配当13%超の米国ETF「QYLD」カバード・コールの意味

QYLD

現在の円安により資産の一部をドルで運用する必要性を感じているJ塾長ですが、先日は投資先としてUSリートを簡単に紹介しました。

インフレが進んでいるアメリカでは、不動産価格も上昇しているんだよね。

実際にUSリートに投資するのもよいのですが、J塾長はリートETFに注目しています。
アメリカの金融商品に馴染みがない投資初心者でも、比較的わかりやすい投資ができますよね。

しかし、USリートETFの分配金利回りは2%程度なので、FIRE(ファイア)投資としては利回りが気になります。

そこで高配当の米国ETFを探してみるると、なんと分配金利回りが年利で13%を超える凄いETFがあります。

それが「QYLD(グローバルX NASDAQ100・カバード・コール ETF)」です。

FIRE(ファイア)がブームになった昨年あたりから注目されているETFで、J塾長も注目していましたが現在投資は行っていません。

本日のブログはQYLDの高分配の理由である「カバード・コール取引」についてJ塾長の意見を紹介します。

米国ETFについては「円安局面でのFIRE投資は?J塾長の米国ETFの状況も報告」も見て下さい。

 

 

QYLDの分配は年12回、さらに分配利回り10%超

QYLDはアメリカのグローバルX社が提供するETFで、NASDAQ100インデックスをベンチマークにした運用をおこなっています。

  • 名称:QYLD(グローバルX NASDAQ100・カバード・コール ETF)
  • 運用:グローバルX社
  • ベンチマーク:CBOE NASDAQ-100®・バイライト・V2・インデックス
  • 保有銘柄数:103
  • 純資産:約70億ドル
  • 分配:毎月
  • 信託報酬:0.60%
  • 分配金利回り:年10.0%程度
  • 運用方法:カバード・コール取引

これだけを見ると単にNASDAQ100インデックスに連動しているETFと変わらないよね。

NASDAQ100に連動している「QQQ」と組み入れ比率もさほど変わらないよね。
でも分配金の利回りが年間10%を超えているのはなんでだろう???

QQQはNASDAQ100インデックスに組み入れられた銘柄をETFに組み入れて運用する単純な仕組みですが、QYLDはカバード・コール取引で運用することで高分配を可能にした商品です。
しかし、カバード・コールがわかりにくく、注意しなくてはならないポイントですね。

 

カバード・コールはオプション取引を組み込んだ手法

一般的な株取引は銘柄を買い、価格が上昇したら売却します。

インデックス型のETFでは、指標となるインデックス構成に近い形で銘柄を購入するよ。
銘柄の値上益だけでなく、配当による利益も狙えるんだ。

しかしQYLDは単純に株式の売買を行うのではなく、そこにオプション取引を組み入れることでリスクをヘッジした運用を実現させています。

オプション取引とは権利の売買のことで、株式の「買う権利」と「売る権利」をあらかじめ設定した取引のことです。

例えばA社の現在株価が100円の場合、買い手は手数料を支払って「3ヵ月後に100円で購入できる権利」を買います。

これがオプション取引の概要です。

3日ヵ月後に株価が150円になっていたら、50円も安く購入できるんだね。
でも反対に80円になったら20円の損失だよ。

一般的オプション取引ではあくまで権利の売買なので、設定日の株価が下がった場合は権利の行使を止めても問題ありません。

ただしその場合、しはらった手数料(プレミアム)は戻ってきません。

このように権利を売買するオプション取引には、コールオプション(買う権利)、プットオプション(売る権利)があります。(さらに細かく分類されている)

実際のオプションの種類は他にもありますが、ここで重要なのはオプションでは買い手から売り手に対して「プレミアム」と呼ばれる手数料を支払わなくてはなりません。
これは、権利を購入するための代金と考えたらわかりやすいでしょう。

売り手が買い手からプレミアムを貰うことで、契約が成立するんだね。

売り手が受け取ったプレミアムは、権利の行使に関係なく返却する必要はありません。
売り手にとってはその時点で利益が出ることになりますね。

オプション取引は株式投資における保険として利用されることも多く、プレミアムにより株価下落の損害を減少させる効果があります。

QYLDのカバード・コールとは、このオプション取引を組み込んでいる意味で、インデックス銘柄の買いとオプションを組み合わせたETFです。

 

プレミアムによる高配当を実現

オプションを組み入れることで、どんなメリットが生まれるの?

