廃止リスクが高い株主優待はカタログギフト?注意すべき銘柄
先日は人気の株主優待を廃止した「オリックス(8591)」について紹介しまししたが、その記事を書いている時に気が付いてしまいました。
ん…何を?
いやー何となくだけど、株主優待って本来は自社製品を株主に紹介するサービスだよね。
それが最近ではQUOカード、プリペイドカード、カタログギフトなど、わざわざ株主優待用に商品を購入して発送しているケースが増えているんだよ。
先日のオリックスもそうだが、総株主に含まれる個人投資家が増えると、株主優待の負担はドンドンと大きくなるでしょう。
そうなると株主優待制度の維持は困難になり、結果的に株主還元は配当に集約されることになるのではないでしょうか?
だから…株主優待でQUOカードやカタログギフトなど、負担の多い商品を選定している銘柄は、「これからも廃止や改悪が続くのではないか?」と思うんだよね。
本日のブログは株主優待制度のなかで、廃止や改悪リスクが高いと思われる商品と銘柄を考えてみます。
オリックスの株主優待制度廃止の話題は「オリックスが株主優待廃止を発表!個人投資家の増えすぎが原因」もみてください。
配当利回りと優待利回りでリスクを判断
株主優待制度を廃止したオリックスは、配当利回りが3.7%もあります。
配当利回りが3.7%もあって株主優待も実施していたから負担は相当のものだよね。
オリックスのデータを見ると2022年3月期の配当性向は33%で、今期である2023年3月期も33%の配当性向を予定しているよ。
配当性向は一般的に30%以上あれば、株主還元に積極的な企業とみられることが多いかな?
じゃぁオリックスは株主優待がなくても、しっかりとした還元を行っているんだ。
オリックスは配当性向33%のほかに、「前期の配当を下回らない」とのルールがあるので、2021年は結果的に51%の配当性向になっていますよ。
つまり業績が良い年は配当性向33%で、悪い年は前年の配当を目安にするんだね。
オリックスの配当性向の妥当性とは別に、これに株主優待の費用が加算されるので実際の還元はもっと大きくなります。
オリックスが株主優待に使用する費用を予想
オリックスの株主優待には保有年数によりAコースとBコースに分かれますが、3年以上の株主に配布されるAコースは10,000円相当、3年未満のBコースは5,000円相当のカタログギフトです。
決算書では優待引当金が見当たりませんでしたが、株主総数823,126人の15.5%が個人投資家なので、個人投資家の人数を127,000人と仮定します。
AコースとBコースの割合を半分として計算すると以下の費用が必要です。
127,000 × 7,500円 = 952,500,000円
9億5250万円も必要なんだ!
この計算はざっくりですが、約10億円近い費用が株主優待にかかっていると想定できますね。(ざっくりね)
このように株主優待は企業に大きな負担を与えるケースも多く、とくに自社製品ではない優待品を提供する場合はさらに費用がかさむでしょう。
また機関投資家などの大口は、「株主優待に10億円もかけるなら平等に配当利回りで分配せよ」と主張すると考えられます。
日本政府や東証も海外からの投資家誘致を推進しているので、これからは自社製品以外の優待を出している企業は方針を変える可能性があるのではないでしょうか?
優待品がカタログギフトやQUOカードの銘柄に注意か?
これらのことから株主優待がカタログギフトだったり、QUOカードだったりする銘柄は、株主優待の廃止・改悪リスクが高まるとJ塾長は考えています。
とくに配当利回りが3%を超えていたり、配当性向が30%を超えている企業で、カタログギフトやQUOカードを優待品として提供している銘柄は要注意ではないでしょうか?
株主優待の廃止・改悪リスクに注意したい銘柄を一部ピックアップしてみました。
注)あくまで配当利回りが高く自社製品以外の優待を実施している企業で、優待廃止リスクが高い銘柄ではありません。
配当利回り 優待内容
- 東海東京フィナンシャル・ホールディングス(8616) 6.48% QOUカード・カタログギフト
- ゆうちょ銀行(7182) 4.91% カタログギフト
- ヒューリック(3003) 3.84% カタログギフト
- エクセディ(7278) 5.41% カタログギフト
- VTホールディングス(7593) 4.97% カタログギフト
- めぶきフィナンシャルグループ(7167) 4.31% カタログギフト
- 山陰合同銀行(8381) 5.20% ギフトカード、カタログギフト
- その他
カタログギフトやQUOカードのような優待品を出している会社を調べてみると、本当にたくさんあります。
優待品が充実しているのは嬉しいけど、自社製品でないかぎり会社の負担は大きくなるよね。
とくに配当利回りが高い会社は配当性向も高いから、優待負担から廃止・改悪リスクが高いと考えた方がいいんだね。
東証の上場基準が変更されて、企業が必要以上に個人投資家を抱え込む必要がなくなっています。
また海外からの投資を集めるためにも株主還元を集約した方がメリットが高いので、株主優待を餌に個人投資家を集める手法に変化が出る可能性がありますね。
そうなると海外からの資金を集めたい企業…金融機関、とくに地銀などは優待の廃止や改悪リスクが高いのではないかと考えています。
株主優待ブームのあとは廃止・改悪ブーム到来か?
テレビや雑誌の影響で株主優待はブームとなっていますが、これからは廃止や改悪が続くかもしれません。
今でも桐谷さんは人気だよね。
優待生活って楽しそうだな。
株主優待でもらう金券で生活する桐谷さんですが、株主優待でもらう金券は現金ではないのでお得なポイントがあります。
優待でもらう金券は配当と違い、20.315%の税金がかかりません。
QOUカードやプリペイドカードは現金と同様ですが、配当所得にならず受け取る時点で非課税です。
つまり、配当で1,000円を貰うと20.315%の税金が差し引かれて800円程度しか振り込まれませんが、優待で1,000円のQUOカードをもらうと税金は必要ありません。
だったら配当をもらうより、優待で金券を貰った方がお得じゃない。
そうです。
だからそろそろ株主優待の内容に制限が出る可能性もあります。
ふるさと納税の返礼品も揉めているので、これと同じだよね。
企業の業績がよく株主優待の負担が少なくても、状況によっては廃止・改悪に追い込まれるリスクもあると思うよ。
株主優待銘柄はブームもあり人気が高いのですが、これからは廃止や改悪のリスクがあることを頭に入れて投資を考えたいと思っています。
とくに配当利回りが一定以上高い銘柄は、配当性向をチェックして無理がない範囲かを確認することも大切です。
※このブログはあくまでJ塾長の感想であり、投資を勧めるものではありません。投資は自己判断と責任でおこなってください。