逃げろ!超高配当の三井商船、日本郵船…海運指数が1/10に

海運指数低下

FIREにおける長期投資では、高配当株に対して投資を行い、毎年の配当を受け取ることが目的です。

安定した業績の高配当銘柄を探して、長期的に投資することで配当だけでなく、株価の値上げりも狙える投資だね。
父ちゃんも短期的なキャピタル狙いではなく、これを実践しているんだよね。

長期投資を実践するには業績が安定している高配当株を探す必要があり、J塾長も普段からさまざまな方法でスクリーニングしています。

株式銘柄をスクリーニングする上で、注目したい指数としてはPER、PBR、ROA、ROE…などがありますが、はやり配当で生活する以上「配当利回り」は最も重要なファクターだと言えます。

本日の話題は上場株式のなかでも、最も配当利回りが高い「海運銘柄(海運株)」の危険性について考えます。

 

海運株については「商船三井、日本郵船の株価はどうなる?今からのFIRE投資」も見てください。

 

日本の高配当トップ5は全て海運株

高配当を目的としたスクリーニングを行うには、証券会社やYahoo!ファイナンスで「銘柄スクリーニング」、「株式ランキング」を利用しますが、2023年2月中旬における高配当ランキングは以下の通りです。

 

  1. 商船三井          :  16.54%
  2. 日本郵船          :  15.51%
  3. 川崎汽船          :  12.27%
  4. NSユナイテッド海運     :  8.80%
  5. 乾汽船           :  8.71%

凄いね。
1位の商船三井や2位の川崎汽船は、配当利回りが15%を超えているよ。
でもトップ5の業種が同じような…

そうなんだよ。
現状の高配当銘柄ランキングを見ると、トップ5は「海運株」で占めているんだよ。

コロナ禍におけるコンテナ輸送の需要増大から、海運業は業績を拡大させており、配当も増加している状況です。

また株価についても昨年秋に一時的な下落をしましたが、それ以降は上昇に転じています。

 

バルチック海運指数がピークの1/10に低下

バルチックチャート
参照:Bloombrrg BDIYチャート

業績が拡大し配当利回りも上昇している海運株は、長期投資にとって魅力的に見えますが、J塾長は投資を勧めることはできません。

ねんで?…業績も良く配当も高いなら長期投資にピッタリだよ。

現状では絶対にお勧めできませんね。
その理由は何度か紹介した「バルチック海運指数」の状況にあります。

実はバルチック海運指数がピーク時の10分の1まで低下しています。

過去ブログでも解説しましたが、バルチック海運指数とは「不定期船のコンテナ運賃の運賃指数」で、これが下落することは海運業の収益悪化を意味しています。

 

現在のバルチック海運指数を見てみよう

上のグラフはバルチック海運指数に連動したインデックスファンド(BDIY:)の5年間の動きですが、2021年10月にコロナ需要ピークの5,202ドルを付けた後、下落を始め2023年2月15日は541ドルまで下落しています。

1年4ヵ月で1/10程度まで下がったってこと?

そうだね。
コロナの流行が始まる前の2019年当時は645ドル~2,300ドルの値幅だから、コロナ前の水準よりて下がったことがわかるよ。
つまり、現在は「コロナ需要が終了し、反動で需要が減り運賃の値下げが起きている」ことが推測できるね。

グラフから見ると運賃はコロナ前よりも下落していることから、今年夏以降は海運業の業績にも悪影響が出ることが予想できます。

 

コロナ前の海運銘柄の株価を比較

それでは海運銘柄の現在の株価と、コロナ前の株価を比較して見ましょう。

                    現在の株価      2020年2月の株価

  1. 商船三井          :  3,410円       800円  
  2. 日本郵船          :  3,316円       600円
  3. 川崎汽船          :  3,310円       520円
  4. NSユナイテッド海運     :  4,085円      2,000円
  5. 乾汽船           :  2,043円      1,200円  

 

2020年2月~5月のBDIYの価格は425ドル~665ドルを推移しており、現状の価格と似た状況だと思います。

そうなると海運株の株価も似た水準まで下がる可能性があるんだ…

各社で利益構造を変えるなどの対策をしているから、単純に2020年春までは下がらないと思うけど、現在の株価を維持するのは難しいと思うよ。
海運業にとっての収益はコンテナ運賃がメインになるから、きっとここからは収益性の悪化が見込まれますね。

 

投資は止めた方が良い理由

海運株はバルチック総合指数と連動しているのは事実なので、下落に対しても連動する可能性が高いと思います。

しかし、現状では下落していない理由は、運賃支払いのタイムラグにあるのではないでしょうか?

運賃の支払いに猶予期間が出るので、収益性の悪化はこれからだと思います。

このことから、投資初心者の方は高配当に目がくらんだ投資は避けた方が良いでしょう。

また、既に購入している人も3月の権利確定前に売却した方が効率的かもしれません。
利益確定後にはエグい下落が出る可能性がありますから…

 

まとめ

日本の上場株式において配当利回りトップ5は全て海運株です。

しかし、バルチック海運指数がコロナ需要ピークの1/10まで下がっており、海運業の業績悪化が懸念されます。

これから投資を検討している人は、リスクを十分に考えて判断した方が良いでしょう。
また、保有している人は権利確定前の売却も念頭に入れて下さいね。

何となくですが海運株が値崩れする時は、エグい状況になると思います。(笑)

高配当銘柄の上位には訳アリの銘柄も多いので、十分に注意したいですね。

 

※このブログはあくまでJ塾長の感想であり、投資を勧めるものではありません。投資は自己判断と責任でおこなってください。