ソフトバンクGのハイブリッド債は4.75%!高金利の理由?

「ソフトバンクグループ(9984)」が高金利の無担保社債(劣後債)を発行し、現在さまざまな証券会社で募集しています。
社債と言えばソフトバンク、高金利社債と言えばソフトバンクだよね。
今回はどんな社債なの?
今回は発行する社債は「ハイブリッド債の特徴を持った劣後債」で、金利がなんと4.75%に決定しました。
「高金利でややこしい(複雑)」ソフトバンク社債ですが、この社債は購入しても大丈夫なのでしょうか?
気になる中身を簡単に解説します。
携帯会社のソフトバンク社債については「グループじゃない方のソフトバンク社債が発売!金利0.98%」を見てください。
ソフトバンクグループが発行する社債の概要
今回「ソフトバンクグループ(9984)」が発行する社債は、劣後債でありハイブリッド債の要素を含んでいます。
まずは概要を紹介します。
- 名称 : ソフトバンクグループ 第6回利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)
- 発行体 : ソフトバンクグループ株式会社
- 格付 : BBB(JCR)
- 償還期間 : 35年
- 利率 : 4.75%(当初5年、5年以降は別途)
- 申込み期限 : 2023年4月27日まで
- 償還日 : 2058年4月26日
- 条件 : 利払繰延条項、期限前償還条項、劣後特約
- 発行額 : 2,200億円
期間が35年間もあるんだ。
でも金利が4.75%と高いのが魅力だよね。
今回の社債は当初5年間の金利が4.75%に固定されており、5年後以降は段階的に金利が上昇する仕組みになっています。
5年以降~20年までは「1年国債金利+4.84%」、20年以降~25年までは「1年国債金利+4.89%」、そして25年以降~満期までは「1年国債金利+5.59%」になるよ。
詳しくは各証券会社の募集ページを見てね。
ハイブリッド債とは株式の性質を持った債券

今回のソフトバンク社債はハイブリッド債の一種で、債券でありながら株式のような特徴を持っています。
利払繰延条項
一般的な普通社債では毎年の利払い日が決まっており、利払い日に金利を支払わなくてはなりません。
しかし「利払繰延条項」が付いたハイブリッド債では、発行体の意思で利払いを繰り延べることができます。
株式の配当と同じで、投資家に関係なく発行体の意思で利払いが遅れるリスクがあるよ。
期限前償還条項
社債では償還日が決まっていることから、その日までの運用が可能です。
しかし、「期限前償還条項」が設定されているハイブリッド債では、一定期間経過後は発行体の決定により、いつでも期限前償還ができます。
今回のハイブリッド債では5年経過後であれば、発行体の裁量で期限前償還ができるよ。
長期間の運用ができないリスクがあるから注意してね。
劣後特約
劣後特約が付いた債券は「劣後債」と呼ばれ、発行体が破綻した際の代位弁済順位が普通社債よりも低くなります。
発行体が破綻したら投資したお金は戻ってこないと思って下さい。
ソフトバンクグループのハイブリッド債の条件がエグイ
今回発行されるソフトバンクグループのハイブリッド債にはいくつかの特徴があり、購入する前に大切なポイントを抑える必要があります。
まずは償還期間が35年と長いのですが、「期限前償還条項」により最短5年で償還される可能性があることです。
過去のソフトバンク社債の動きを見ると、満期まで運用されることはないと思います。
5年~8年程度で早期償還される可能性が高いので、長期運用を考えている人は注意が必要ですね。
ソフトバンクグループの業績によっては、「利払繰延条項」が適用されて利払いが遅れる可能性があります。
FIREの生活費等で確実に利息を受け取りたい人は、利払い遅延リスクを考慮してください。
利払繰延条項はあくまで利払いが遅れる条項であり、発行体が破綻しないかぎり利払いは受けられます。
あくまで遅延の問題だと思ってください。
今回の社債はハイブリッド債の特徴を持った劣後債なので、発行体破綻時の弁済順位が低く、株式と同等の順位です。
発行体が破綻したら投資資金の大部分(全部)は戻ってこないでしょう。
この債券の特徴はあくまで発行体であるソフトバンクグループの決定により、利払いや期限が変更できることです。
つまり債権の購入者はソフトバンクグループの決定に従わなくてはならず、意義を申し立てることも不可能です。
だから4.75%と高い金利なんだね。
そうだね。
このような条件を飲める人だけが購入しても大丈夫だと思うよ。
金利だけでなく中身の条件を理解して投資の判断をしてもらいたいね。
ソフトバンクグループのハイブリッド債の評価は?
J塾長は今回のハイブリッド債の購入を見送ることに決めました。
4.75%の高金利は魅力ですが、やはり「期限前償還条項」と「利払繰延条項」が不透明なので、大切な資金を預ける判断はできませんでした。
株式の特徴を持ったハイブリッド債ですが、それなら直接株式投資した方が資金の流動性も高く確実だと思います。
発行体が強いに関わらず流動性が低いのは致命的だと感じました。
現在、配当利回り4%超で好業績の銘柄が多いので、流動性の低いハイブリッド債を選択する必要は感じられません。
破綻すると思いませんが、ソフトバンクグループの業績が悪化しているのも気になりますね。
またJ塾長はソフトバンクの社債を一定額保有していることも理由です。
さまざまな条件が付いたハイブリッド債ですが、早期償還されるとしても5年間で4.75%の年利は魅力的な債券です。
条件に納得できる人は購入を検討しても良いでしょう。
※このブログはあくまでJ塾長の感想であり、投資を勧めるものではありません。投資は自己判断と責任でおこなってください。