利率決定!ソフトバンク社債と楽天カードマン債…買うなら?

ソフトバンク楽天どっち?

12月1日、「ソフトバンクグループ(9984)」の「第58回無担保社債」が発行されるにあたり、注目の利率が発表されました。

また12月2日には「楽天グループ(4755)」は子会社の楽天カードから発行する、「第9回無担保社債(楽天カードマン債)」の利率も発表されました。

ソフトバンクグループ(ソフトバンクG)の社債は、仮条件が2.45%~3.05%だったから久しぶりの3%超えが期待されていたよ。
楽天グループG(楽天G)は国外でドル建て債を発行し、国内では子会社の楽天カードから社債を出して資金調達を強めているイメージを受けるね。

ソフトバンクGと楽天Gの社債発行については下の記事を見てください。

 

ソフトバンクGと楽天Gで社債の発行が相次いでいますが、投資するとしたらどちらの社債を選ぶべきでしょうか?

今回の記事では2つの債券を比較して、個人目線で簡単な評価を考えてみます。

 

ソフトバンクグループの無担保社債は年利2.84%

先日の記事では今回発行されるソフトバンクGの第58回無担保社債について、利率の仮条件が2.45%~3.05%であることを紹介しました。

うん
父ちゃんの予想は2.9%近辺って書いていたよね。
どうなった?

J塾長の予想は2.9%近辺でしたが、予想通り2.84%に決定しました。
期待の3%には乗らなかったけど、2.84%の利回りは社債では高利回りと考えて良いでしょう。
なかなか魅力的な水準だと思います。

2.84%を税引にすると年利2.263%になるので、300万円を投資すると手取りで年間67,890円の利息を貰えます。

この社債の償還は7年後なので合計で約47万円の利息を受け取ることができます。

 

楽天カードマン債の利率は物足りない1.65%に決定

期待の3%には到達しなかったけど、ソフトバンクG社債の2.84%はなかなかの利率だよね。
楽天カードマン債の利率はどうなったの?

楽天カードマン債の仮条件は利率で1.20%~1.80%と、この時点でソフトバンクGよりも大幅に低い水準でした。
結局決まった利率は1.65%、それでも仮上限に近い年利でしたね。

1.65%を税引にすると年利1.3148%になるので、300万円を投資すると手取りで年間39,444円の利息を貰えます。

この社債の償還は5年後なので合計で約20万円の利息を受け取ることができます。

ソフトバンクGと楽天の社債比較

それではソフトバンクGと楽天で発行する社債の比較をしてみます。

 

  • 名称   ソフトバンクG第58回無担保社債   楽天カード第9回無担保社債
  • 償還期間     7年                 5年
  • 利率      2.84%                1.65%
  • 格付      A-(JCR)               A(JCR)
  • 償還日    2029年12月29日          2027年12月16日
  • 申込み期限  2022年12月15日          2022年12月15日    

 

ソフトバンク社債は利率が高いのが特徴で、償還期間も7年間と比較的長期です。

対して楽天カードマン債は利率が1.65%と低く、償還期限も5年間と短いのが特徴です。

300万円を投資した場合、ソフトバンク社債なら年間6.7万円の利息が貰えるけど、楽天カードマン債なら3.9万円と4割程度少なくなるよ。
だけど楽天カードマン債は償還期限が5年とソフトバンク社債よりも短いから、将来の利上げを考えると有利かも?

確かに社債は高金利で一定期間運用することで利益が出やすい商品なので、ソフトバンクの2.84%、7年償還は魅力的です。

しかし、現在のインフレ傾向の経済では、日本においても利上げを実施する可能性があることから、長期での資金ロックは得策ではないかもしれません。

ただ2.84%で7年間の安定した投資ができるのであれば、やはり魅力的な投資だと言わざるを得ないでしょう。
7年以内に日本の国債や定期預金が2.8%を超えることは考えにくいので、将来的な損得はあまり考えなくても良いと思いますね。

 

