楽天でんき、ガス、モバイル…子会社リスクの楽天グループ

楽天G電気の影響

先日のブログではJ塾長が加入している東京電力グループの「あしたでんき」が、電力供給を停止しサービスを終了する話をしました。

実は新電力と呼ばれる会社のなかには、現在新規加入を停止している会社があります。

お客さんを断っていたら商売にならないよ。

そうだよね。
商売は商品を売って利益を出すので、客を断っていては利益は出ません。
しかし、現在は電力不足にあり、電力の卸価格も高騰しています。

安さを売る新電力としては、客が増えるほど仕入による損失が拡大する恐れさえあります。

えーそれじゃ、値上げで対応するしかないかぁ?
でもそうしたら、他社と価格差が縮まって魅力がなくなるよね。

そうした理由で新規加入の停止に踏み切っているのですが、東京電力グループのあしたでんきのように、新規加入の停止を経て廃業する新電力も増えてきそうです。

そして注目したいのが「楽天グループ(4755)」の子会社である、「楽天エナジー」が提供するサービス「楽天でんき」と「楽天ガス」です。
現在新規加入を停止していますが、廃業になった場合、楽天グループ株への影響は小さくありません。

本日のブログはこれから「楽天グループ(4755)」に押しかかる子会社リスクについて考えます。

楽天グループの赤字と楽天モバイルの関係については「楽天グループが最大の赤字状況に!5G普及で復活可能か?」を見てください。

 

 

楽天でんきが新規加入者を停止した訳

楽天でんきは新電力会社のなかでも大手企業で、加入者数は家庭向け電力供給の上位に位置しています。

その楽天でんきが新規加入者の受付を停止を発表したのは2022年1月26日です。

いきなり新規加入の停止を発表したけど、経営が苦しかったの?

運営会社の楽天エナジーは「楽天でんき」だけでなく、「楽天ガス」の受付も中止しています。

現在でも新規受付は中止されたままなので、加入者数も増えておらず、反対に不安から他電力会社へ移動する加入者も増加していると思います。

つまり現在は停止中だけど実際には加入者が減少している状況と推測できます。

休止の理由は電力の卸価格の高騰が大きな理由で、「仕入れ価格と販売価格の差が縮まった」ことで、利益が出にくい状況になりました。

新電力会社は自社で火力発電所やソーラー発電所などを保有するほかに、「JEPX(日本卸電力取引所)」を使用して電力を購入します。

自前の発電所には限界があるから、日本中の電力が集まるJEPXから一定数の電力を買い入れて、それを加入者に販売していたんだ。

この卸電力の価格だけど2020年5月1日はDA-24(24時間単純平均価格)が1kwあたり5.25円でした。

つまり新電力会社は1kwあたり5.25円で買入れし、23円程度で販売することで利益を出していたことが分かります。

そして1年後の2021年5月1日のDA-24は1kwあたり6.96円です。

1年前よりも1.5円程度高くなりましたが、それでも十分に利益が取れる水準です。

さらに1年後の現在はどうでしょう?

現在のDA-24はなんと1kwあたり18.41円まで上昇しています。

2倍以上に上がっているよ。

それでも2週間前の4月15日には1kwあたり26.51円だったんだよ。

つまり1年で卸電力料金が3倍に値上がりしました。

おそろしや~

楽天でんきの契約は月額の基本料がなく、地域別に設定された一律の従量料金だけのシンプルなものです。

東京電力エリアであれば26.50円/1kwなので、「実際に利用した電力量×26.5円」で算出します。

 

もはや電力を売れば損するビジネスモデルへ

楽天でんきの料金は基本料なしで、1kwあたり26.5円に設定されています。(東京電力エリア)

しかし、JEPXの卸価格が高騰しており、現状では経費等を考えると利益は出ていないことが想定されます。

だって4月15日は26.51円でしょう?
それを26.5円で売っていたら、損するばかりだよ。

楽天でんきで利益がでる損益分岐点は不明ですが、現在の18.41円水準でも利益が出るとは思えません。
つまり売れば売るほど損失が拡大している状況だと判断できますね。
これは電力だけの問題ではなく、天然ガスも同じことです。

楽天ガスも新規加入を止めている理由は電力と同じ構図だよね。

 

楽天グループの負担が増加…投資は控える

楽天Gチャート
参照:Yahoo!ファイナンス

過去にもブログで紹介しましたが、「楽天グループ(4755)」は、楽天モバイルの先行投資により大きな負担を抱えており、業績悪化を余儀なくされています。

ただし2023年には5Gの設備投資にも目途が立つことから、黒字化を目指すとされていました。

でも今年になって電力問題が出ているから、本当に影響は少ないのかなぁ?

楽天グループは楽天モバイルでも設備投資で苦しんでいたけど、楽天でんき、楽天ガスのサービスでも負担が増えてくると思います。

その意味で現状では楽天グループへの投資は控えた方がよいと思います。

 

ウクライナ紛争の長期化で楽天エナジーの業務停止も?

以上のことから楽天でんき、楽天ガスは、現状では利益が出ていないことが想定されます。

J塾長も「あしたでんき」は東京電力グループだからと安心して加入しましたが、あっけなくサービス停止になりました。

楽天グループは過去に「楽天ソーラー」を売るだけ売って撤退させた過去があるので、このままの状況が続けば楽天エナジーのサービス撤退を決めるのではないでしょうか?

すべてはウクライナ情勢や原油高、原発再稼働などの要因にも連動されますが、楽天グループとしては高リスクにさらされていると考えます。

楽天グループの株価は918円水準で、過去の高値の1/2以下ですが、まだ下落することが予想できるので投資するさいには、価格だけでなく楽天グループ全体のビジネス状況を考えて判断してください。

 

※このブログはあくまでJ塾長の感想であり、投資を勧めるものではありません。投資は自己判断と責任でおこなってください。

優待株