策

空

三菱商事系列の化学品商社である「明和産業(8103)」が8月31日に「配当予想の修正にに関するお知らせ」を公表しました。

 

明和産業の今期の配当予想は1株当たり「合計22円」でしたが、それを大幅に…いや超大幅に上回る「115円」と5倍以上増配に修正しました。

 

えっ年間配当の予想が22円だったのに、115円に修正されたの?
凄い!!

実績で見ると前期の配当は年間15円でした。
前期比で比較すると7.6倍に増額される計算ですね。

 

本日のブログは明和産業の増配に関して注意点などを考えてみます。

 

増配株に関する話題は「【連続増配株とFIRE】長期の株式投資は増配銘柄がおすすめ」などをご覧ください。

超増配の理由はなに?

明和産業チャート
(SBI証券 明和産業 チャート)

明和産業の増配は市場に大きなインパクトを起こしており、発表後連続でストップ高を連騰しています。

株価は1株約460円から2営業日で647円、さらに3営業日の9月3日現在もストップ高で「1047円」です。

増配を公表して3営業日で株価が2倍以上になったの?

そうですね。
週明けの9月4日も上昇する可能性が高いので、どこまで高騰するか注目ですね。

 

明和産業のIRを見ると、今回の増配の目的は「東証のプライム市場に移行するため」と記載されています。

 

東証は来年市場を再編し、あらたにプライム、スタンダード、グロースの3市場を作ります。

プライムの上場基準は現在の東証1部よりも厳しく、現在東証1部銘柄であってもプライム落ちする銘柄が一定数出ることが予想されます。

 

明和産業も東証が実施した一次判定で、プライムの基準に達していない項目があり、このままではプライム落ちとなり、スタンダード市場への上場となります。

(参考:新市場区分における上場維持基準への適合状況に関する一次判定結果とプライム市場基準充足への取り組みについて:明和産業株式会社)

盟和産業はこのままだとプライム市場に移行できないんだね。

東証の審査項目のなかで「流通株式時価総額」だけが基準に達していませんでした。

そこで流通株式時価増額を上げる対策として、大幅な増配を実施して株価を上昇させる計画です。

115円配当の内訳

115円の配当は株価が1,047円であっても、配当利回りが11%程度なのでFIRE(ファイア)銘柄としても魅力的です。

しかし、今回の増配と同時に発表された明和産業の「業績予想の修正に関するお知らせ」を見ると、1株当たりの当期純利益の予想は「47.89円」です。

つまり1株あたりの利益は約48円の予想ですが、115円の配当を出すことがわかります。

 

48円の利益しか出ないのなら、配当も48円以内でないと…
足りない部分はどこから出るの?

本来、配当は1株あたりの純利益の範囲で出されますが、今回のケースでは内部留保を切り崩して支払われる予定です。

 

明和産業の決算報告書を見ると利益剰余金(内部留保)が238億円もあり、そこから50億円程度を配当として拠出すると思われます。

利益剰余金の約20%が支払われるだけなので、経営や業績に大きな影響は与えないと思いますが、あくまで貯えを放出する増配だと理解してください。

 

超増配は今回だけ?

今回の配当はあくまで来年のプライム市場への移籍を目的とした一時的な措置ですが、明和産業は来年以降も配当性向50%を維持することを明言しています。

しかし、今回のような115円もの配当を来年以降も維持するのは難しく、来期以降は30円~50円程度の配当になるのではないでしょうか?

 

115円もの配当は今期だけの可能性があるんだね。

1株利益が約48円なのでとんでもなく業績をアップさせないかぎり無理でしょう。
また利益剰余金には限りがあるので、2、3年程度は大丈夫でしょうが、結局は業績次第ですね。

 

現状はFIRE銘柄として手を出しづらい

明和産業のPERは株価上昇により15倍に達しており、割安感はありません。

また、株価が過熱しすぎで業績を無視した高騰がおこっていると考えられます。

 

業績から考えると1,047円は割高な印象を受けます。
また配当がどのように継続されるかも不明なので、FIRE銘柄としては難しい状態ですね。

 

プライム移行の動きが活発に

いよいよ東証の再編が近づいてきたことで、プライム基準に満たない企業の残留対策が本格化してきました。

 

これから9月末にかけてこのような動きが活発化する可能性がありますが、FIRE投資の判断は高配当よりも「安定性」を重視し、継続性のある配当かを見極めてください。

 

かなりインパクトのあるIRだったので、市場もビックリした状態でしたが、来週には株価も落ち着いて反落も予想されています。

もし、投資を考えていても株価が落ち着いてから、検討することをおすすめします。

※内容はあくまでJ塾長の個人的な感想にすぎません。投資は人に頼らず自己責任おこなってください。

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