JTBの赤字で考える非上場企業と不労所得の株式投資

世界旅行

昨日のニュースに「JTB、最終赤字1051億円 過去最大」が掲載されていました。

(参考:産経新聞記事)

この記事を見ると旅行業の最大手であるJTBが、令和3年3月期連結決算で1,051億円もの最終赤字を計上したと報道されています。

前期の決算では16億円の黒字だったので、今後の事業に対する影響が心配されています。

このように有名な企業の大赤字は、FIRE(ファイア)生活を目指す投資家にとって大きな問題です。

しかしJTBの大赤字は日本経済にとっては、悪影響を与えますが、不労所得としては問題にはなりません。

実はJTBは「非上場企業」 … それが理由です。

JTBと違い過去最高益を出した任天堂の記事は「「任天堂」決算後の推移を考える!株価の影響は」をご覧ください。

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JTBは投資ができない非上場企業

今回のJTBの赤字はご存じの通り、コロナウイルスによる旅行自粛が要因です。

前年と比較して71%以上も売上が下がったことで、経営にも支障をきたしており、人員削減などの対策を発表しています。

FIRE(ファイヤ)生活における不労所得では、投資している企業が大幅な赤字を計上すると、配当がなくなる「無配当」になるリスクが生まれます。

その意味で投資している企業の決算はとくに注目しなくてはなりません。

しかし、今回のJTBの赤字は市場で取引をおこなう一般的な投資家には直接の影響はありません

その理由はなぜか?

日本を代表するJTBは「財団法人日本交通公社」から民営化された会社で、旅行業では世界有数の大企業と言ってもよいでしょう。

その大企業であるJTBの特長の一つが「非上場企業」であること。

一般的な市場投資家はJTBの株式を購入できず、FIRE(ファイア)資金としての不労所得に組み入れることができません。

上場企業と非上場企業

上場とは企業の株式を「株式市場」で公開し、売買取引ができる状態を言います。

つまり「上場企業」とは自社の株式が公開されて、株式市場で一般投資家間の株式譲渡(売買)ができる企業です。

株式市場へ上場するためには、各市場の厳しい審査が必要で、それに通過することで株式が公開され上場企業になります。

上場企業の信頼性は各市場の厳しい審査によるもので、審査を通過できた企業は市場のお墨付きをもらった状態だと思って下さい。

反対に株式市場に株式が公開されていない企業を「非上場企業」と言います。

非上場企業の株式は公開されていないことから一般的な投資家は売買できず、企業間の限られた取引でのみ、株式の譲渡が可能です。

上場企業のメリット

上場企業のメリットは幅広い投資家から資金を集めることができます。

株式を公開することで、得られる資金は返済の義務のない資本なので安心して事業に使えます。

また上場企業になるには厳しい審査が必要なので、企業の信用性が高まる効果もあります。

とくに東証1部上場企業になると、大企業の仲間入りとなり、商取引や人材確保にも有利に働きます。

また金融機関の評価も上がり、資金調達がスムーズになるメリットもあります。

非上場企業のメリット

非上場企業は株式を公開しておらず、株主も限定されています。

つまり限られた範囲の株主のなかで経営ができることから、事業報告や財務報告でトラブルになることはありません。

また株主の意見に左右されず、経営者の考えで事業を推進できます。

近年では企業が問題を起こすと、株主総会が紛糾したり、株主訴訟に進んだりしますが、それらの対策も必要なく、安定した経営が可能です。

さらに株式が公開されていないことから、株式買収の危険性もなく敵対的なM&Aのリスクもありません。

日本の大企業で非上場の企業

日本の大企業で非上場の企業を少し紹介します。

「エッ、この会社って上場してないの?」😮

と思う会社ばかりです。

  • JTB
  • サントリー
  • 富士ゼロックス
  • 創業産業(ダイソー)
  • ロッテ
  • 日本生命
  • 明治安田生命
  • 朝日新聞
  • 読売新聞
  • エースコック
  • ミツカン
  • その他

つまりこれらの会社に投資したくても、株式市場に公開されていないので購入することができません。😓

非上場企業の問題でも安心できない

今回のJTBの赤字は、JTBが非上場企業なので一般的な株主に直接的な影響はありません。

しかし、旅行業界のなかには上場している企業もあることから、波及効果としての悪影響は少なくないと思います。

  • エイチ・アイ・エス
  • エアトリ
  • 阪急阪神ホールディングス
  • その他

このように旅行業で上場している有名企業は多いのですが、業界トップのJTBの大赤字は、これらの企業の株価にも悪影響を与える可能性があります。

つまりJTBが非上場だからと安心していると、保有している株式にも波及して不労所得に問題が出ることもあります。

今回のJTBの大赤字…… 「うーん」

自分が保有する株式に影響が出ないか、考えてみてはいかがでしょうか?

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