ソフトバンクグループが3兆円超の大赤字!株価はどうなる?

ソフトバンク赤字3兆円

2022年8月8日に開かれた「ソフトバンクグループ(9984)」の2023年3月期第1四半期決算報告で、1Q(2022年4月~6月)で純利益が3兆円を超える巨額赤字であることを発表しました。

 

3兆円って…
怖すぎる。

この赤字はあくまで1Qである3ヵ月間の赤字であって、ここ6カ月間では合計5兆円超の赤字になっています。

 

本日のブログは8月8に発表されたばかりの、「ソフトバンクグループ(9984)」の2023年3月期第1四半期決算の状況を確認し、今後の株価の行方を考えます。

 

ソフトバンクグループの話題については「劣後特約って?利率2.75%のソフトバンク無担保社債が発売」も見て下さい。

 

決算は孫会長の反省会と化した

今回の「ソフトバンクグループ(9984)」(以下ソフトバンクG)の決算報告は、今までのものとは雰囲気も内容も違っており、まるで「孫会長の反省会」の様相でした。

 

 「ソフトバンク創業以来、最大の赤字を2四半期連続で出した。しっかりと反省し、戒めとして覚えておく。今日はわれわれの実態を赤裸々に語りたい」

 

孫会長の言葉で始まった決算報告でしたが、内容は誰もが驚く純利益で3兆円1600億円の大赤字で、前の四半期(2022年1月~3月)を加えた半年では5兆円を超える赤字になっています。

 

今までもソフトバンクGの赤字はあったけど、ソフトバンクGは事業会社でなく、投資会社だから「保有する株式等の評価額」が大切だと言っていたよね。
でもさすがにこれはヤバくない?

ソフトバンクGは節税対策を含めた対策を都度おこなっており、赤字を演出することは過去にもあったようです。
しかし、今回の赤字は孫会長が言うように、明らかに経営陣の失策による問題です。

それでは孫会長が話した経営の失策を見てみましょう。

 

ソフトバンクグループが犯した失敗はビジョン・ファンド

ソフトバンクGの大赤字をもたらした原因は、2つの「ビジョン・ファンド」に関係しています。

 

ソフトバンクはVF1(ビジョン・ファンド1)VF2(ビジョン・ファンド2)と呼ばれる独自のファンドを作り、そこから世界中の未上場企業に対して投資を行っています。
このビジョン・ファンドは合計で20兆円規模のファンドで、今回の赤字は主にVF2の損失が拡大したことが理由です。

 

ビジョン・ファンドのVF1は現時点で新規募集を行っておらず、売却により利益を確定した企業も多くあります。

しかしVF2は現在でも数多くの未上場企業を抱えており、今回の赤字は未上場株の評価を独自に算定した結果判明したと説明されています。

 

ソフトバンクGは未上場株の評価を、上場している同業他社の価格を参考に保守的に算出したと言っているよ。

175社の未上場株を保有するVF2の価値を評価するのは難しいけど、会社の規模や業績を元に、上場している同業他社と比較することで評価額を算出する手法ですね。
孫会長は保守的に評価したと話しているので、厳しい評価を行ったと想定できるよ。

 

ソフトバンクは事業会社ではなく投資会社なので、投資先の資産価値が下がることで業績が急落します。

 

現在の投資環境は原油高に始まって、物価上昇、インフレ、ウクライナ紛争、そして米国利上げ…このような環境のなか、株式市場は低迷しており、投資環境は最悪かもしれません。

ソフトバンクGのVF2の状況は、現在の世界経済の状況を表しているのではないかと思います。

 

ビジョン・ファンドの状況

実は1年前の2021年度第1四半期のビジョン・ファンドの利益は「7兆円」を超えてイケイケドンドン状態でした。

これが1年後の現在は「1,122億円」まで急落しています。

孫会長は1年間で「7兆円あった利益がほぼゼロになった」と話していたね。

 

VFは合計で「2.3兆円」の評価損を出しており、さらに円安の影響でドル建ての借入れ返済額が「8,200億円」増加しています。

ソフトバンクGの借入れは円建てとドル建てを併用しており、円安によりドル建ての借入れに対する負担が8,200億円増加したようです。
2.3兆円の評価損と8,200億円の返済負担の増加で、合計3.2兆円の赤字になりました。

ただし円安により好転したものもあります。

それがソフトバンGの評価で重要視される「NAV(時価純資産)」と「LTV(純負債/保有株式)」です。

NAV、LTVについては下の記事に書いていますのでご覧ください。

 

