新発の楽天モバイル債は利率2%~4%!格付Aのジャンク債?

「楽天グループ(4755)」が昨年6月に続いて「楽天モバイル債」を発行することが分かりました。
正式には楽天グループ無担保社債だよね。
昨年末に楽天カードから「楽天カードマン債」、楽天グループ(楽天G)からは「ドル建て社債」を出したばかりですが、昨年6月に続いて2,500億円規模の「楽天モバイル債」を新発します。
昨年、6月に楽天モバイル債を新発しているので、半年ペースでの発行になりますね。
前回発行した楽天モバイル債の利率は0.72%でしたが、今回の仮条件は2%~4%に設定されており、2%を下回ることはありません。
最低でも2%って…なかなか高利回りの債券だよね。
でも大丈夫なのかな?
最近の楽天は色々と問題もあるから…
本日の話題はモバイル事業の問題が取り出されている「楽天グループ(4755)」と、楽天モバイル債の投資判断を考えます。
楽天モバイルの人員整理についての話題は「楽天モバイルで人員削減!モバイル事業撤退する?しない?」を見てください。
新発の楽天モバイル債とは?
今回発行される楽天G社債の正式名称は「楽天グループ株株式会社第22回無担保社債(社債間限定同順位特約付)」です。
愛称が「楽天モバイル債」なんだよね。
愛称から資金の利用目的がモバイル事業への設備投資だと分かるよ。
それでは今回の社債の概要を見てみましょう。
名称 | 楽天グループ株株式会社第22回無担保社債(社債間限定同順位特約付) |
愛称 | 楽天モバイル債 |
期間 | 2年 |
格付 | A(JCR) |
利率 | 2.00%~4.00%(仮条件2023年1月27日決定) |
買付単位 | 50万円以上50万円単位 |
販売期間 | 2023年1月30日~2月9日(楽天証券) |
発行額 | 2,500億円 |
注目の利率はどうなる?予想は?
今回新発される楽天モバイル債の注目ポイントはやはり高い利率だと思います。
利率の仮条件が2.0%~4.0%だから、最低でも2.0%の利率になるよね。
前回の楽天モバイル債は0.72%だったから半年で3倍以上の利率になったよ。
実際にはどの程度になるのかな?
予想だけど…前回の楽天モバイル債の仮条件は0.4%~1.0%でした。
結果的に0.72%になりましたが、これは仮条件の中央値付近ですよね。
このことから今回の楽天モバイル債は「3.0%」付近だと予想します。
ソフトバンク債では仮条件の上限になることがありますが、楽天G系の社債は仮条件の上限に来ることはないと思いますね。(笑)
しかし3.0%でも昨年6月の楽天モバイル債の4倍強なので、すごい利率だと思います。
楽天モバイル債の利率が4倍になった理由
楽天Gの社債は過去にも紹介した通り「ジャンク債」扱いであり、2022年12月21日に世界的な格付会社のS&P社は、「BB+」から「BB」へ格下げを実施しています。
S&Pの格付では「BBB」以上が投資適格で「BB」は投機的と分類されているよ。
だから楽天Gの社債は「ジャンク債」になるんだよね。
そうだね。
ジャンク債は一般的な社債よりもリスクが高いから、一般的な投資家からは敬遠されるけど、リスクが高いことから利率が高く設定されます。
今回の利率が4倍強に上がった理由は、楽天グループの格付がBB(S&P)へ転落し、社債の評価がジャンク債になったことが理由だと想像します。
実際2022年11月に発行されたドル建て社債はジャンク債を理由に利回りが12%もあり誰もが驚きました。
楽天Gのジャンク債転落については下の記事を見てください。
楽天の資金調達は難航しているようです。
海外では10%以上の利率がないと投資家が集まらない状況を示唆していると感じます。
そうかぁ
2%~4%って凄く高い金利だと思ったけど、ジャンク債なら特段高くない利回りかもしれないよね。
でも…今回の楽天モバイル債の格付けは「BB」じゃなくて「A」ってなっているよ。
これはなぜ?
楽天グループの格付が世界と乖離してきた

楽天証券に提示された発行条件を見ると、新発される楽天モバイル債の格付けは「A」になっており、投資適格社債の状況です。
一見してジャンク債ではありません。
格付がAだから普通に高適格で利率が高い社債に見えるよね。
しかし注意して貰いたいのは格付会社が「JCR」になっているところです。
今回の格付はS&P社ではなく、日本のJCRが行っています。
日本で発行する債券なので日本の格付会社が評価するのは問題ありませんが、世界的な格付会社との評価差が広がっている印象を受けますね。
もともと格付けは社債の発行元企業が「報酬を出して格付け会社に依頼」する仕組みです。
えっ
じゃー楽天グループがお金を出してJCRに格付けを依頼しているの?
それなら楽天ってJCRのお客様ってことだよね。
大丈夫なの…その評価を信じて…
JCRもいい加減な格付けをしていないと信じますが、世界的な信用が高いS&P格付と乖離しているように思います。
世界ではジャンク債なのに日本では投資適格とは…
どちらを信じるかは、やはり投資家の自己責任しかありません。
楽天モバイル債の投資判断
それでは新発される楽天モバイルの投資判断ですが、さまざまな疑問はある上で投資対象になると考えます。
理由は以下の4点です。
- 償還期間が2年と比較的短い
- 楽天グループのECビジネスは順調
- 3%の利回りは魅力
- 50万円からなので投資しやすい
今回の社債は償還期間が2年と短いので、それまでに楽天グループが破綻しない限り償還には問題がありません。
楽天市場などのECビジネスは好調で、金融系の楽天証券、楽天銀行のIPOも進んでいることから、現状では2年以内の破綻は考えられません。
3%を超える利回りではソフトバンク社債が有名ですが、ソフトバンク社債は償還期間が7年程度と長いのがネックです。
その点、楽天G社債は2年なので、投資しやすいと感じました。
仮条件の決定が2023年1月27日なので、条件が良ければ投資を検討しても良いと考えています。
ただし、多額の投資ではなく、あくまでジャンク債としての投資にとどめたいと思います。
まとめ
楽天Gが2022年6月に続いて楽天モバイル債を新発します。
注目の利率は仮条件で2.00%~4.00%と高く、前回の実利率の4倍以上の水準です。
仮条件の決定は1月27日ですが、J塾長は過去の状況から3.0%程度に決まると予想します。
この社債の格付けはJCRで「A」ですが、S&Pでは昨年12月に楽天Gno長期格付けを「BB+」から「BB」に引き下げており、JCRの格付との乖離が見られます。
楽天モバイルの事業負担を考えると、BBが妥当だと思います。
だから、楽天モバイル債もジャンク債扱いだと考えても良いでしょう。
ただし、楽天Gが償還期限の2年以内に破綻するリスクは、ほとんどないと思われることから、新発される楽天モバイル債は投資対象として考えても良いと思います。
3.0%程度で利率が決まれば早い時点で完売となると思いますね。
興味のある人はご検討くださいね。
※このブログはあくまでJ塾長の感想であり、投資を勧めるものではありません。投資は自己判断と責任でおこなってください。