楽天グループがモバイル地獄へ突入!大幅赤字と加入者減の影響

楽天モバイル地獄

楽天グループ(4755)」が2022年8月10日に2022年12月期第2四半期決算(2Q)において、半期の純利益が1,766億円の赤字になると発表しました。

楽天グループのEC事業は好調だから、原因はやっぱり「アレ」ですね。

そう、アレだよね。
楽天モバイルの設備投資が大きく業績を悪化させているんだよね。

毎回、決算報告のたびに「次は改善する」とか言われていましたが、なかなかその約束は履行されないようです。

楽天グループ(4755)」の2Q決算については、さまざまなニュースで取り上げられているので、本日は「楽天モバイル」の状況について想像してみます。

 

みんな大好き楽天グループの話題は「ガーシーchの暴露で株価は下がるのか?楽天グループ株の影響」も見てください。

 

楽天グループの半(2022年1月~6月30日)決算内容

楽天グループの2022年12月期中間決算の概要を見てみましょう。

 

  • 売上   :  8,935億円(前期中間:7,936億円)
  • 経常利益 :  △2,144億円(前期中間:△955億円)
  • 純利益  :  △1,766億円(前期中間:△770億円)

 

主力の「国内EC事業」や楽天が言う「フィンティック事業」などは相変わらず好調なのに、「…声に出してはいけないお方…」のために、赤字になっているだよ。
ちょっと酷い状態だよね。

「声に出してはいけないお方」とは、楽天モバイルのことだと思うけど、本当にモバイル事業は酷い状況に入っていると感じる内容だね。

中間決算の内容は多くのニュースで取り上げられていますが、モバイル事業の設備投資がさらに拡大しており、楽天グループ全体の利益を食いつぶしているのは間違いないでしょう。

しかしながら楽天モバイル事業が軌道にのれば楽天グループは大きく躍進し、日本有数の巨大企業に発展する可能性もあります

しかし、楽天モバイルのシェアが拡大し、大きな収益を上げられるようになるのでしょうか?

 

楽天モバイルはシェアNo.1を取れるか?

総務種が6月17日に「令和3年度第4四半期(3月末)の電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データ」を公表しました。

NTTやKDDI、ソフトバンクをはじめとする電気通信事業者の各種報告をまとめた統計で、携帯事業の契約数などがまとめられています。

このデータを見ると移動通信の契約数で最も多いのが「NTTドコモ」で36.3%、次に「KDDI」で27.1%「ソフトバンク」は21.1%で3位になっています。

楽天モバイルはどうなの?

楽天モバイルは残念ながら2.4%で他の事業者とは比較にならない数字でした。

このことを踏まえて今回の決算報告を振り返りますが、楽天グループの三木谷社長は決算プレゼン資料で「携帯キャリアNo.1」を目指すとぶち上げていましたが、現状の2.4%のシェアではどうしようもありません。

日本では沖縄以外ではNTTドコモが圧倒的に強く、これはこれからも変わらないと思います。

NTTが強い理由は電電公社時代からの設備だけでなく、土地などの不動産を数多く所有していることが上げられます。
基地局を作るビルや土地を持っていることで、安価に基地局の建設が可能で、競争力も増すでしょう。
さらになんと言ってもNTTブランドの安心感は大きいですから。

楽天モバイルが実際にNo.1になるためには、シェアを2.4%から40%程度に上げなくてはなりません。

携帯事業者は先行事業者が有利なので、楽天モバイルが大きくシェアを伸ばすのは難しいと考えます。

 

後発の携帯事業者が不利な理由を少しだけ解説

前にも話したと思いますが、J塾長はもともとNTTの通信研究所で携帯電話開発のSEとして働いており、交換機のプログラムを作っていました。

その後、KDDI(当時DDI)に転職、携帯事業の立ち上げに参加し、セルラー交換機の開発に携わっています。

後発の携帯事業者が不利な理由としては、基地局を建てる土地やビルの確保が難しいことも理由です。
基地局建設にはアンテナはもちろん基地局設備の設置場所が必要ですが、好立地な場所はNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが既に抑えており、後発事業者は基地局用地の確保が難しくなります

基地局を建設するには複雑な計算により効率の良いエリアを見つけ、土地やビルのオーナーに対して借入れを申込みます。

しかし、そのような好立地物件は既に3大キャリアが押さえているか、オーナーが基地局建設に協力してくれないことが多いのです。

楽天モバイルの基地局建設が進まない理由に、基地局用地が見つからないことを上げていましたが、なかなか貸してくれるオーナーがいないのも現状です。

もともとは定期借地権で借りようとした土地であっても、オーナーが貸してくれず、買い取ることもあるので、こうなるとドンドン設備投資が大きくなります。
楽天モバイルの基地局設置費用が予定よりもかさんでいる理由は、土地や建物の取得費用が予定よりも大幅に上がっていることも理由だと思いますね。

このように先発事業者であっても後発事業者であっても、効率の良い基地局用地は一部のエリアに絞られます。

しかし、めぼしい場所は3大キャリアが押さえているので、楽天モバイルは高い費用を払って他を探すしか方法はなく、それが設備投資の高騰を招く原因になっています。

 

