FIREの投資で新興国の国債は危険!その理由とは?

ブラジル国旗

昨日は高利回りの外国国債について簡単に紹介しました。

高利回りで有名なブラジル国債(既発)でシミュレーションした結果、表面利回りで8.6%程度だったのが、償還後のトータルで判断すると4.1%に低下していました。

 

外国の国債は一見して利回りが高いように見えるけど、為替手数料や購入単価などがあるために、利回りが下がってしまうね。

為替差により運用益が下がることもあり、償還期限が長い国債は注意が必要です。

 

本日のブログは昨日に続き外国の国債がFIREに利用できるかを考えてみます。

外国国債については「ブラジル国債でFIREはできる?表面利回りに騙されるな」をご覧ください。

 

 

国債利回りが高い国はインフレ率も高い

利回りが高い債券は、ブラジルレアル、トルコリラ、南アフリカランドなどの新興国通貨建てであることが多く、これらの国はインフレリスクが高いことが特徴です。

 

インフレって物価が上がることだよね。

 

インフレは物価が上昇することですが、反対に通貨の価値が下がるとも言えます。

つまりインフレが進むと通貨価値が下がり、物の値段が上がるのですね。

 

ブラジルでは過去、年間で8%以上のインフレが当たり前でしたが、ここ数年は政府の制作により3.5%~3.8%程度に抑えられています。

しかし、2021年はコロナの影響もありインフレが加速しており、再度8%に突入する可能性もあるようです。

(参考:日本貿易振興機構「7月のインフレ率は前月比 0.96%、政策金利も1.0ポイント引き上げ(ブラジル))

 

インフレが進行すると通貨の価値が下がることから、国債の償還期限を迎えて元本が支払われても、日本円に交換すると大きく目減りする可能性があります。

 

たとえばある国のインフレが年間10%だとしたら、5年後には50%も貨幣価値が下がってしまいます。
その国の通貨で5年前に500万円分の国債を購入した場合、5年後の償還では日本円に交換した時点で250万円しか戻らない可能性がありますね。

そうなるといくら利回りが高くても大損してしまう…

毎年支払われる利子もインフレの影響が出ることを忘れないでくださいね。

 

現地通貨建ての債券の場合、インフレによる為替リスクを考えないと、大きく損失を出す可能性があります。

また支払われる利子もインフレの影響を受けるので、同じ利回りでも年々価値は下がってしまうことから、元本の損失を補うことは難しくなります。

 

インフレと長期債券の関係を理解する

実はインフレは悪者でなく、賃金の上昇と連動した穏やかなインフレは、経済が好調な証拠だと考えられています。

日本でも経済政策として年間2%の物価上昇を目標としています。(インフレターゲット)

適正なインフレの上限は年3%~4%程度と言われており、それを超えると経済が圧迫されて生活が苦しく感じます。

賃金アップより物価の上昇が大きいと生活が苦しくなります。

 

貨幣価値が下がるのでドルなどの基軸通貨に対して通貨安となり、海外からの輸入品が値上げ、企業の利益が減り、さらに国内物価が上昇する悪循環に入ります。

  

つまりインフレは適度であれば経済が成長している証ですが、過度に進むと物の値段が急上昇し、生活を圧迫させます。

また他国に対して貨幣価値が下がるので、輸入コストが上昇し企業の利益は減少します。
給与は上がらず物価は上がる、そして失業率の増加…これの繰り返しです。

 

インフレ率が4%を超えると各国政府はインフレ抑制対策を実施しますが、国の財政に問題がある場合は、対応できずにインフレの加速を傍観する結果に…

 

そしてそのような国が高い利回りの国債を発行することが多いのですね。

 

為替手数料

日本円からドルやユーロに交換するには為替手数料を支払いますが、SBI証券で円をドルに交換する場合の為替スプレッド(手数料)は1ドルあたり0.25円です。

しかしHS証券で円をブラジルレアルに交換するための為替スプレッドは1BRLあたり0.75円と3倍も必要です。

さらに1ドルが約109円に対して、ブラジルレアルは1BRLが約21円ですから、同じ100万円を交換しても手数料は全く違います。

 

ドルに対してブラジルレアルに交換する手数料は高そうだね。

ブラジルレアルなどの新興国貨幣建てで投資する場合には、為替スプレッドによる手数料負担と貨幣価値を考えることが大切です。

FIREでは新興国の国債は組み入れない方が無難

これはJ塾長の個人的な感想ですが

 

FIRE(ファイア)では新興国の国債は組み入れない方が無難です。

 

国債(既発債)の多くは5年~10年の償還期限を残しており、中期的な投資になります。

その間にインフレが加速すると償還期限に支払われる原本は、大きく減少するかもしれません。

たとえその間に利息が支払われたとしても、トータルでは大きなマイナスになることもあるでしょう。

 

現在でも証券会社の営業から新興国の国債や債券を勧められる事例がありますが、FIRE目的の投資初心者の方は慎重に検討してください。

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