いよいよ海運株に危険信号?高配当の日本郵船、商船三井

海運株やばい

J塾長が実践しているFIRE(ファイア)投資は「高配当株に対して投資を行うことが基本」ですが、現在の高配当株ランキングのトップは「日本郵船(9101)」です。

いわゆる海運株と呼ばれるものだよね。

そうだね。
コロナの流行が原因で海運業は需要が逼迫したことから運賃が高騰し、結果として業績を伸ばしています。

日本郵船も運賃が上昇するにつれ、収益も増加し株価も上昇しています。
実は配当利回りランキングのトップは日本郵船だけど、2位も同じ海運株の「商船三井(9104)」なので、それだけ海運業界が儲かっていることがわかりますね。

コロナが流行して2年程度ですが、株式市場は海運株の好調さが目に付きました。

しかし、このまま海運株の進撃は続くのでしょうか?

J塾長の考えとして、海運株に今から投資するのは危険だと感じています。
たしかにここしばらくは高配当で株価も右肩上がりでしたが、これからもそれが続くとは思えません。

本日のブログは海運株に対する危険信号について個人的な見解を紹介します。

 

日本郵船、商船三井の話題は「商船三井1Qは経常利益2.7倍、増配発表で配当利回り13%」などを見てください。

 

 

バルチック海運指数がピークの1/3に

過去のブログでも紹介してきましたが、日本郵船や商船三井の業績は海運業における運賃で決まります。

 

つまりコンテナ船であれば「コンテナ運賃」が高騰すれば利益が増え、コンテナ運賃が下落すると収益性も低下します。

 

現在のコンテナ運賃の状況を見るのに使われるのが「バルチック海運指数」だよね。
バルチック海運指数が高いと、コンテナ運賃の相場が高く、海運業者の収益が増えるんだよ。

そうだね。
そして現在のバルチック海運指数はピーク時の1/3になっているんだよ。
つまり、これはコンテナ運賃がピーク時の1/3の価格に低下していることを意味しています。

バルチック海運指数のチャートを見ると、2021年10月には5,202ポイントだったのが、現在は1,760ポイントまで下落しています。

2022年8月末には一時1,082ポイントまで下落したので、それよりかは若干上昇しましたがここからの大幅な上げは期待できないと思います。

ちなみにバルチック海運指数は1985年1月4日を基準(1,000ポイント)として、現状を比較、算出しているよ。
だから8月の1,082ポイントは1985年当時と同レベルまで下がったことが分かるよね。

運賃下落により収益性の悪化が予想できる

バルチック海運指数は「不定期船のコンテナ運賃」の運賃指数なので、これが下落することは海運業者の収益悪化を意味しています。

コロナ禍で需要が急増した海運業界も、ついに需要が悪化したのかな?

現在の1,500~1,700ポイントレベルは、コロナ前の指数と同レベルなので、需要が減ったと言うよりは、元の状況に戻った印象を受けますね。

コロナ需要で好業績を上げていた日本郵船、商船三井も運賃の下落により、収益が大幅に低下する可能性があります。

ただし運賃価格の下落の影響は時間的なズレがあるので、収益が低下するのは来年以降だと思います。

 

バルチック海運指数と株価の関連を探る

バルチック海運指数
参照:ブルームバーグ

現在のバルチック海運指数は1,760ポイントですが、これは2020年6月の水準に該当します。

そのころの海運株の株価はどうなの?

日本郵船は1株515円程度だね。
現在の株価が2,500円なので、1/5程度の株価です。
商船三井は630円で、現在の価格は2,600円程度ですから1/4程度の株価ですね。

 

コンテナ運賃の高騰に合わせてピーク時の株価も4倍~5倍も上昇しましたが、需要が元に戻ったことから株価も下落する可能性が高いと考えます。

 

また運賃が下落したことで高収益が維持できなくなり、配当にも影響が出る可能性があります。

ただし今年については高収益が期待できるので、影響が出るのは来期以降になるのではないでしょう?

 

米国株の暴落が引き金で海運株も暴落

2022年9月29日は海運株の下落がとくに大きく、日本郵船は3月末と比較して31%商船三井は24%も下落しています。

米国の利上げによる株式市場の環境悪化が引き金ですが、バルチック海運指数と中国コンテナ船運賃指数の下落が要因だと思います。

みんな「海運株そろそろやばくない?」と、チキンゲームをやっていたところに、米国市場の暴落が起きて「やっぱり売ろう!」ってなったのかな?

べっちゃん、それけっこう合ってるかもね。
どの会社でも永遠に業績が伸びることはないから、ビビりながら保有している株主も多いと思うよ。
配当利回り15%ってどう考えても異常だよね。

 

海運株の投資はよく考えて

現在、日本郵船、商船三井、川崎汽船などの株式保有者は、そろそろ売りを考えても良いかもしれません。

もちろん、コロナ前に購入した人は、そのままホールドで問題ないと思います。
しかし、株価の急騰時に購入した人は、利益が出ている時点での売却も方法ではないでしょうか?

また、ここからの海運株への投資はおすすめできません。

バルチック海運指数や中国コンテナ船運賃指数が下落していることから、海運業者の収益性の悪化が考えられます。
近い将来の業績悪化が想定できるので、とくに投資初心者は注意が必要です。

しかし、実際のところでは業績が悪化するのではなく、ここ数年がコロナの影響で異常だったと思われるので、元の状況に戻るだけだと考えてもよいでしょう。

さらに、米国やヨーロッパEUの「リセッション(景気後退)」が起きれば、さらに海運業界の業績は悪化するので、利上げによるリセッションの状況も影響するでしょう。

米国のFRBやEUのECBは「リセッションは仕方がない」との姿勢でインフレ対策を行っていることから、高い確率でリセッションが起きると思います。
そうなると海運の需要低下は免れません。

 

まとめ

FIRE(ファイア)投資で人気の高配当株の利回りトップは日本郵船と商船三井です。

コロナの流行を要因としたコンテナ需要の急増により、大幅に業績を伸ばして配当利回りも10%を超えています。

しかし、不定期船の運賃を指数で表すバルチック海運指数が、ピーク時より1/3以下に低下しており、これからの収益性の悪化が懸念されます。

また中国コンテナ船運賃指数も下落しているので、業績への影響は避けられないと思います。
しかし、この影響が表面化するのは、来年以降になると予想します。

高配当で魅力的な日本郵船、商船三井ですが、将来的には業績悪化が予想できるので、投資判断は十分に注意してください。

またコロナ以降の株価急騰時に投資を行った人は、売却も検討した方が良いと思います。

 

※このブログはあくまでJ塾長の感想であり、投資を勧めるものではありません。投資は自己判断と責任でおこなってください。

株式投資