ワンルームマンション投資に逃げ場なし?売却できずに赤字拡大

先日は不動産投資について「ワンルームマンション投資(1R投資)」の注意点を解説しました。
資産を持たない若い世代が「ローンを組んだ挙句に負債を抱える」ケースがあるよね。
本来の不動産投資は「大家さん業」がメインなので、それ自体はまともな事業だと思います。
しかし、資産の持たない人がローンを利用することで「大きなレバレッジ」になり、事業から投資、さらに投機に変化します。
最近では詐欺的な不動産投資もあり、これではマルチ商法と変わりませんね。
本日は詐欺的な案件が目立つ1R投資において、どのような問題が出ているかを紹介します。
ワンルームマンション投資で注意したいポイントについては「ワンルームマンション投資は危険!最低でも注意したい項目」の記事も見てください。
投資開始から赤字スキーム
これはJ塾長も驚いたのですが、1R投資は「赤字前提」のスキームであることが珍しくありません。
どうゆうこと?
不動産会社の事業プランを見ると毎月の収支は数千円の赤字で、年間数万円の持ち出しになっているケースがあります。
しかし、確定申告することで還付等により税金が軽減され、トータルで赤字は解消されることから、年間でチョイ黒字になるプランニングが多いようです。
しかし実際にはこのようなプランニングシートでも、計算の元となる収入はあくまで「表面利回り」であり「実質利回り」では計算されていないことが大部分です。
前回も言いましたが表面利回りは意味がない数字ですから、実質利回りをしっかりと確認してください。
表面利回りなら最低でも7%程度、実質利回りなら4%は必要です。
また経費が掛かる初年は節税効果が見られても、翌年からは経費も限定的で赤字を補う節税効果がなくなることが多いようです。
不動産会社の言い分は「毎月の収支は若干の持ち出しだけど、年間で見るとトントン、結果的にタダで不動産が手に入る」などと美味しい話を持ち掛けるでしょう。
これに騙される人が多いんだよなぁ。
不動産は年々と老朽化して価値が下がるので、ローンを払い終わったら不動産価値は大きく棄損しています。
それよりも節税なんてたかがしれており、放置すると持ち出し額の累計も増えるでしょう。
「毎月の持ち出しが前提の投資」なんて…どこに意味があるのでしょうか?
赤字スキームで契約すると始めは持ち出しが年間数万円程度ですが、5年もすれば年間数十万になりローンが終わるころには累計で数百万円を超えることもあります。
それじゃ不動産を数百万円も高く買ったと同じじゃない?
意味ないよ。
例えば2,000万円の1Rマンションを購入した場合、30年間の累計持ち出し額が250万円であれば2,250万円の不動産を買ったことと同じです。
年間、数万円の持ち出しであっても、その累計額は不動産購入価格の上積みになることを理解してください。
一部の金持ちの相続税対策以外では、毎月しっかりとした利益が狙えるものが投資です。(キッパリ)
住宅ローンを勧められると一括返済の危険も
資産を持たない若い人はなるべく低金利のローンを利用したいことから、不動産会社から「住宅ローンの利用」を提案されることがあります。
不動産投資ローンは審査も厳しいし金利も高いから、住宅ローンを活用して負担を抑えるんだね。
でもそれって大丈夫なの?
大丈夫な訳ないよね。
まずこのような提案をしてきた不動産会社からは直ぐに撤退することを勧めるよ。
たしかに不動産投資において「フラット35」などの住宅ローンを利用している人もいます。
J塾長も相談を受けたことがありますが、これは規約違反で詐欺に該当する行為です。
住宅ローンはあくまで契約者が不動産の居住することが前提の契約なので、不動産投資での利用は明らかな規約違反に該当します。
規約違反が発覚した場合、金融機関は契約に基づき「契約解除による一括返済」を求めるでしょう。
一括返済と言っても…実際には不可能でしょう?
