HISがハウステンボスを売却へ!借金返済で業績回復はあるか

ハウステンボス売却

旅行大手の「HIS(9603)」が長崎の有名リゾート「ハウステンボス」を売却するとの報道が流れました。

ハウステンボスは父ちゃんも好きで何回も行ったよね。
ドックランもあるよ。

今回の売却の報道で驚いた人は多いと思いますが、業績回復傾向にあるハウステンボスを売却する方針は、それだけHISが追い込まれている証拠とも感じます。

本日のブログは「HIS(9603)」によるハウステンボス売却の背景を考えてみます。

 

HISの状況については「HISがハワイツアー再開…コロナ、円安それでも厳しい状況」も見て下さい。

 

HISがハウステンボスを売却する方針

九州を代表するテーマパークと言えば「ハウステンボス」です。

ハウステンボスはオランダをテーマにしたリゾート施設で、遊具だけでなくホテル、レストランなどの複合レジャー施設です。

ハウステンボスは22010年に経営難に陥り、HISが66.7%の株式を取得することで立て直しを行っていました。

HISが経営を引き継いでから業績は明らかに改善したよね。

そうだね。
コロナ禍で落ち込んだ業績も、今期の中間決算で2年ぶりの黒字化を発表していましたね。
インバウンド需要が落ち込んでいる状況で、営業利益3.9億円の黒字転換はさすがだと思います。

ハウステンボスの前期の売上は110億円程度でしたが、今期は半期決算で100億を達成しており、通期では200億円を超えると見られます。

 

HISがハウステンボスを売却する理由

HISがハウステンボスを売却する理由は、HISの業績が予想よりも悪化していることが要因だと思います。

HISの前期決算は500億円の赤字だったよね。
今期はどうなの?

今期の中間決算では269億円の赤字と、前期比で赤字が拡大しています。
売上も伸びておらず、夏以降の動向に注目しています。
しかし、ここにきてまたコロナ感染数が増加しており、HISには逆風が吹いていますね。

しかし、この状況で業績好調のハウステンボスを売却する理由はどこにあるのでしょうか?

その理由はHISの債務状況にあるようです。

最新の決算書を見ると、HISは「1年以内に返済予定の長期借入金」が317億円程度あります。

つまり1年以内に300億円以上の借金を返済しなくてはなりません。

そこで、業績回復により高く売れるハウステンボスを手放すことになったのはないかと推察します。

 

ハウステンボスの価格はいくら?

プライス

ハウステンボスの売却先は香港のファンドだと報道されており、売却価格は800億円規模とも報道されています。

一般的な企業売却では年間売り上げの5倍~7倍程度がざっくりな基準なので、昨年の売上110億円であれば550億円から770億円が目安です。

800億円なら目安水準だよね。

でも今期は半期で売上100億円なので、年間200億円の売上と考えたら少ないかもね。
でも反対に800億円の価値はなく、500~550億円程度の評価だと想定するアナリストも多いようです。

ただしHISの保有株数は66%程度のなので、たとえ800億円で売れてもHISは520億円程度しか入りません。

500億円で売却した場合は330億円なので、借金返済のぎりぎりラインですね。

報道では800億円とも言われていますが、早期現金化によるディスカウントもあり、実際には500億円~600億円程度で売却されるのではないかと予想しています。

どちらにしてもHISが借金を返済したら、大きくは残らない額だと思います。
もし本当に600億円以下でハウステンボスを売却したら、それだけHISが苦境にある言えるのではないでしょうか?

 

ハウステンボスの売却ではHISは復活しない

ハウステンボスの売却は「タコが自分の足を食べる」のと同じだと感じます。

ハウステンボスは業績回復を示しており、その段階で売却するのはHISも本意ではないでしょう。
しかし売らなけれならない理由もあるので、やむなく判断したと思います。

アナリスト的には「事業を立て直したら売却は当然の流れ」との意見もありますが、それはこのタイミングではないと感じます。

ハウステンボスの売却でHISの業績は回復するのでしょうか?

もちろん借金がなくなるので一時的にはキャッシュフローも改善しますが、長くは続かず業績が回復しないかぎり厳しい経営は続くことが予想されます。

ハウステンボスの売却報道により、一時的に株価が上昇するかもしれませんが、あくまで短期的な動きであり、投資は慎重に考えた方がよいでしょう。

 

※このブログはあくまでJ塾長の感想であり、投資を勧めるものではありません。投資は自己判断と責任でおこなってください。

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