年利3%?の社債が爆誕!ソフトバンクグループ社債は安全か

「ソフトバンクグループ(9984)」が発行する「無担保社債」が、12月に発売されることが決まったようです。
毎回、利率が高いことで有名なソフトバンクの無担保社債ですが、今回は前回のような劣後特約付き社債ではなく「普通社債」です。
ソフトバンクグループ(ソフトバンクG)は、2023年3月期の中間決算で1,290億円の純損失を出しているけど、この社債って大丈夫なの?
ソフトバンクGの業績は悪化しており、大きな理由は「SVF(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)の損失」によるものと考えて良いでしょう。
つまり、成長性を見込んだ企業に対して多額の投資をしたのだけど、それが上手くいかないことが要因です。
まぁ、コロナやウクライナ紛争などの影響もあり、さらに米国は利上げの影響で、インフレも加速しているから、予想外と言えばそうなんだけど。
本日のブログは「ソフトバンクグループ(9984)」が発行する、「第58回無担保社債」についての投資判断を考えます。
過去にソフトバンクグループが出した「第5回無担保社債(劣後特約付)」についての話題は「劣後特約って?利率2.75%のソフトバンク無担保社債が発売」を見てください。
ついに年利3%も狙える社債が発行される
米国では利上げの影響で様々な金融商品で金利が上昇していますが、その影響は日本にも出始めているようです。
日本の銀行は今でもクソみたいな低金利だけど、今回のソフトバンクGの社債は凄いらしいね?
実際の金利が決まるのは12月1日になりますが、もしかしたら3.05%の金利になるかもしれません。
まずは今回、ソフトバンクGが発行する普通社債の概要を見てみましょう。
- 名称 : ソフトバンクグループ(株)第58回無担保社債
- 発行体 : ソフトバンクグループ(株)
- 期間 : 7年
- 格付け : A-(JCR)
- 利率 : 年2.45%~3.05%(税引前)
- 購入単位 : 100万円以上100万円たんい
- 申込み期間 : 2022年12月2日~15日(SBI証券)
- 償還日 : 2029年12月14日
- 発行額 : 3,850億円
第58回無担保社債の金利は、年2.45%~3.05%を予定しており、決定されるのは12月1日です。
金利が決まるのは12月1日だけど、3%を超える可能性もあるんだよね?
ソフトバンクGの社債は金利が高いことが有名で、今年の初めに発売された劣後特約付きの無担保社債も2.15%~2.75%の金利幅がありましたが、結局2.45%と上限近くに設定されました。
だから、今回も3.0%にはと届かないかもしれませんが、2.9%付近までくると予想します。
金利については12月1日にSBI証券、その他の証券会社のHPで発表され、翌日2日から申込みの受付を始めるようです。
今回は抽選ではなく申込み順に販売されるようです。
高金利なので人気が集中する可能性もあるので、購入を検討したい人は想定金利を考えて、実際に決定された金利と比較して投資を判断してください。
赤字続きのソフトバンクグループは大丈夫なの?

最近のソフトバンクGで良い話題は少ないように感じます。
1Qの決算報告でも孫会長が反省したし、2Qの今回も大幅な赤字だし…
こんな会社の社債を買っても大丈夫なの?
ソフトバンクGは投資会社なので、一般的な決算内容だけでは事業の健全性を判断することはできません。
さまざまなグループの元締めで、ファンド運用がメインだから、単純に利益と言っても判断するのは難しい印象を受けます。
そこでソフトバンクGの状況を判断するに重要なのが、NAVとLTVです。
「NAV(時価純資産)」は保有している株式資産から純負債を差し引いた時価総額で、現在保有する純資産額がわかります。
つまりソフトバンクGが投資目的で保有する株式の時価合計から、純負債を差し引いた金額で実質的な資産と考えて良いでしょう。
ソフトバンクGの説明では2022年9月のNAVの金額は16.7兆円です。
でもたしか昨年の9月末のNAVは20兆円あったような?