NAVの状況で株価を判断する

ソフトバンクGの株価を評価する上で重要な指標がNAVとLTVです。

 

ソフトバンクGは投資会社なので、保有株式の「ふくみ益」を評価して株価を判断することが重要です。
過去に孫会長もソフトバンクGの状況を判断する上で、最も重要視している指標だと言っていました。

 

2022年6月30日の円建てNAVは「18.5億円」で、1株当たり「11,640円」となっています。

 

ソフトバンクGは時価純資産を18.5兆円持っていて、発行株式数で割ると「1株当たりのNAV」が11,640円になるんだよね。

そうだね、6月末のソフトバンクGの株価が1株で5,235円だから、1株で6,405円の含みを出していることになるよ。

 

実はNAVはドル建てでは2022年3月末の$151bn(ビリオン)から2022年6月の$135bnと$16bn減少しています。

しかし円安の影響で円建てでは2022年3月末から増減はなく、18.5兆円に留まっています。

 

なんか数字合わせのごまかしの感じがする。

色々な考えはあると思うけど、円安で損失が出ている部分もあるから、円安で救われることも現実的にありだと思うよ。
しかし、孫会長は2022年6月末にあった18.5兆円のNAVは、7月末にはさらに1兆円減少したことも言及しているから、現在は17.5兆円だと想定できるね。

 

このことから1株あたりのNAVも5.5%程度下落したと想定できるので、現在は「10,100円」程度になると考えます。

 

NAVは悪化していますが、現在の株価である5,300円水準であれば、割高水準とは言えないと考えます。

 

LTVの状況で株価を判断する

LTV(純負債/保有株式)は保有株式の純資産額に含まれる純負債の割合を見ます。

 

LTVは借金に対する保有株式を計る指標で、数値が高いほど負債割合が多いと考えます。
ソフトバンクGの方針としてLTVは基本的には25%以下高くても35%以下を経営方針として掲げており、現在のLTVは14.5%と2022年4月時点よりも6%程度改善しています。

 

LTVが大幅に改善した理由は円安による影響もありますが、「アリババ株を利用した資金調達」や「Tモバイル株式の売却したことによる現金化」の効果によるものです。

 

ソフトバンクGは保有するアリババ集団の株式を1/3程度売却するデリバティブ取引で、104.9億ドル規模の資金を調達しました。

さらにTモバイルの株式を24億ドルで売却することで、合計128億ドルの資金調達を行っています。
これによりキャッシュフローが改善しLTVも大幅に下がっています。

 

ソフトバンクGは投資会社なので、利益が見込まれる企業の株式を売却するのは当たり前なので、この判断は正しいと思います。

 

また報道によるとアリババ株の売却は「買戻し条項」がある取引なので、売却とと言うより担保を入れる的なイメージかな?
そこらはさすがに抜け目ないソフトバンクGですね。

 

孫会長には反省して貰いたい人が続出

今回のソフトバンクGの決算報告は、孫会長の反省会の様相でスライドのトップには「徳川家康三方ヶ原戦役画像」を映していました。

 

徳川家康ではなく孫会長であのポーズなら笑ったよね。

 

孫会長は過去の自身を「有頂天になっていた」ことを認めており、これからは厳選した投資を行うことを明言していました。

ソフトバンクGのビジョン・ファンドの2022年3月31日から2022年6月30日までの下落率は約31%ですが、ナスダック総合指数の下落は22%です。

これはあくまで結果論ですが、10%近く損失が大きいことは、投資先の選択運用に問題があることを意味しいるので、厳選した投資を期待したいと思います。

 

ソフトバンクG株価の影響は軽微か?

ソフトバンクGチャート
参照:Yahoo!ファイナンス

この決算のにより株価は下落していますが、8月8日の5,696円から10日AMで5,274円と422円の下落です。

だいたい7.5%程度の下落だよね。
日本史上初めての大型赤字なのに、さすがソフトバンクGと言ったところだね。

たしかに数字は3兆円と大きいのですが、NAVやLTVなどの理解すると、まだ危機的な状況ではないことが見えてきます。(あくまでJ塾長の見方です)

しかし、この状況がしばらく続くことが考えられるので、これからも注視したいと思います。

 

J塾長はソフトバンクGの株は持っていませんが、スマホ事業の「ソフトバンク株」とソフトバンク債は保有しています。

だから、孫会長にはこれからも頑張ってもらいたいと期待しています。

 

※このブログはあくまでJ塾長の感想であり、投資を勧めるものではありません。投資は自己判断と責任でおこなってください。

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