そうだよね。
だから不動産を売却して残額を分割返済するのも方法だよね。
不動産を失って数百万円の借金だけが残るんだよ。
また収入が少なく残額の分割返済もできない人は法的な清算をすることになるよ。
それって…まさか
自己破産だよ。
最終的には自己破産しかないケースもあります。
でも珍しいことではないよ。
ローン付き不動産の売却は金融機関の許可が必要

1R投資に失敗すると「1Rマンションの売却」を検討するでしょう。
この時、投資初心者は「不動産を手放せばそれで終わるだろう…」と安易に考えますが、投資失敗の地獄はここからが本番です。
ローンを抱えた状態で不動産を売却するには「抵当権を持つ銀行の許可が必要(抵当権の解除)」で、そのためには残債を含めた返済計画を立てなくてはなりません。
不動産を売ってもローン残高が残るから、新たな担保や保証人が必要になるんだね。
銀行も「不動産投資に失敗したので売ります」…「はいそうですか」とはならないでしょう。
売却で残った残債の返済計画や保証を求め、それがないと抵当権の解除はされず売却はできません。
そうなると赤字投資を続けるしか方法はなくなります。
完全に投資地獄に嵌ることになりますね。
このようにローンを使った不動産投資では、物件に銀行の抵当権が設定されていることから、売却するには金策をして「ローンを全額返済」するか、「抵当権の解除」が必須です。
いわゆる任意整理ですね。
不動産を失って借金だけが残る…不動産投資地獄の入り口です。
また、任意整理が上手くできない場合は…自己破産を選ぶことになるでしょう。
ワンルームマンションが高く売れない事情
1R投資に失敗して不動産を売却する場合においても、物件が購入価格を上回ることはほとんどありません。
とくに新築を購入したケースでは、数年後の売却でも30%~40%程度安い値段しか付かないこともあります。
じゃ新築2,500万円で買った物件が5年後に1,700万円になることもあるってこと?
マンションの場合、地価が上昇しても大きな影響はなく、人気によって価格が決まります。
駅近で人気エリアの物件であれば、価格が下がることもないかもしれませんが、一般的な1Rマンションは大きく下落するでしょう。
その理由は大きく3つです。
- 1.ワンルーム自体に人気がない
- 2.割高で購入している
- 3.サブリースが重荷になっている
まずワンルームは人気がなく、とくに20㎡台の広さでは価格評価も低くなります。
ワンルームでも面積が広い物件はそこそこの需要がありますが、「一体型ユニットバス設置の18㎡~28㎡などの物件は需要は少ない」と考えて下さい。
需要が少ないから値段が下がるんだよ。
新築で買うと数年で驚くくらい値下がりすることもあるよ。
次に問題なのは、そもそも不動産を高く購入している可能性があることです。
不動産投資セミナーや紹介などで不動産投資を始めた投資初心者の多くが、相場よりも高い価格で購入しているよ。
もはや詐欺的な話ですが、むーちゃんの話は真実で、不動産投資を失敗する原因として「不動産を相場よりも高額で購入」している問題があります。
不動産を売却するさいに相場よりも高く売れても、購入価格が相場よりも高ければ借金が残ります。
つまり、高額で不動産を購入した時点で、「負けが決まっているゲーム」に参加するのと同じことですね。
最後はサブリースの問題です。
サブリースは家賃保証の契約ですが、この契約は不動産を売却しても解約できない可能性があります。
不動産の持ち主が変わるのに…なんでサブリースは解約できないの?
ここは難しいところだけど、サブリース契約は「賃貸借契約」だと主張できるからだよ。
賃貸借契約であれば借主保護の観点から、貸主の意向だけでは解約はできません。
だから、話し合いで解約の合意が必要になります。
前回の記事でも話しましたが、サブリース契約を締結するさいは、必ず解約条項を設定して解約可能な契約をすることが大切です。
サブリースが残っていると買主に引き継がれることから、売りに出しても査定価格が低くなります。
サブリース契約が残ることで数百万円も価格が下がることもあるよ。
また売却できない可能性もあるんだ。
サブリース契約が賃貸借契約なのか、単に事業契約なのかの議論はあるので、最悪契約解除ができないことはありませんが、決着をつけるには弁護士費用、裁判費用がかかるかもしれません。
解約条項のないサブリース契約は、それだけで不動産価格を低下させる要因と思ってください。
まとめ
1R投資を節税目的と称して勧める不動産会社がありますが、毎月の持ち出しが積み重なることで、負債はドンドンと膨らみます。
また、投資を諦め不動産を売却しようとしても、人気のないワンルームでは購入価格を大きく下回る価格での売却になるでしょう。
1R投資が失敗した場合の出口戦略は、負債地獄の始まりかもしれません。
不動産投資が悪いのではなく、投資をするなら人気の物件にするべきで、決してワンルームではなないと思います。
また節税効果は購入後1年はありますが、2年目からは微々たるもので反対に増税になると思ってください。
「持ち出し」、「増税」、「売れない(逃げ道がない)」…これがJ塾長が知っている現状の1R投資です。
次回は1R投資で失敗した人の行く末について、実際に経験した内容で解説します。
※このブログはあくまでJ塾長の感想であり、投資を勧めるものではありません。投資は自己判断と責任でおこなってください。