au通信障害でKDDI株は暴落へ?株価の見通しと投資判断
2021年7月2日深夜から携帯キャリアの「KDDI(9433)」が提供する「au」で、大規模な通信障害が発生しました。
auが大規模な通信障害を引き起こすのは珍しいけど、今回は復旧までに2日以上かかる大規模な傷害だったよね。
4日の朝も完全復旧はできなくて、5日になるとの報道も出てるよ。
7月2日の深夜1時35分から障害が出て、復旧は翌日の7月3日夕方と発表されていたけど、結局は翌日4日の朝になっても一部障害は残った状況だよ。
復旧は4日夕方にもつれ込み、3,915万回線に影響が出た過去最大の通信障害だったね。
しかし、4日も一部通話は制限をかけていて、完全復旧は5日の予定らしい。
そう言えば、父ちゃんは元KDDIの社員だったよね。
それも携帯電話のエンジニア…
大昔の話だけど、KDDIがまだ「DDI」だったころに、auの前身である「セルラー」サービスの交換機エンジニア(SE)でした。
J塾長はNTTでアナログの携帯電話の交換機ソフトウエアSEを経てDDIに移り、auの前身であるセルラーシステムの開発を担当していました。
DDIには10年程度在籍し、その後独立し開業、そして45歳でFIREを実現させています。
今回の障害については色々な発表がありますが、深夜帯のトラブルなのでだいたいの予測ができます。
まぁそれはワイドショー的な話であくまで予想ですが、それよりも問題は株価への影響です。
本日のブログは高配当&株主優待で人気の「KDDI(9433)」の株価について考えます。
通信事業者についての話題は「楽天グループが最大の赤字状況に!5G普及で復活可能か?」も見て下さい。
通信障害の原因はソフトウエアのアップロードミスか?
今回の障害は「VoLTE」交換機で障害が起きたことが要因だと発表されています。
詳しい状況は確認できませんが、J塾長の経験から考えると交換機のソフトウエアのアップデートである「File交換」か、ルートを制御する「データベース交換」のミスだと思います。
傷害発生が金曜日から土曜日にかけての深夜帯には、交換機や基地局設備のソフトウエア改修やデータベース交換が行われることが多く、今回の障害もその時間帯であることから機械的なマシントラブルではなく人為的なFILE交換等の問題だと予測できます。
なんで金曜日から土曜日の深夜にやるの?
これはどの会社でも同じだと思うけど、土日は多くの会社が休業するので、トラブルが発生しても影響を少なくするためだよ。
たとえば平日に通信傷害が起きると金融市場が混乱して、多額の損失が生まれる可能性がありますよね。
そうなると傷害の原因次第では通信キャリア会社への責任も問われる可能性が出てきます。
多額の賠償が出ることも想定されるから、問題が発生してもなるべく影響の少ない週末の深夜を狙うんだよ。
今回も一部障害は残ったけど、月曜日にぎりぎり間に合った形だね。
トラブルが日曜日の夜に発生していたら、月曜日の経済は混乱したかも。
金融機関などのシステムも同様ですが、ソフトウエアのアップロードやデータベースの載せ替え等は週末深夜と決まっていることが多いようです。
また全国には多くの交換機やルーターがあり、そのなかの1台が故障しても全国規模の障害には発展しません。
全国規模の通信障害であれば、やはりデータベース交換による障害が疑われますね。
2018年のソフトバンクが起こした大規模障害と同じ匂いがするよ。(笑)
KDDIの発表ではVoLTE交換機で輻輳が発生し、それが加入者データベースに広がったとの説明をしていますが、実際にはデータベースに誤りがあり、一定のループが発生したことが考えられます。
ここもポイントですがルート変更などのデータベースの切替は、全国同じタイミングで実行する必要があります。
誤ったデータベースを一斉に全国交換機にアップロードしたことで、障害が全国規模に拡大したのではないでしょうか?
KDDIとは別会社の沖縄セルラーでも障害が発生していることとから、切り替えが全国同時だったことが分かります。
今回の障害はデーターベース作成ミスの可能性が高いと感じました。
人為的ミスですね。
実際にはこれからの検証が必要ですが、もし人為的なミスであればKDDIにとっては大きな汚点になるでしょう。
auの通信障害でKDDIの株価はどうなる?