ソフトバンク社債と楽天カードマン債の安全性

安心安全

社債は株式や為替と違い比較的安全な投資だと考えられています。

社債は償還期日まで持っていれば、元本割れがないのが魅力だよね。
だけど発行体のデフォルトリスクはあるから、そこは格付などを見て判断しなくては駄目だよ。

今回の社債の格付けを見るとソフトバンクG社債が「A-」で、楽天カードマン債が「A」です。

どちらも格付けは「A」だから、債務履行の確実性は高いと判断されているね。
だけど、この格付けは日本のJCRのものだから、他の格付会社の評価も参考にしたいよね。

社債等の格付は社債を発行する企業が格付会社に依頼して評価して貰うので、一般的に有利な格付けをする会社を選ぶ傾向にあります。

日本国内で発行する社債なら、日本のJCRを選ぶことが多いね。
JCRも公平に評価していると思うけど、海外の格付会社と評価に差が出ることもあるんだよ。

今回の社債については「A」の評価が出ていますが、世界的な格付け会社であるS&Pの長期発行体格付で、ソフトバンクGは「BB+」、楽天Gも「BB+」の格付を行っています。

世界的な格付会社であるS&Pは、「BBB」以上を投資適格と分類しており、「BB」以下は投機的と分類しています。
つまり、「ジャンク債」ですね。

さらに楽天Gについては「BB+」からの格下げを検討する「クレジット・ウォッチ」に指定しています。

つまり、日本のJCRの格付では投資適格(A-)であっても、S&Pではジャンク債(BB+)に含まれる可能性もあります。

格付会社により評価が全然ちがうよね。

楽天については楽天カードの格付は高いけど、実態は楽天Gなので社債の評価は楽天Gの格付を参考にしたしたほうがいいよね。
その意味では楽天モバイルの設備投資で大きな赤字を出しているのから要注意だよ。

またソフトバンクGについてもヴィジョン・ファンドの失敗で業績が悪化しており、安心できる状態ではありません。

 

どちらか買うならソフトバンク社債かな?

簡単な比較をしましたが、J塾長がどちらかの社債を買うとしたら、間違いなくソフトバンクGの社債を買います。

理由はソフトバンクの企業的な体力の問題で、ソフトバンクGが重要視する指標であるNAVとLTVの状況が思いのほか悪化していないことです。

NAVはソフトバンクGが投資目的で保有する株式の時価合計から、純負債を差し引いた金額で実質的な資産と考えて良いでしょう。
最新の情報ではNAVは16.7兆円あり、今年4月よりも減少していますが、株式市場の状況を考えても問題のない水準です。
さらに保有株式の純資産額に含まれる純負債の割合であるLTVは15%で、昨年の19%よりも大きく改善しています。

ソフトバンクは投資会社なので売上や利益ではなく、含み資産と負債で判断するべきで、その意味では業績は悪いですが、現状では深刻な影響は考えられません。

対して楽天GはEC事業や金融は安定していますが、モバイル事業の負担が増加しており、他の事業の利益では足りない状況にあるようです。

金融セクター子会社の株を売ったり、社債を発行したりして金策を行っていますが、モバイル事業の行く末によっては壊滅的なダメージを受けるかもしれません。

このことからこの2つの社債のどちらかを購入するなら「ソフトバンクグループ第58回無担保社債」を購入するでしょう。

 

まとめ

ソフトバンクG社債と楽天カードマン債の利率が発表され、それぞれ2.84%と1.65%に決定しました。

ソフトバンクG社債は3%の利回りが期待されましたが、それでも2.84%は高利回りだと思います。

楽天カードマン債は1.65%と利率は低いのですが、償還期限が5年なので将来的な資金ロックを気にする人にはお勧めかもしれません。

債権の格付は2つともに「A-」ですが、あくまでJCRの評価なので他社の格付も参考にした方が良いでしょう。

J塾長は既に過去に発行されたソフトバンク社債を500万円ほど持っているので、考えた末、今回の購入は断念します。

ソフトバンクG社債は毎回人気が高く、今回は抽選ではないことから早期に売切れになる可能性が高いと思いますので、購入希望の方は早めに申込みを行ってください。

楽天カードマン債は直ぐに売り切れにはならないと予想します。

またソフトバンクGが7年、楽天Gが5年で破綻する可能性があると考えている方は、社債投資を控えた方が良いでしょう。(笑)

 

※このブログはあくまでJ塾長の感想であり、投資を勧めるものではありません。投資は自己判断と責任でおこなってください。

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