【3.7倍で償還】トルコ・リラ建ゼロクーポン社債は安全か?

トルコリラ社債
(引用:HS証券)

先日のブログではゼロクーポン債の仕組みについて紹介しました。

 

ところでなんでゼロクーポン債をブログに書こうと思ったの?

実はある知人から「どえらい債券があるんだけど大丈夫?」とメールを貰いました。
その債権がゼロクーポン債だったという訳です。
そこでゼロクーポン債を簡単に紹介しました。

 

本日のブログでは知人から紹介を受けた「どえらいゼロクーポン債」を見てみます。

 

ゼロクーポン債については「【ゼロクーポン債】割引価格で購入、償還で利益が出る債券」をご覧ください。

 

 

トルコ・リラ建ゼロクーポン社債

知人が教えてくれたのは、以前ブラジル国債を紹介したさいに、参考にさせていただいたエイチ・エス証券が販売している「トルコ・リラ建ゼロクーポン社債」です。

 

  • 名称:クレディ・アグリコル・コーポレート・アンド・インベストメント・バンク発行 2031年10月27日満期トルコ・リラ建ゼロクーポン社債
  • 発行体:クレディ・アグリコル・コーポレート・アンド・インベストメント・バンク
  • 単価:26.90%
  • 販売単位:2万TRY以上1万TRY単位(額面)
  • 利払日:なし
  • 償還年数:10年
  • 償還日2031/10/27

(エイチエス証券:トルコ・リラ建ゼロクーポン社債 )

 

昨日のブログを読んだ人はもうどのような内容の社債か理解できていると思います。
この社債は自己資本ベースで世界12位のクレディ・アグリコルグループが発行する社債で、利子が使いないゼロクーポン債です。

償還期限は2031年なので10年と債券的には中期に分類されます。

そして注目なのが発行単価で…なんと額面の26.9%に設定されています。
つまり償還日まで保有すれば、額面の100%が支払われるので、投資額の3.7倍に増える計算ですね。

3.7倍にとはすごいね!
100万円投資したら10年後には370万円になるんだ。

むーちゃん、それは違うよ。

28万TRY(約100万円)を投資したら103万TRYが償還されます。

おなじでしょうwwwwww

いやいやこれが同じじゃないんですよ。
外貨建ての債券で難しいのは、この問題でとくに新興国通貨は変動しやすく、TRYが3.7倍になっても為替の影響で思った投資にならない可能性があります。

 

トルコリラ(TRY)の環境?

TRY/円チャート
(引用:HS証券チャート)

TRY・円の為替を見てみると、2014年には「1TRY:54円」程度でしたが、2018年には「1TRY:17円」そして、現在は「1TRY:12.52円」の水準まで下がっています。

 

7年前に54円だったのが今では75%も下落しているんだ。

そうです。
円に対して下落することは、TRYの価値がドンドン下がっていることを意味します。

つまり現在の為替レートで100万円を投資すると、為替により79,000TRYの社債が購入でき、10年後に約3.7倍の292,300TRYが償還されます。

このとき為替があいかあらず12.52円であれば、手数料を無視すると365万円が得られる計算です。
利益は10年間で265万円ですね。

しかし、10年後に円高が進み1TRYが1/4になったら、1TRY:3.13円となり、償還金を日本円に交換すると91万円にしかなりません。
これでは9万円の損失です。

たしかにこの7年で為替の下落率は70%を超えているから、これから10年の間に何が起きるかもわからないね。

またこの計算は証券会社の手数料を加味していません。
為替交換にはスプレッドと呼ばれる手数料が加算されるので、一般的な為替とは価格が違います。
 
そうなるとますます利益が少なくなる可能性があります。

 

発行体よりも為替に注意

この手の債券は発行体は比較的信用度が高く、倒産などの心配はあまりありません。

この社債の発行体であるクレディ・アグリコルも世界的なバンキンググループで、S&Pの格付けは「AA-」、ムーディーズ「Aa2」と全く問題ありません。

 

ですから高い確率で10年後には償還されると思います。

しかし問題は為替でありトルコと言う国にあります。

 

トルコ経済がこれからの10年間に成長するかがポイントです。
もし国家破綻することになるとハイパーインフレにより、TRY自体の価値がなくなる可能性があります。
その場合、29万TRYなんて100円にしかならないことだって考えられます。

たった100円…

 

トルコの経済は期待されている

トルコの人口は8,300万人と比較的多く、経済的は発展余地が高い国と考えられています。

また高齢者よりも若者が多く、経済的なポテンシャルは高いと思います。

 

これからのトルコに革新的な期待が持てる人にとってはよい債券かもしれませんね。
ただしよく検討してから投資を判断して下さい。

 

※このブログはあくまでJ塾長の感想であり、投資を勧めるものではありません。投資は自己判断と責任でおこなってください。

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