S&PがソフトバンクGを格下げ!楽天と同格だが内容に違い

米国大手の格付け会社である「S&P」が、「ソフトバンクグループ(9984)」の長期格付けを「BB+」から「BB」に格下げしました。
S&Pは世界的な格付け会社だから、今回の格下げで様々な影響が出るかもね?
本日の話題は先日S&Pの格付がBBに下がったソフトバンクグループの状況を考えます。
格付については「債券を購入するなら格付けチェック!ランキングの違いとは?」も参考にしてください。
ソフトバンクの格付がBBに格下げ
世界には格付け会社が複数あり、なかでもS&Pは大手格付け会社として信頼を得ています。
日本にも格付け会社がありますが、どうも日本企業に対する評価が甘いように感じますね。
だから、世界の投資家の多くが、S&Pやムーディーズなどの世界的な格付け会社を信頼する傾向にありますね。
S&Pの長期格付では、ソフトバンクは赤字の影響もあり、近年ではBBBを維持することができない状況でした。
それでもBB+だったから、まだ投機的とまでは言えなかったよね。
ここでS&Pの格付一覧を見てみましょう。
- AAA
- AA+
- AA
- AA-
- A+
- A
- A-
- BBB+
- BBB
- BBB-
- BB+
- BB
- BB-
- B+
- B
- B-
- CCC+
- CCC
- CCC-
- CC
- C
このようにS&Pの格付は最高位のAAAから最下位のCまで21段階に分類されており、投資適格とされるのはBBB以上です。
つまり11番目のBB+から下は、投資不適格と分類されます。
しかし、なかにはBBであっても、見通し(アウトルック)が安定的であれば投資適格と判断されます。
ソフトバンクグループ(ソフトバンクG)は巨額の赤字決算が続いたことで、BBBからBB+に格下げされていましたが、今回BBへとさらに格下げされました。
ただし、アウトルックについては明るい話題もあることから、「安定的」とされており将来的にBB~BBBへ復帰する可能性も示唆しています。
ソフトバンクグループは猛反論
今回の格下げでソフトバンクGはS&Pに対して猛反論をおこなっています。
ソフトバンクGとしてはコロナやアメリカ経済の低迷による業績悪化により、過去1年間にわたり財務を強化しており財務基盤でもある流動性を高めています。
6年分の債券償還に耐えられる流動資産があるから、問題はないと言っているね。
たしかにソフトバンクGの赤字は大きいけど、現金資産も多いからS&Pの判断も厳しかったと思うね。
またソフトバンクには明るい話題もあります。
アームの上場で格上げを要望
現在、ソフトバンクGの子会社である英国アーム社が、米国証券市場での上場を計画しており、実現することでソフトバンクには多額の資金が入ります。
ソフトバンクGは投資会社だから、今までの投資が実を結ぶ瞬間だよね。
このことからソフトバンクGはS&Pに対してアームの上場が終わった時点で、格付を上げるように求めているようです。
ソフトバンクGの言い分もわかるけど、格付けは第三者が行うので「求めたり、要求したり」するのはどうかと思うよ。
楽天グループとの違いを考える
実はS&Pから長期格付けを格下げされたのはソフトバンクGだけでなく、楽天グループもBBに格下げされています。
楽天Gもモバイル事業で大赤字だから、投資不適格と判断されているよね。
楽天Gが発行する社債は、海外でジャンク債扱いされているからね。
ジャンク債は資金を集めるのに、高い金利が必要だから資金調達にも悪影響が出るよ。
ソフトバンクGも楽天Gと同じBBへの格下げですが、両者には大きな違いが見られます。
S&Pのコメントともいえるアウトルックでは、楽天Gは「ネガティブ」とされており、将来的な見通しは暗い印象を受けますね。
反対にソフトバンクGは「安定的」とさており、アームの上場などが評価されているようです。
個人的な感想ですがアームが米国で上場した暁には、ソフトバンクGの格付も上がると見ています。
2024年まで社債の発行予定はなし
ソフトバンクGは2023年4月にハイブリッド債を発行していますが、以降の発行予定は明らかになっていません。
2024年春以降、個人向け社債発行の計画はあるみたいですが、コメントでは「社債償還6年分のキャッシュを保有しているので、そういう可能性あれば、発行タイミングをずらせばいい」と話しています。
この意味はなーに?
要は…6年分の社債償還を賄える資金があるから、「わざわざ負担の多いBB格付での社債発行をしない」と言っていますね。
格付が低いと利率を高めないと資金が集まらないから、格付けを上げてから発行しても良いと思っているみたいだよ。
もしBBの状態で高利率の社債が出たら…買いたい?

格付けが下がると資金調達コストが上昇し、企業にとっては大きな負担になります。
しかし、社債を購入する投資家にとっては、大企業の社債を高利率で購入できるチャンスにもなります。
4月のハイブリッド債は4.7%程度の利率だったから、格付けが下がったことで7%くらいの社債が出ればいいよね。
昨年、楽天GがBBに格下げされたことで、利率が10%を超えるドル建て社債を出しているよね。
でも、ソフトバンクGは楽天Gと違い資金には困っていないから、アームが上場して環境が整うまで社債は出さないと思うよ。
アームの上場が見えた現状での格下げは意外でしたが、IPOは水ものなので実現しない限りは、評価に含めないのでしょう。
その意味ではS&Pの格付は信頼性が高いと感じました。
それにしても日本の格付会社は甘いと思いますよね。
JCRはBBBのままですから…
今回の格下げではソフトバンクGの反論が早かったのですが、これは「あの会社と一緒にするな!(怒)」と言っているようで面白かったです。
とりあえずアーム次第ですかね。
※このブログはあくまでJ塾長の感想であり、投資を勧めるものではありません。投資は自己判断と責任でおこなってください。