週開けの7月4日、auの大規模障害の影響で「KDDI(9433)」の株価は下落しています。
障害発生前の週末である7月1日の終値は、1株4,313円でした。
そして注目の週明け7月4日の始値は4,202円の111円安からスタートしています。
そして終値は72円安の4,241円でした。
思ったよりも株価への影響は小さく感じましたが、本格的に株価に影響が出るのはこれからだと思います。
今回の障害の影響は高く、KDDIの高橋社長もユーザーや法人への補償についても言及しています。
また総務省の金子大臣もKDDIに対して厳しい行政指導(処分?)を検討していると報道されています。
現状では思ったよりも株価への影響は出ていませんが、携帯キャリア初のユーザーへの補償などが決まった時点で業績見直しから株価の下落が考えられます。
とくに法人契約などの大口では補償額が拡大する恐れもありますね。
また今回の障害でauブランドから他ブランドへの移行するユーザーも一定数出るでしょう。
この状況なのでKDDIに対する新規投資はしばらくは控えた方がよいと思います。
実はJ塾長、KDDIの高橋社長と若いころ、一緒に仕事していました。
ニュースで謝罪している彼を見ると、お互いに歳とったなぁ!と感じました。
頑張ってもらいたいです。
そおれでは過去に障害を起こしたNTTドコモとソフトバンクについて、当時の株価の影響を見てみます。
NTTドコモの通信障害時は株価に影響が出ていない
株価を支えるのは投資家の気持ちなので、今回の通信障害により株価は大幅に下落する可能性があります。
この答えを探るために、2021年10月14日に発生したNTTドコモの大規模通信障害を参考にしてみます。
NTTドコモの障害は2021年10月14日に起きたんだ。
障害復旧まで29時間かかったから、今回のauトラブルとにているよね。
この障害で影響が出た加入者は音声460万人、データ830万人以上で、影響のでなかった県もあったよ。
その意味では今回のauの障害よりは軽い印象を受けるね。
NTTドコモは障害発生前の2020年12月25日で上場廃止となり、日本電信電話(NTT)の完全子会社となりました。
通信障害時にはNTTドコモは非上場企業なので、株価の影響は親会社のNTT株に出るはずです。
2021年10月14日の終値は3,103円、そして注目の10月15日は3,143円で取引を終了しています。
大規模な障害を起こしているのに株価に影響していないね。
株価は上がっているよ。
そうだね。
NTTドコモ自体が上場廃止になっているので、親会社のNTTに影響が出るかと思ったけど、当時は全く影響がでなかった記憶があるよ。
NTTドコモが起こした大規模障害では、NTTの株価に深刻な影響は出ませんでした。
次はソフトバンクを見てみましょう。
ソフトバンクの大規模障害では株価が下落
ソフトバンクが2018年12月6日に起こした大規模障害は、回復に4時間半程度かかりました。
原因はLTE交換機のソフトウエアと発表されており、今回のauも構造は同じではないかとJ塾長は疑っています。
この時点ではソフトバンクグループは上場していたけど、ソフトバンク単体は非上場だったよね。
携帯キャリアのソフトバンク(9434)が上場(IPO)するのが、大規模障害の約2週間後なので微妙なタイミングですね。
この障害で親会社の「ソフトバンクグループ(9984)」の株価は下落、2018年12月5日の株価である4,796円が12月26日には3,473円まで下落しています。
20日間で1,323円、27%も下がったんだ!
暴落だよね。
さらにソフトバンクのIPOが障害から13日後の12月19日だったのですが、IPO初日が始値1,463円に対して181円の1,282円の大幅安となりました。
いやなタイミングで障害が発生したよね。
このようにソフトバンクが起こした2018年12月6日の大規模障害では、2021年のNTTドコモの障害よりも軽度にあるにも関わらず株価への影響は甚大でした。
株価は投資家の気持ちで動く部分があるので、NTTはこれまでの信用から株価が支えられ、ソフトバンクは信用低下で売られたことが想定できます。
KDDI株のこれからの予想
KDDI株については、これから下落することが予想されます。
法人やユーザーの補償が決まれば業績の下方修正がでるかも?
さらにユーザー離れもきになるね。
とくに大口の法人から契約解除されると大きな損失になります。
一度失った信用を回復するのは難しいから。
株価はソフトバンクの2018年同様、しばらくは下落トレンドが続くことが予想できるね。
ただしKDDIは日本の3大キャリアの一つなので、加入者数の減少などの影響は限られていると思います。
現実的に法人に対する補償が鍵ですが、大きく業績を損なう事態にはならないでしょう。
J塾長はKDDIにお世話になった身なので、なにがあっても保有株はホールドです。
頑張れKDDI。
※このブログはあくまでJ塾長の感想であり、投資を勧めるものではありません。投資は自己判断と責任でおこなってください。