【SBIの勝利か?】新生銀行のポイズンピルに国が反対の方針

新生銀行TOBの動き

2021年11月23に入った読売新聞オンラインをみると、SBIホールディングスが仕掛ける新生銀行のTOBに対する防衛策の発動について国が反対票を投じる方針だとされています。

(新生銀の買収防衛策に国が反対方針…臨時株主総会、否決の見通し:読売新聞オンライン)

11月25日の臨時株主総会まで数日しかありませんが、いよいよ動きが加速してきた感があります。

ここに至って国が動いたことでTOB問題の方向は大きく動くことになります。

本日にブログはSBIホールディングス(以下SBIHD)が仕掛ける、新生銀行TOBに大きな動きがあったので報告します。

 

新生銀行のTOB問題については「【新生銀行のTOB】ついに大詰め25日の株主総会と株価」も見て下さい。

 

 

新生銀行TOBはSBIホールディングスの勝利となるか?

11月22日にアップしたブログでは新生銀行に対するTOBの可否は、ポイズンピルの発動が決議されるかがポイントで、機関投資家などの賛成が見込めることからTOBの失敗を予想しました。

この予想を立てる根拠はブログにも書きましたが、が動かないことでした。

なぜ国が重要なの?

22日のブログにも書きましたが、実は預金保険機能、整理回収機構など国の機関が新生銀行の株式を合計22%程度保有しており、実質的な筆頭株主はSBIHDではなく国です。

つまり国が臨時株主総会で議決権を行使するかが大きなポイントとされていました。

でも民事的な話に国は介入しなかったのでは?

通常はそうですよね。
しかし今回は預金保険機構がSBIHD、新生銀行に対して質問状を送付しており、大きな関心を持っていることがわかります。

で…国はどうするの?

23日の報道を見ると国は議決権を行使するだけでなく、新生銀行のポイズンピル発動に反対票を投じる方針のようです。
そうなると20%を保有するSBIと合わせて42%、個人投資家のなかにはTOB賛成派も多いのでポイズンピルの発動が否決される可能性が非常に高まりました。

これはサプライズですね。

J塾長の予想では米国の機関投資家の動きから、新生銀行の買収防衛策は臨時株主総会で可決されると読んでいましたが、その予想は撤回し、報道の通りであればポイズンピル発動が否決され、TOBが成立すると思います。

 

国の判断はSBI…新生銀行の経営陣はいらない…

TOBに対して国が議決権を行使することは珍しく、それだけに今回の新生銀行のTOBに関して注目していることがわかります。

新生銀行は旧長銀破綻時の国からの借入れを長期間返済しておらず、返済プランも明確に示していませんでした。

この責任は現経営陣によるもので、国としてはSBI主導により返済プランを明確にしたい思惑がありそうです。

国からの公的資金が3,500億円も返済していないって言ってたよ。

そうですね。

破綻時に投入された資金は税金ですから長期間返済せずに、経営陣だけが高給を得ている現状は国民も納得していません。

また、3,500億円を株価上昇による利益で返済するには、1株当たり7,500円程度まで上げなくてはなりません。
SBIHDがTOBを発表する前は1株1,500円だったので話にもなりませんね。

この状態が続いていたことは、やはり現経営陣の責任でしょう。

SBIHDは臨時株主総会でポイズンピル(買収防衛策)の発動が可決された場合は、全ての株式を売却する可能性を示唆しており、そうなると株価も1,500円さえも維持できな可能性がありました。

SBIHDが保有している新生銀行株を売却することで、株価が下がり国としても大きな損害がでることを恐れた可能性もありますね。

国の判断としては「旧長銀の体質を受け継ぐ新生銀行の経営陣は必要ないから、そろそろ新体制をとるように」とのメッセージを発したのだと思います。

 

祭日明けの24日、株価は上昇に向かうか?

今回の国の判断は質問票の回答を精査するなかで、SBIHDのプランの方が新生銀行の価値を高める効果が望めると判断したことによるものです。

新生銀行の回答では自社の価値が2,000円ではない…とか、コロナ禍で業績が悪い時にTOBを仕掛けられた…とか、持ち株会社を設立するとか、現実的な経営立て直し策はなかったようです。
アメリカの投資助言会社もあくまで2,000円のTOB価格が安いことを問題視しており、現経営陣の評価はありませんでした。

今回の国の方針が誤報でなければ、ポインズンピルの発動は否決され、敵対的TOBはSBIHDの勝利となるでしょう。

TOB報道から一時は2,000円を超える上昇を見せた株価ですが、ポイズンピル可決見通しから1,750円まで下がり現在は1,894円です。
しかし24日にはこの報道を受けて2,000円台に回復すると思います。

 

新生銀行は友好的TOBに移行するか?

もし今回の国の方針が正式に確認された場合、新生銀行は臨時株主総会において買収防衛策を取り下げる可能性が出てきました。

負け戦はしないの?

いやそうではなく、もし決議を強行して否決されたら、株主はTOBを望んでいることを明確化してしまうんだよ。
そうなるとSBIHDが株主の総意を得ることになり、新生銀行に対して強い立場に立てますよね。

だから、あえて決議を避けて友好的TOBへの移行を模索するのさ。

ケンカして負けるくらいなら、和解の道を模索するかぁ…そうだね賢いね。

ここまで悪化したので無条件の和解は難しいけど、仲介として国(預金保険機構など)が入るのではないでしょうか?
また今回のポイズンピルの決議で国が否決する代わりに、SBIHDと新生銀行の和解を求める可能性もありますね。

3,500億円もの借入れを返済しておらず、22%の株式を保有する国としては、なんとか友好的TOBにさせて新生銀行の価値を高めたいと考えているでしょう。

そこでポインズンピルの否決を条件に、SBIHDに一定の譲歩を求めているのでないかと考えています。

まぁ譲歩と言っても、新生銀行の現経営陣のなかから一部を残すとか…かなぁ?
結局は人事面が一番もめるから。

新生銀行のTOBがここまで揉めた原因の一つは、SBIHDがTOB成功の暁には社長の交代をはじめ、経営陣の入れ替えを画策していることだと思います。

保身ですよ。
保身は国民の税金を返してからして貰いたいですね。
3,500億円の税金があればコロナ禍で困っている学生等をどれだけ助けられるか。

とは言ってもいよいよ臨時総会は明日25日です。

J塾長も注目していますので、また報告しますね。

 

※このブログはあくまでJ塾長の感想であり、投資を勧めるものではありません。投資は自己判断と責任でおこなってください。

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