高配当で株主優待2倍、さらに株式分割…だけど増えない出来高

出来高増えない

企業の経営者にとって自社の株価は評価を表すだけでなく、資金調達の意味からも重要なものです。

なかにはさまざまな手段で株価を上げようとする企業もありますが、思惑通りには進まないことも多いようです。

以前も嘘の決算で株価を上げて自分だけ売り逃げした経営者もいたよね。
もちろん逮捕されたけど。

会社の株価を上げる対策は違法ではなく、企業方針として株価上昇を計るのは正しい判断です。

しかし、色々な対策を行っているにも関わらず投資家が反応しないと、これはこれで悲しくなりますよね。

本日のブログは「高配当」、「株式分割」、「株主優待が2倍にアップ」と、株価爆上げ要因なのに出来高が増えない「フォーライフ(3477)」を紹介します。

 

株主優待の話題は「おとり広告のスシロー、顧客を馬鹿する対応で純利益が1/3に」も見てください。

 

9月30日に基準で株式分割

横浜、川崎などを中心に分譲住宅や注文住宅を提供する不動産会社の「フォーライフ(3477)」は、2022年9月30日を基準日として「1:2」の株式分割を実施します。

株式分割って1株を複数株に増やして、1株当たりの株価を下げることだよね。

そうだね。
フォーライフのように1株を2株に分割すると、100株が200株に増えますが、株価は1/2になるので合計金額は変わりません。
たとえば1株が1,500円なら「1:2」の分割後の理論的な株価は1株750円です。
ただ、分割により人気が出ることで、若干の変動はでてきます。

一般的に株式分割は1株当たりの株価を下げ、個人投資家が買いやすくなることから、株価上昇の材料と言われています。

 

分割効果で株主優待が2倍に

フォーライフは株主優待銘柄で、保有数により「フォーライフ・プレミア倶楽部」で使用できるポイントを提供しています。(年1回)

 

現在の株主優待

  • 100株~299株   :  1,000ポイント
  • 300株~499株   :  3,000ポイント
  • 500株~      :  5,000ポイント

 

株式分割を実施することで株主優待も若干の変更を発表しています。

 

株式分割後の株主優待

  • 100株~599株   :  1,000ポイント
  • 600株~999株   :  3,000ポイント
  • 1,000株~     :  5,000ポイント

株式分割で1株が2株になるから、分割後の保有株式数は2倍になっているけど、最低株式保有数の100株は変わらないから、分割前の50株で優待の権利が得られるのと同じだよ。

よく気が付いたね。
株式分割後でも優待に必要な最低保有株式数を100株にしているので、今までの50株の資金で株主優待が貰えます。
100株保有では優待利回りが2倍に上昇した訳です。

フォーライフの現在の株価は1,500円水準なので、100株保有の優待利回りは0.66%ですが、分割後の株価を750円と仮定すると1.33%に上昇します。

利回りが2倍にアップするのは分割後の100株だけなので、優待重視であれば100株投資がおすすめですね。

 

フォーライフは高配当銘柄

フォーライフは高配当銘柄でもあり、今期の年間配当は54円を予定しています。

でも9月に株式分割をするから分割前の中間は20円、期末は分割後で17円(分割前の34円)を予定しているよ。

前回の配当予想では中間20円、期末が34円だったので、期末が分割により半分になっていますが、年間の配当利回りはかわりません。

配当利回りは3.62%程度なのでFIRE(ファイア)投資にも利用できる高配当銘柄です。
また分割後の100株保有での総合利回りは4.95%と高水準です。

 

好材料一杯なのに業績は悪化の一途

悪化

フォーライフは2022年8月9日に2023年3月期第1四半期の決算報告を行いました。

 

  • 売上   :  32億円(前期比14%増)
  • 経常利益 :  1億円(前期比42%減)
  • 純利益  :  0.7億円(前期比49%減)

 

売上は伸びているけど利益が大幅に減っているね。
何か要因はあるの?

フォーライフは分譲住宅や注文住宅を手掛けているから、ウクライナ紛争によるウッドショックがかなり影響しているようだよ。
また分譲住宅では材料不足の影響もあり、販売在庫不足も影響していますね。

決算報告を見るかぎりでは、今期の業績計画と照らし合わせると、これからも大幅な悪化が見込まれます。

 

材料一杯なのに増えない出来高

フォーライフは「高配当」、「株式分割」、「株主優待が2倍にアップ」と、個人投資家が好む材料が一杯ですが、株価は反応せず、さらに出来高も低迷しています。

とくに出来高の低さは驚くよね。

実はフォーライフの出来高は通常で1日100株~800株程度で、取引がゼロの日も少なくありません。

ただし、決算発表で分割と優待の利回りアップを発表したことで、8月10日は出来高が42,000株に急騰しました。

しかし、これは一瞬の出来事でよく営業日である12日は5,700株、らに15日は2,400株、16日は1,300株と出来高は減少していますね。
このままではまた出来高が元の水準に戻るでしょう。

出来高が少ない株式は流動性が悪く、現金化に支障が出るのでFIRE投資には向いていないことを覚えておきましょう。

出来高が増えない理由は企業に人気がなく、将来性にも疑問が持たれているからです。

株式分割や優待利回りのアップ、さらに高配当を出しても、人気のない銘柄では投資にもなりません。

ここは注意して下さいね。

 

まとめ

株式のなかには株価対策としてさまざまな手段を用いることがあります。

とくに最近では東京証券取引所の区分編成を行っており、区分を上げるために様々な株価対策を実施する企業が増えています。

しかし、魅力的な対策を行っても、出来高が上昇せずに株価も低迷する銘柄も少なくありません。

フォーライフは「高配当」、「株式分割」、「株主優待が2倍にアップ」と魅力的な材料を出しましたが、現状では若干の反応はあっても出来高を大きく上昇させることはできませんでした。

このままなら9月30日の基準日前に大きく売られる可能性が高いと思います。
ここから一時的に株価が上がる可能性もありますが、基準日近くで暴落が予想できるので、投資には十分な注意が必要だと思います。
 
FIRE(ファイア)目的の長期投資であっても、今のタイミングでの投資はおすすめできません。

優待株,株式投資