我々は楽天グループに騙されたのか?最強プラン後の増資地獄

前回の記事で紹介した通り、「楽天グループ(4755)」が楽天モバイルの設備投資方針を変更し、KDDIが保有するau回線のローミングを使用することを発表しました。

今まではKDDIのローミングを止めることで経費削減できるって言ってたんだけど、設備投資による負担増でローミングを使用することになったんだよね。

楽天グループとしては自前の改善網を構築するよりも、既存の回線網をローミングで借りた方が経費削減になるとしています。

これらの発表は投資家からは好感され、株価も上昇に転じていました。

この発表を見て「楽天はやっと正しい判断をしたんだよ!」と、楽天グループの復活を感じて投資した人も少なくなかったようです。

J塾長もローミングの報道を聞いた時には「とりあえずそれしかないよね」と、楽天グループの判断に好感を持ちました。

しかし、2023年5月15日に事態は思わぬ方向転換し、高騰していた株価が暴落する結果になりました。

今回の話題は楽天グループの決算から「数日で裏切られた個人投資家」について考えてみます。

 

楽天グループの方針変換については「楽天グループが赤字で基地局整備を断念!買うならKDDI」を見て下さい。

 

最強プランで盛り上がった個人投資家

楽天グループの第一四半期決算報告で特に注目されたのは「auローミングの契約」と「最強プランの導入」ではないでしょうか?

2点以外にも内容は色々とあったけど、どれも予想通りだったよね。
auローミング契約と最強プランの話は、サプライズ的に受け取られたと思う。

最強プランは高速データ通信を無制限で利用できるもので、月額2,980円(税抜)で制限なく高速通信が利用できます。

「制限なく」がポイントで最強プランは、楽天モバイルのネットワークだけでなく、auローミング回線においても制限を撤廃しました。

つまり、楽天網でもau網でも月額2,980円(税抜)で使い放題になったのです。

今まで楽天のネットワークは「接続しにくい」などの問題があり、「無制限は口だけ」などの悪評もありましたが、最強プランではローミングを解放したことで実質的にも無制限が実現します。

この発表を受けて盛り上がったのは、楽天グループへの投資機会を考えていた個人投資です。

楽天グループの株価は5月10日には670円でしたが、5月15日には一時749円と3営業日で11%を超える上昇を見せました。
投資チャンスと見た個人投資家からの買いを集めた結果だと思います。

5月15日は一時749円まで上昇した株価ですが、あることをきっかけに株価は下落、終値では643円と5月10日を下まわる結果になったのです。

 

増資で裏切られた個人投資

参照:Yahoo!ファイナンス

3営業日で11%もの上昇を見せた楽天グループの株価ですが、15日に入った報道で一気に暴落しています。

スクープ的な内容で「3,000億円規模の増資計画」がネットで報道されたよ。
当初、楽天グループは「なんら決まっていない」としていましたが、翌日の5月16日には「公募増資、第三者割当増資」を正式に認めている。

この発表を受けて5月16日の株価も続落、1株610円まで下落しています。

5月10日の株価が670円だから、11%上昇して18%下落したことになりますね。
5月15日の高値である749円水準で購入した人も多いから、だまし討ちにあったような印象もあるね。

投資は自己責任なのでなんとも言えませんが…

3,300億円の増資を正式発表

5月16日、楽天グループは最大で3,300億円の増資(公募、第三者割当増資)の実施を正式に発表しました。

前日には「何も決まっていない」ってコメントしてたのに、メチャクチャ決まっていたみたい。
この手の話ってよくあるよね。

 

株価の下落で資金調達に赤信号が?

今回の増資では公募以外にサイバーエージェント、東急など4社に対しての第三者割当増資を実施します。

なんとなく社長の個人的な付き合い感を感じるよ。

また公募価格は今後の株価を考慮して決定するとしています。

増資の発表により株価が暴落しているので、3,300億円もの資金調達ができない可能性もありますね。

株価が下がると予定通りの資金調達ができない可能性もあり、楽天グループにとっては計画を変更させる必要が出るかもしれません。

楽天銀行のIPOでも上場がずれ込んだことで、資金計画に狂いが生じています。
報道が先行したことで増資にも悪影響が出そうですね。
「盛り上げてからの落とし穴」だから、個人投資家の失望感も半端ないのではないかな?

 

増資の理由は9,000億円の社債償還

楽天グループは楽天モバイルの設備費用を賄うため、社債、劣後債を発行しており、その合計が9,000億円に達していると報道されています。

楽天グループの社債は比較的短期だから、来年には償還を迎えるものもあるよね?

正しいのかわからないけど、来年分の償還は約3,000億円もあるようだ。
とすれば…今回の増資は来年の社債の償還を賄うためと推測できるね。

あくまで推測ですが、楽天グループの方針転換には、社債の償還負担が大きく関係しているように思えます。

社債がデフォルトするとヤバイから、ローミングで経費を削減して、さらに増資で来年分の償還を賄う…と言うところでしょうか?
あくまで推測ですが。

 

社債の償還でヤバイことになるかも

楽天グループは優良企業の西友株を220億円で売却しており、資金調達に躍起になっていることが分かります。

利率10%を超えるドル建て社債などを発行していたので、その負担は大きいと考えます。
社債もジャンク債扱いなので、着実に償還しない限り、資金調達はどんどんと難しくなるでしょう。

たとえば「お金を貸して!」と友人に言われても、その人が他の人にお金を返していないことが分かれば、貸すのを断りますよね?

これと同じで楽天モバイルを理由に資金調達を行ってきた楽天グループが、約束通りに返済できるかが注目されています。

もし、社債の償還に問題が出たら、株価の暴落だけでは済みません。

だから、投資はよく考えて判断して下さいね。

 

※このブログはあくまでJ塾長の感想であり、投資を勧めるものではありません。投資は自己判断と責任でおこなってください。

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