0円プラン廃止で加入減は大丈夫じゃない

楽天モバイルは2022年4月に契約数を500万件と発表していましたが、6月末時点の契約数は477万件23万件もの解約が発生しています。

理由は0円プランの廃止だよね。

もともと0円プラン自体が意味がなかったと思うけど、廃止することで20万件以上の解約がでるとは思ってなかったと思うよ。
しかし、三木谷社長は「金にならないユーザーが出て行った」的な強気の発をしているけど、現実的にはその23万人が他の携帯事業者へ移動した事実は無視できないよね。

そうかぁ、楽天モバイルを解約した人は、MNPでpovo(KDDI)」、や「ワイモバイル(ソフトバンク)」に乗り換えたんだ。

そうだね。
他社の発表では楽天モバイルを解約した人が、移動したことが予想できるデータも出ているよ。
また解約した人の20%程度が0円ユーザーでないことも指摘されているから、「お金にならない人が出て行った」との三木谷社長の話は「強がり」だと感じるね。

そもそも0円プランを始めて「お金にならない加入者」を増やした意味がよくわからないのですが、加入者数を一時的に高めなくてはならない理由があったのでしょうか?

もしかしたら出資者を探す目的で、アピールのために加入者増を演出したのかなぁ…?

それくらい意味のない話ですよね。

 

2022年11月にはさらなる解約が発生する

解約

実は0円プランが廃止になっても2022年10月まではポイントバックにより、1Gまでの通信は実質無料になります。

0円プランが終わっても、ポイントバックされるから実質無料なんだね。

あくまで1G以内の利用だけど、10月末までは楽天ポイントのポイントバックで実質無料になるよ。

だから…11月にはさらに解約者が続出すると予想できるんだ。

0円プランを解約した人は三木谷社長の言うとおり「普段からスマホを利用しない人」も含まれると思います。

しかし、ポイントバック終了する時点で解約する人は、「そこそこスマホを使用している人」ではないでしょうか?

どの程度の解約が発生するかは分かりませんが、その数によっては楽天モバイルはさらなるピンチを迎えるでしょう。

 

孫会長を真似ているが何か違う

楽天グループのビジネスはソフトバンクグループの真似をしているように感じます。

ソフトバンクグループは投資会社なので「将来性のある企業に投資して育てて売る」のが業務内容です。

現在、楽天グループも子会社の楽天銀行や楽天証券をIPOすることで、多額の資金を集めようと画策しており、ソフトバンクグループのやり方と似ている印象を受けます。

楽天銀行と楽天証券のIPO申請が始まっているとか…

まずは楽天銀行をIPOするみたいですね。
申請は既に提出されており、審査待ちだと報道されており、近く上場されるのは間違いありません。

しかし問題なのは、IPOで調達した資金が全て楽天モバイルに消える可能性があるからです。

完全子会社をIPOさせることにも若干の疑念はありますが、このような手法で資金を調達するのは珍しくはありません。
しかし、IPOで得た資金の大部分を、別事業の借金返済に利用するとしたら、IPOに参加した投資家からは非難が出るのではないでしょうか?

将来的に楽天モバイルが巨額の収益をもたらす可能性が高いのあれば、既存株主も納得すると思いますが、先ほども書いた通り日本において楽天モバイルがシェアを独占することは考えられません。

せっかくの資産をどぶに捨てているようにしか思えません。

なんか三木谷社長はソフトバンクの孫会長の真似をしているように見えるけど、結局は持ち駒が少ないから軽く見えるんだよね。
でも孫会長も先日のソフトバンクグループの決算で「大反省」してたけど(笑)

 

楽天グループ…ちょっとヤバくない?

楽天グループの決算ハイライトでは「国内EC:12.3%増」、「グローバル(トラベル):23.9%増」、「フィンテック(金融):28.8%増」と堅調に推移していますが、それらを飲み込む勢いでモバイル事業の負担が増加しています。

楽天グループの決算ハイライトを見ると、無理やり明るい話題を押し出していて、かえって不安を煽っているように見えるよ。

もう引き返せなくなっているから、突き進むしか方法がないのかもね。

携帯事業は5Gの目途が立ってもすぐに次の設備投資が始まる厳しい世界なので、このまま赤字が拡大する可能性は低くないと予想します。

 

まとめ

楽天グループは楽天モバイルがなければ、投資対象として魅力あふれる企業です。

しかし、楽天モバイルの現状は、お金を飲み込むバキュームカー的な存在で、グループで稼ぎ出した利益をそのまま飲み込んでいます。

また楽天経済圏のポイントサービスが改悪されているのは、すべて楽天モバイルが原因だと思います。
その意味では楽天のヘビーユーザーはポイント減額分を楽天モバイルに献上していることになります。
このまま改悪を続けていれば楽天経済圏から脱出するユーザーも増えるでしょう。

楽天グループは今期は「ローミング費用の減少」を理由に、業績が回復傾向に向かうと話していました。

しかし、実際には赤字幅が拡大加入者の減少が起きています。

また日本郵政との提携も話題になっていますが、根本的な問題解決にはなりません。

さらに中国の大手IT企業であるテンセントについても、過去に出資を受入れましたが、結果として日米の監視対象企業になったことから、これ以上の出資を受け入れることは難しいと思います。
もっともテンセントも業績悪化から株価も下落しており、その余裕はないかもしれません。

引くも地獄、進むも地獄”の「楽天地獄」の様相ですが、株価がどんなに安くなっても投資は控えた方が良いと思います。

とくに投資初心者の方は手を出さないようにしましょうね。

 

※このブログはあくまでJ塾長の感想であり、投資を勧めるものではありません。投資は自己判断と責任でおこなってください。

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