コロナ禍の株式投資!日銀によるETF買い入れと結果予想
コロナ禍において経済が停滞しているにもかかわらず、不思議な現象が起きています。
それが株価の高騰。
国民の仕事も少なく、収入も減っている状況で、なぜか株価は高水準で維持しています。
J塾長も当初はコロナによる影響で、株価が大きく下落すると考えてビビっていましたが、実際には一度下落した株価は急回復しました。
「うーん、不思議なこともあるもんだぁ」🙄
言うのもへんですが、現在の株価の水準は「かなりおかしい状況」だと思います。
FIRE(ファイヤ)の生活資金となる不労所得は安定収入が目的であり、今回のコロナのような問題が起こると、経済状況が一変することで収入に影響が出ます。
そのような問題に対応するには株価の推移と、その理由についての洞察力をつけるしかありません。
しかし投資初心者にはこれが難しいのですね。(J塾長も苦手です)
本日はコロナ禍において、「なぜ株価が高水準で維持されているか?」気になる理由の一つを超簡単に解説しますね。
日銀のETF買い入れが株価を支えていた
2021年4月27日に日本銀行(日銀)の黒田総裁の記者会見がおこなわれました。
この席で黒田総裁は以下のように述べていると報道されています。
引き続き新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム、国債買い入れやドルオペなどによる円貨および外貨の上限を設けない潤沢な供給、それぞれ約12兆円および約1800億円の年間増加ペースの上限の下でのETFおよびJ-REITの買い入れにより企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めていきます。
(引用:THE PAGE 「日銀・黒田総裁会見4月27日(全文1)粘り強く金融緩和を続ける必要がある」)
これは日銀が年間12兆円のETFやJ-REITの買い入れをおこなうことで、「金融市場の安定」を図る経済対策を引き続き維持する内容です。
実は日銀は2010年末ごろから段階的にETFの買い入れを始めていました。
2011年には1兆円に満たない金額でしたが、2016年には追加経済対策として年間6兆円まで枠(予算)が増え、それ以降も増加傾向にあります。(2019年は減少)
この日銀が実施するETFの買い入れは、「金融システムの安定」と「物価対策」が主な目的で、ETFを購入することで、市場にお金を供給する効果があります。
お金を供給することでお金が市場に回り、さまざまな経済効果をもたらします。
- 実質金利の低下
- 企業への資金供給
- 設備投資の活性化
- 資産価値の向上
- その他
たくさんの資金が供給されると金融機関の実質金利が下がり、企業は設備投資や人件費などの資金を集めやすくなります。
結果として企業活動が活発化して日本の経済を支える原動力となっていたのですね。
ETFについては「ETFと投資信託の違いとは?NISAの適用や買い方を紹介」も参照してくださいね。(※「J-REIT:不動産投資信託」については、別の機会に説明します。)
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コロナ禍における日銀のETF買い入れ
2020年に入り世界中でコロナによる経済の停滞が始まり、それに呼応するように日銀はETF・J-REITの買い入れを進めてきました。
- 2018年:約6.5兆円
- 2019年:約4.4兆円
- 2020年:約7兆円
このように2018年の約6.5兆円から2019年には約4.4兆円まで減っていた買い入れが、2020年のコロナの影響により2018年を上回る買い入れ結果になりました。
つまり政府日銀は経済が悪化している状況においてETFやJ-REITを買い付けることで、お金を市場に流し「経済を停滞させない政策」を実施し、その結果として株価が高水準で維持されました。
投資家のなかには
「この株価は異常だ」
「実体経済ではない」
「バブルと同じではないか」
などと厳しい内容を指摘する人もいますが、その理由が現在の状況が「日銀による株価誘導」との印象があるからです。
それでもFIRE(ファイヤ)生活を送っているJ塾長は、緊急事態下における政府の対策は心強く感じており…
「ありがとう日銀…」😂
と言わずにはいられません。
これからの日銀の動きを予想
黒田総裁の記者会見では「年間12兆円」の枠内で、ETFやJ-REITを買い入れを引き続き継続する方針が確認されました。
つまり2021年以降も昨年同様の予算で、買い入れ政策を継続すると思われます。
また買い入れ銘柄については、TOPIXに連動しているインデックス型ETFが主体になります。
「それなら株価も安心だぁ」
と思うかもしれませんが、この発表には少し注意が必要です。
黒田総裁の発言はあくまで「12兆円の枠内で…」なので、買い入れノルマはありません。
つまり1兆円しか買い入れしない可能性もあり、それがさまざまな憶測を呼んでいます。
日銀はETFからの撤退を模索か?
2021年の枠(予算)が示されましたが、市場としては日銀の買い入れの姿勢に慎重です。
実は2021年4月以降、日銀の買い入れ実績に不可思議な対応がみられます。
たとえば4月20日にTOPIXが1.25%程度下落したにもかかわらず、日銀の買い入れは見送られました。
それまでは0.5%~1.0%程度の下落で買い入れが入っていたので、この対応は「日銀の介入基準変更か?」と思われたのです。
さらに翌日には2.1%の下落がありましたが、さすがに日銀は700億円程度の買い入れをおこない金融関係者を安堵させました。
今回の黒田総裁の記者会見では「必要があればちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じます。」と述べており、恒常的な買い入れではなく「必要なとき」にだけ買い入れをおこなう方針と解釈できます。
(引用:THE PAGE 「日銀・黒田総裁会見4月27日(全文1)粘り強く金融緩和を続ける必要がある」)
その意味では1%程度の下落では動かず、2%以上の下落で買い入れを実施した今回の動きは、これからの日銀の対応が見えた気がしますね。
どうも日銀としては現状以上の株高は望まず、経済が安定している状況では、ETF・J-REITの買い入れは避けたいようです。
その意味では保有しているETFの売却を含めた「ゆるやかなETFからの撤退」を模索しているのかもしれません。
2021年も買い入れは続くと考えます
日銀の動きは気になりますが、コロナも変異種の問題やインドの爆発的増加など悪いニュースが多く、東京などの緊急事態宣言も解除されるかわかりません。
その状態で経済対策を止めるとまちがいなく経済は悪化し、日本もまた過去のデフレ経済へと戻ってしまうかもしれません。
J塾長の考えでは、日銀はこれまでのように積極的な買い入れは控えるかもしれませんが、必要なときにはインパクトのある介入(買い入れ)を継続すると思っています。
そして結果として2021年の株価は、一時的な調整があったとしても、これまで通りの水準を維持するのではないでしょうか?
ただし日銀の介入が減ると、外国人投資家(外国ファンド勢)の影響力が増す可能性もあるので、とくにアメリカ市場の動きには注目したいと思います。
アメリカも経済対策をばんばんやっていますからねぇ。