するどいね。
たしかに昨年9月末のNAVは20兆円、さらに今年の3月末のNAVは18.5兆円でした。
その意味ではNAVが悪化しているのは事実ですが、最近の米国市場の景気後退を考えると大きく崩れてはいません。
むしろ影響が少ないと考えても良いでしょう。
さらに「LTV(純負債/保有株式)」は保有株式の純資産額に含まれる純負債の割合を見ます。
今回発表された9月末のLTVは15.0%で、昨年9月末の18.7%から大きく改善されています。
LTVは保有する株式価値に占める純負債の割合です。
ソフトバンクGの指針としてはLTVは25%以下を目標にしていますので、15.0%はかなり良い数字だと思います。
社債の償還は大丈夫なの?
ご存じの通りソフトバンクGは定期的に社債を発行しており、集めた資金の使用目的は過去に発行した社債の償還費用に等に使用されます。
ソフトバンクの社債って過去の社債の償還に使っているんだ。
ソフトバンクGは投資会社だから、社債で集めたお金は借入金等の返済に使用することが多いみたいだね。
今回の社債も国内向けの社債や外貨建て社債の償還費用に使用します。
でも、それじゃ自転車操業にならないの?
そのような見方もあるけど、一般の企業と違って投資会社だから、社債で集めた資金を借入金の返済に使うのは問題ではないよ。
お金がないから社債を発行しているのであれば問題だけど、ソフトバンクGには流動資産が十分にあるから心配はないね。
社債を発行して借入れ金の資金調達をするソフトバンクGですが、流動資産(現金化しやすい資産)は4.3兆円あると説明されています。
今後4年間に償還しなくてはならない社債の予定金額が4.1兆円なので、現在保有する流動資産だけで賄える計算です。
つまり、社債を発行して資金調達しなくても償還できるけど、運用資産が減るのであえて新たな社債で資金調達を行うと言うことです。
いよいよ金利3%社債時代が来る
今回の社債の金利は12月1日に発表されますが、J塾長の予想は2.8%~2.9%あたりだと考えています。
低金利時代を迎えていた日本ですが、これから様々な金融商品で金利が上昇する可能性があります。
ソフトバンクG社債も3%が見えてきたことから、来年は年利3%の社債時代の到来となるでしょう。
FIRE(ファイア)投資としても注目したいですね。
投資判断は?
現在ソフトバンクGは市場環境を鑑みて、守りの経営に注力していると説明していました。
SVF(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)はどうなの?
SVF1もSVF2も著しい成果がなく、現在は投資を休止している状態です。
昨年までの投資額と比較したら、驚くくらい守りに入っている印象を受けますね。
ソフトバンクGは投資会社なので実際の業績は海外企業が中心で、インフレ経済のなか、厳しい状況が続くと考えられます。
しかし、「arm」や「PayPay」事業などは順調であり、半導体のarmの成長率は21%に達しています。
ソフトバンクGの業績は米国経済が鍵であり、その意味では最近のインフレ鈍化は良いニュースです。
米国経済のインフレが抑制され経済が盛り返すことで、ソフトバンクGにも大きな恩恵をもたらすでしょう。
今回の社債の期間は7年ですが、この期間中にソフトバンクGが倒産する可能性は低くく、また業績は来年以降回復に向かうと思うので、大きな心配はないと判断しています。
今回の社債の格付けは「A-(JCR)」で、投資対象としては問題はありません。
ただし、社債と言っても投資なので、慎重に考えてから判断してくださいね。
まとめ
ソフトバンクGが2022年12月に第58回無担保社債を発行します。
気になる金利は2.45%~3.05%を予定しており、12月1日に決定されます。
もしかしたら3%超えの金利になるかもしれません。
ソフトバンクGの業績は悪化していますが、市場環境が悪い現在は守りの経営を実践しており、流動資産等が大きく棄損することはないようです。
ソフトバンクGが重要視するNAVも若干悪化していますが、大きな問題にはならないレベルだと感じました。
さらにLTVは改善されているので、守りの経営の効果が出ていると判断できますね。
ソフトバンクGの社債にはいつも賛否が出ますが、現実的には毎回完売されており、大人気の社債です。
投資を考えている人は早めの申込みをおこなってください。
※このブログはあくまでJ塾長の感想であり、投資を勧めるものではありません。投資は自己判断と責任でおこなってください。