配当所得の増税!総合課税で住民税申告不要の選択が廃止に

住民税申告不要廃止

毎年正月が過ぎると確定申告を考える時期になりますが、多くの投資家は特定口座(源泉徴収あり)を使用していることから配当所得について確定申告は必要ありません。

配当利回りを貰った時点で20.315%の税金が源泉徴収されているから、なにもしないでいいんだよね。

そうですね。
しかしFIRE(ファイア)生活者にとって配当は、生活を支える大切な資金源です。
特定口座(源泉徴収あり)では配当所得に20.135%課税されますが、少しでも税金が減るならこれ程うれしいものはありませんよね。

そこで有名な手段として「総合課税」で確定申告を行う方法があります。

さらに総合課税と併用して「住民税申告不要制度」を選択することで、国民健康保険や住民税の値上りを防ぐことも可能です。

しかし、今まで有効だった総合課税が令和5年分の確定申告から内容が変更になり、住民税申告不要制度の選択ができなくなります

これは実質的にFIRE(ファイア)生活者の増税であり、J塾長もガッカリですよ。

本日のブログは配当所得の節税に効果的な、総合課税と住民税申告不要制度の併用と税制改正について愚痴ります。

FIRE生活については「FIREと年金の関係!早くFIREしても年金は投資と考える」なども見て下さい。

 

 

配当所得を総合課税にするとこんなにお得!

配当所得を総合課税で申告することで、源泉徴収された税金が還付される方法は投資家のなかでは有名な話です。

投資初心者のために簡単に説明しましょう。

証券会社の特定口座(源泉徴収あり)では配当が発生すると20.315%の所得税(15%)・住民税(5%)・復興税(0.315)を差し引いて口座に入金します。
証券会社はそれを国に代理納税して課税は終了です。

投資家は申告不要だから便利だよね。

しかし日本の所得税は本来、累進課税で所得額に対して課税割合が決まる仕組みです。
源泉徴収では配当所得が10万円でも1000万円でも20.135%の課税だから、配当所得が少ない投資家は不利なんだよ。

そこであえて総合課税で確定申告を行い累進課税で再計算してもらうんだ。

所得税率

  • ~195万円:5%
  • ~330万円:10%
  • ~695万円:20%
  • ~900万円:23%
  • ~1800万円:33%
  • ~4000万円:40%

源泉徴収では所得税が一律15%引かれるので、330万円以下の配当所得では税率が累進課税よりも高くなります。

さらに、配当所得には10%の配当控除があることから、配当所得が900万円までは源泉徴収の方が税率が高くなります。

配当所得には10%の配当控除が設けられており、195万円までなら「5%-10%=0%」、330万円までなら「10%-10%=0%」、695万円までなら「20%-10%=10%」、900万円までなら「23%-10%=13%」と源泉徴収よりも所得税が安くなります。

それなら年間の配当合計が330万円までなら、所得税は0円なんだね。

配当所得が330万円までなら所得税は0円です。

つまり配当所得が330万円までなら、源泉徴収で支払った所得税が全額還付されます。

また695万円までなら10%なので、源泉徴収で支払った所得税から5%が還付されます。

FIRE(ファイア)生活者は配当等で生活を維持するので、支払った所得税が還付されることでボーナス的な臨時収入になります。

しかし、ここで注意点がありました。
それが住民税と国民健康保険税です。

 

総合課税で住民税と国民健康保険税が高くなる?

総合課税にすると所得税は累進課税になることから、900万円以下の配当所得では所得税が少なくなります。

しかし、同じく源泉徴収で支払っている住民税は申告することで5%から10%に増加します。

ただし住民税にも配当控除があり、2.8%程度が引かれるので実際には7.2%が課税されます。
つまり源泉徴収より2.2%のアップですね。

2.2%程度なら大きくないね。

いやいや
住民税がアップすると国民健康保険税も上がるのでここは要注意です。

そもそも特定口座における配当所得は申告不要で住民税の計算に含まれないので、住民税や国民健康保険税の計算に配当所得は一切含まれません。

特定口座で1,000万円の配当を貰っても、源泉徴収なら住民税の計算には含まれず、住民税で判断する国民健康保険税も上がりません。

しかし総合課税では配当所得として計上されるので、所得税は控除により少なくなっても住民税は一定額支払うことになります。

状況により所得税で還付される金額よりも高くなる場合もあります。

FIRE(ファイア)生活者のなかには総合課税を選択した結果、住民税や国民健康保険税が上がり、所得税の還付分を超えた人も少なくありません。

とくにサラリーマンでないFIRE生活者にとっては、所得税を減らすと住民税や国民健康保険税が高くなることは大きな問題でした。

何とかならないの?

そこで数年前から利用されているのが「住民税の申告不要制度の選択」です。

 

住民税の申告不要制度の選択

住民税の申告不要制度の選択はFIRE生活者に光をもたらしました。

この制度は所得税は総合課税住民税は源泉徴収と切り離しができる制度です。
総合課税で確定申告した後で、市町村に届け出をすることで、住民税については源泉徴収で終わらせることができます。

さらに今期の確定申告からは市町村での届け出も不要になり、確定申告書第2表にある項目のチェックだけで届け出が終了します。

それは便利だよね。
これなら所得税は少なくなって、住民税や国民健康保険税には影響しないんだね。
さらに手続きも簡素化したからFIRE生活者にとっては夢のような話だ。

そう…むーちゃんが言うように、このありがたい制度は夢に消えることが確定したようです。

残念…

 

総合課税で住民税申告不要の選択ができなくなる!

昨年末に行われた税制改革でこの住民税の申告不要制度の選択が令和5年分から廃止されることが決まりました。

正確には特定口座の源泉徴収では、今まで通り住民税も申告不要のままです。

しかし所得税を総合課税にした場合は、住民税も確定申告しなければなりません。

そうなるとサラリーマンでないFIRE生活者は、住民税だけでなく国民健康保険税も高くなりメリットどころかデメリットになる可能性もありますね。

今回の税制改革により今まで利用できた配当所得の節税ができなくなり、我々FIRE生活者の納税コストが高まります。

総合課税、源泉徴収…どちらが得なのかは、個人の状況により違いが出ます。
よく計算して選択するようにして下さい。

ちなみにJ塾長はサラリーマンではなく、国民健康保険なので、特定口座で20.315%を源泉徴収される道を選びたいと考えています。

ただ、まだ昨年分と、今年分は住民税申告不要制度が使えるので、興味のある人は検討してくださいね。

 

次回1月30日のブログでは、配当所得で配当控除を受けるために必要な確定申告の方法を紹介します。
国税庁のサイトを使って簡単に総合課税の申告書を作成する方法です。

※このブログはあくまでJ塾長の感想であり、投資を勧めるものではありません。投資は自己判断と責任でおこなってください。

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