株式投資⑩ROEとROAで高配当株を探すための注意点

要注意

投資初心者向けのこのブログでは、高配当株を見つけるためのさまざまな株価指標を紹介していますが、先日までのブログは「ROE(自己資本利益率)」と「ROA(総資産利益率)」について説明しました。

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2つの指標を見ることで「企業が資産をつかって効率よく利益を生み出しているか?」がわかることから、高配当株を探す上で活用したい指標です。

しかし、実はROE、ROAを利用する上で理解するべき注意点があります。

本日はROEとROAを活用する上で、ぜひ知ってもらいたい注意点を紹介します。

ROEの注意点

説明してきたとおり、一般的にはROEが10%~の企業は優良企業と判断されています。

しかし、企業の財務状況によりその判断には間違いがおこるかもしれません。

A社は純資産が20億円、純利益が5億円、金融機関からの借入れが5億円あります。

B社は純資産が30億円、純利益が5億円、金融機関からの借入れはありません。

この2社のROEを計算してみましょう。

A社のROE

5億円(純利益)  ÷ 20億円(純資産) × 100 =  25%(A社のROE)

B社のROE

5億円(純利益)  ÷ 30億円(純資産) × 100 =  16.6%(A社のROE

ROEの計算結果から判断すると、A社の方が効率の良い経営をおこなっているように見えますが、投資判断としてはどうでしょうか?

B社は保有する純資産も多く、金融機関からの借入れもありません。

つまりB社は無借金経営をおこなっている優良企業であり、魅力的な投資対象企業です。

ROEだけではA社が優良企業だと判断できますが、実際には自己資産も多く、無借金のB社の方が超優良企業かもしれません。

ROAの注意点

ROAは負債を含めた総資産で計算することから、事業拡大などで新たな借入れをおこなった場合などでは、一時的に数値が悪化します。

A社は純資産が20億円、純利益が5億円、金融機関からの借入れが5億円あります。

あたらに事業拡大によりあらたに10億円の借入れを実施し、借入額が合計15億円になりました。

借入れ前と借入れ後のROAを比較します。

借入れ前のROA

5億円(純利益)  ÷ 25億円(純資産) × 100 =  20%(借入れ前のROA)

借入れ後のROA

5億円(純利益)  ÷ 35億円(純資産) × 100 =  14.3%(借入れ後のROA)

このようにあらたな借入れをおこなうことで、ROAの数値も下がりますが、このケースでは借入れの目的な事業拡大の設備投資であり、一定期間経過することで、純利益も増えることが予想できます。

単純にROAを見ていると、ROAの低下は悪材料として投資対象にはなりません。

しかし、事業拡大による設備投資は、投資判断としては好材料なので、ROAが下がったことは問題ではありません。

このようにROAだけで判断すると、事業拡大などの好材料が悪材料になってしまう危険性があります。

ROEとROAを併用してわかること

ROEとROAを併用することで、企業の経営状態を予想することが可能です。

ROEが高くROAが低い企業 : 金融機関からの多額の借入れ(負債)がある可能性がある。

ROEが低くROAが高い企業 : 株主からの資金を効率よく活用できていない可能性がある。

このようにROEとROAは単独で判断するだけでなく、併用することも大切です。

あくまで目安として活用する

このようにROE、ROAの数値にかかわらず、投資対象となる企業は少なくありません。

あくまで株式サーチのスクリーニングの数値として目安的に利用して、最終的な判断は決算状況などを確認して総合的におこなってください。

ROEやROAの確認には証券会社のスクリーニング機能などが提供する指標のランキング表示などを利用してください。

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