まずはプレミアムによる利益が確保できることかな。

株価の上下はなかなか予想できないけど、プレミアムは決まっているので安定した利益が確保できるよ。
またプレミアムがあることで損失が出た場合の補てん効果もありますね。
オプションを組み入れることで、損失時の保険の役割も果たすんだよ。

でもオプションを結んでいるから、株価が上昇した場合も売らなきゃダメでしょう?

オプションによりプレミアムを貰っているので、設定日に設定価格で株を売却しなくてはなりません。
だから、株の急騰時にはもったいないことになるよね。

J塾長が感じているのはカバード・コール取引は、あくまでプレミアムと配当による利益が主で、株式の値上がり益は限定されていることですね。

QYLDはオプション取引で得たプレミアムを原資に分配を実施する商品で、10%を超える分配利回りもプレミアムあってのものです。

 

QYLD実際の分配金を見てみよう

2021年に支払われた分配金を見てみます。

QYLD分配
グローバルX社参照

2021年の分配金の合計が1口2.850071ドル、QYLDの現在の1口の基準価格は21.01ドルなので、分配利回りは13.565%です。

ただし信託報酬としての経費が0.6%かかるので、12.9653%程度になります。

ETFのなかでは経費は高いと思うけど、それでも12%超えの分配金は凄いや!
これは注目されるのもしかたがないよね。

なんでJ塾長は投資しないの?
損だよ。

一見するとFIRE(ファイア)生活者にとって夢の商品ですが、詳しく見るとそうでもないんですよ。
J塾長はQYLDのカバード・コールについて、基準価格が上昇しない仕組みではないかと疑っています。

 

QYLDの基準価格が下がっている理由は…タコ足配当疑惑

QYLDが高い分配利回りを実現しているのは現実ですが、そこには深い闇がある可能性が指摘されています。

闇って…

実はQYLDが分配を維持できるのは、資本を売却して凌いでいる疑いがあります。
つまり毎月分配型の投資信託と同様、タコ足配当を実施しているみたいなんです。

そうなるとカバード・コールによるプレミアムではなく、資本を削っているのだから基準価格が上がることは難しいでしょう。

実際にグローバルX社の財務ハイライトを見ると、資本の取り崩しが高確率でおこなわれていました。

2020年は1口あたり年間2.45ドルの分配があったのですが、そのなかで運用で得た利益は0.06ドルのみで、2.39ドルは資本の取り崩しであることが記載されています。

つまり2020年は分配金の97%が資本の取り崩しによるもの!
ETFの原資で分配してるってことなの?

まあ2020年はコロナの問題もあって異常な年だったけど、それでもこの数字には驚くよね。
それ以外の年もみたけど、はやり分配金の2割~6割6程度の資本の取り崩しがおこなわれていたよ。

タコ足だよね。

タコだね。

 

QYLDは運用方法を理解した上で投資する

本日は日本でも人気のQYLD米国ETFを紹介しました。

カバード・コールは複雑な取引なので、今回の説明はあくまで概要だと思ってください。

QYLDは毎月分配されるので、FIREにはありがたい金融商品です。
また分配利回りも10%を大きく超えているので、生活費やお小遣いとしても活用できます。

ただし、資本の取り崩しによる分配が行われていることを理解して、基準価格の下落リスクが高いことを理解することが大切です。

キャピタルゲインではなく、分配金も含めたトータルリターンで評価してみて。
現在のトータルリターンは悪くないので、基準価格の下落と分配金の差で判断したら簡単だよ。

円安が進行するなかでドル資産に注目が集まっていますが、高配当、高分配に惑わされないで内容を理解することも大切です。

納得した上で投資判断をおこなってください。

 

※このブログはあくまでJ塾長の感想であり、投資を勧めるものではありません。投資は自己判断と責任でおこなってください。

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