ファストリ(ファーストリテーリング)株価暴落のなぜ?

ユニクロ店舗

2021年4月10日のニュースを見ると「ユニクロ・柳井氏がウイグル発言で失うものは何か。「ノーコメント」が悪手だった3つの理由」との記事が記載されています。(ハフポスト日本版)

この記事はFIRE(ファイア)生活資金として不労所得を求める我々にとって、リスクともなう大きな問題が隠れています。

ファストリ(ファーストリテーリング)の業績

コロナ禍においても比較的堅調な動きを見せていたファストリ(ファーストリテイリング:9983東証1)が、2021/4/4に大きく値を下げて前日比マイナス3090円で取引を終了しました。

ファストリは衣料品店の「ユニクロ」、「ジーユー」を展開する企業で、日本だけでなく世界中に多くの店舗を保有しています。

2020年8月期決算は以下のとおりです。

  • 売上収益:2兆88億円(前期比12.3%減)
  • 営業利益:1493億万円(42.0%減)
  • 税引前利益1528億円(39.4%減)

数字自体は前期比でマイナス、コロナ禍においての苦戦の様子がわかります。

しかしそれでもさすがユニクロと思ってしまう内容ですね。

ファストリの2020年8月期の決算については「ファーストリテイリングのホームページIR情報」を参照ください。

ファストリ(ファーストリテーリング)の株価

コロナの流行により店舗の休業や海外店舗の苦戦より業績が悪化しているファストリですが、株価は2020年3月の1株4万円から徐々に回復して2021年3月2日には1株11万円にまで上昇しています。

その後はコロナの2波などの影響で下落傾向にありますが、2021年4月に入ってからは8万円後半~9万円前半の膠着状態でした。

そして4月9日の月曜日にマイナス3090円となる暴落が起きたのです。

原因は決算発表における柳井会長の発言

マイク

今回の下落は前日の4月8日に行われたファストリの決算会見が理由でした。

ここで注目したいのは、今回の下落は決して業績によるものではないことです。

ハフポストの記事によるとファストリの柳井会長が記者の質問に対して微妙な回答をおこなったそうです。

記者の質問は中国のウイグル自治区の人権問題についての質問で、具体的には「新疆綿」の使用についてです。

柳井会長は「人権問題というよりも政治問題であり、われわれは常に政治的に中立だ」と答え、この問題についてはノーコメントでした。

ウイグル自治区の問題は国際的な人権問題として、特にアメリカ、EUで取り上げられており、とくに強制労働で生産されていると思われる「新疆綿」を使用する企業は問題企業としての烙印が押されます。

今回の柳井会長の発言は強制労働を認めたのではなく、あくまでノーコメントでしたが、世界的には肯定したと疑われてそれが株価に影響したのです。

ファストリとしては巨大マーケットの中国と揉めたくない思惑もあったと想定されますが、ノーコメントで中立を強調したにもかかわらずこのような結果になるとは予想していなかったようですね。

株価は業績だけではないことを理解して

この記事で思うことは「株価は業績だけで動くものでない」です。

株価は人間の意思により作られ、「買いたい」と思う人が沢山いれば株価は上がるし、「売りたい」人がいれば株価は下がります。

つまり株価は多くの人間の感情により生み出されるものだと思ってください。

今回の暴落は人権問題であるウイグル自治区問題にたいして、ファストリが積極的に否定の発言をしなかったことで、「人権問題に関心がない企業」だと思われたことが要因と思われます。

またファストリがこれからも「新疆綿」を使用するかもあやふやで、答えが提示されませんでした。

このような態度が多くの投資家を失望させ、売りが膨らんだと想定できます。

先日もスクエニ(スクウェア・エニックス)の買収報道(後に否定)で、株価が急騰したできごとがありました。

人の意思で株価は上がったり下がったりするのですね。

詳しくは「スクエニス(クウェア・エニックス)買収情報による株価の変動」を参照ください。

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FIRE(ファイア)の不労所得でも起こりうる暴落

FIRE(ファイア)生活資金として不労所得は、安全で安定した収益が必要です。

年間2兆円の売上があるファストリであっても、会長の一言(今回の場合はノーコメント)で株価が大きく下げてしまうことがあります。

このような問題は事前に察知することは難しく、事前に対処できるものではありません。

しかし不労所得として組み入れる銘柄には、業績だけでなくこのようなリスクもあることを頭に入れてくださいね。

株式投資