AT1債が紙切れに!青学の原監督が嵌った投資の罠と対策

経営危機により発行済み「AT1債」が紙切れになった「クレディ・スイス」のニュースは、世界中の投資家を恐怖に落とし入れました。

ニュースで見たけど、駅伝で有名な青山学園大学の原監督も多額の損失が出たみたいだよね。
報道では若いサラリーマンの年収のウン倍と書かれてたから、1,000万円~2,000万円程度かな?

いくら有名人の原監督でも数千万円の資産が一瞬でなくなるとは思っておらず、受けたショックは大きかったと思います。

クレディ・スイスは倒産しておらず、事業は存続されることが見込まれており、「なぜAT1債が無価値になるのか?」と納得できない人もいます。

本日の内容はクレディ・スイスのAT1債が無価値になった理由と対策を考えます。

 

社債についての話題は「ソフトバンクGのハイブリッド債は4.75%!高金利の理由?」も見て下さい。

 

クレディ・スイス発行のAT1債とは?

AT1債は「Additional Tier1」と呼ばれる債券で、「銀行の資本(自己資本)に組み入れられる永久債」だと思ってください。

AT1の性格上、ハイブリッド債券の特徴があるから、株式と債券の中間に位置する特徴があるよね。

普通社債よりも弁済順位の低い「劣後債」と思っていいよ。

今回問題になっているクレディ・スイスのAT1債も、資本性の高い劣後債だから、経営が破綻した場合の弁済順位は普通社債よりも劣っています。

でも、今回のクレディ・スイスの経営危機では、会社の破綻しておらず金融大手の「UBS」に買収されたからAT1債が紙くずになるのはおかしくない?

むーちゃんも疑問に思っていますがクレディ・スイスは破綻ではなく、UBSがクレディ・スイスを買収し経営の債券を目指すことが決まっています。

またクレディ・スイスの株式については、UBSの株式に交換することで株主を救済するとしていますね。

え~でも弁済順位からみると、債券は株式よりも上だから、株主が救済されて債券が紙くずになるのはおかしいよ!

本来であればその通りですが、今回のケースではエグイ理由により、AT1債は救済されませんでした。

 

クレディ・スイスのAT1債が無効になった理由がエグイ!

一般的に金融機関が経営破綻し場合の弁済順位は以下の通りです。

 

  1. 預金
  2. 普通社債
  3. 劣後債
  4. AT1債
  5. 株式

 

クレディ・スイスの問題ではAT1債よりも弁済順位の低い株式が救われて、AT1債が無価値になってしまい弁済順位に狂いが生じています。

この決定はこれまでの常識を覆すもので、世界中の投資家がざわついたと思いますね。
実際、J塾長も驚きました。
なぜ?このようなことが起きたのでしょうか?

実はハイブリッド債の特徴を持つAT1債には、さまざまな特約条項が付けられており、クレディ・スイスのAT1債には「政府や当局の支援が入った場合は無価値になる」との特約が設定されていました。

なるほど、税金が少しでも投入された場合は、AT1債が無価値になるってことだね。

この特約がなければ株主を救済し、AT1だけが無価値になることは起きなかったと予想できます。

それでもクレディ・スイスの自己資本比率は壊滅的ではなかったと言われているから、当局が介入するタイミングが早かったとの意見も見ました。
しかし、当局が介入することで、特約通りにAT1債を資本に組み入れ無価値化したようです。

まあ、世界的な金融危機を未然に防ぐ目的で早期に対応したのでしょう。
またUBSがクレディ・スイスを買収する条件だったのかもしれませんね。

しかし、株式よりも弁済順位の高いAT1債が救済されなかったことは、これからの投資判断にも影響を与えそうです。

 

原監督は債券の条件を知らなかった

ニュースではAT1債の特約について原監督は「証券会社からは何も聞いていなかった」と話したそうです。

大手の証券会社から継続的に購入していたらしいけど、特約についての説明はなかったと話しているよね。

まぁ、有名人だから証券会社の営業から買っていたと思うけど、しっかりと説明書(目論見書)等を見なかった原監督が悪いよね。
最近はネットで調べることも簡単だから、数千万円規模の投資には十分注意が必要だよ。

日本国内でも1,400億円程度の残高があったAT1ですが、購入者の多くが富裕層であることが分かっています。

一般的に個人投資家の被害が少なかったのは幸いですが、それでもこれからの影響が心配です。

 

投資の罠へ落ちないための対策を紹介

リスク分散

数千万円の損失を一瞬で被った原監督には同情しますが、お金が戻ることはないと思います。

世界中の投資家からクレディ・スイスに対して訴訟が起きているよね。

いくら訴訟しても債券の特約に書かれている以上、無理だと思うよ。
投資は自己責任だからねぇ。

クレディ・スイスの債券は高金利で有名だったから、定期積立のつもりで投資した人も少なくないと思います。

しかし、高金利には必ず理由があるので、そこをしっかりと理解しなければなりません。

ネットで買うときは「説明書(目論見書)」を読むだけでなく、ネット検索でリスクや評価を確認することが大切です。
また対面で購入するさいには、担当者に「なぜこの債券は高金利なのか?」とか「この債券の破綻、弁済リスク」を聞くことが大切です。

高金利には理由があるので、そこをしっかりと理解できない債券は買わないのが一番の対策だと思います。

原監督は老後の娯楽費としてAT1債をあてにしていたようですが、経営危機により老後生活の一部に狂いが出てしまいました。

一定の収入がある人なので生活破綻にはなりませんが、一般人で同じようなことが起きると「老後生活が破綻する」きっかけになります。

高金利の商品を買う時には、その理由とリスクをしっかり理解してから判断してね。

また、いくら高金利で魅力的であっても、集中投資はリスクが高いと思います。
短期ではなく長期投資ではあれば、分散投資やインデックス投資が安全です。

 

※このブログはあくまでJ塾長の感想であり、投資を勧めるものではありません。投資は自己判断と責任でおこなってください。