おとり広告がバレたスシロー、人気優待株はどうなる?
先週の2022年6月9日に消費者庁が、景品表示法に基づく措置命令を「あきんどスシロー」に対して行いました。
あきんどスシローって回転ずしのスシローの会社だよね。
何やったの?
広告を出していたキャンペーン商品が実際にはないにも関わらず、広告を出し続けていた行為が「おとり広告」に違反認定されたようだよ。
スシローは持ち株会社である「FOOD&LIFE COMPANIES(3563)」の連結子会社で、株式市場に上場しているのは親会社のFOOD&LIFE COMPANIESです。
FOOD&LIFE COMPANIESは人気優待株としても有名ですが、今回の措置命令で株価はどのように動くのでしょうか?
本日のブログはFOOD&LIFE COMPANIESの今後を考えてみます。
スシローのライバル「くら寿司」の話題は「くら寿司が株主優待を拡充!100株保有の優待がなんと2倍に」も見て下さい。
FOOD&LIFE COMPANIESの業績はいまいち
「FOOD&LIFE COMPANIES(3563)」は2022年5月6日に2022年9月期の第二四半期決算を発表しました。
第二四半期累計の純利益は55億円と前期比で28.5%の減益でした。
昨年の同期よりコロナの影響が少なくなったイメージだけど、昨年比でかなり落ち込んでいるね。
理由はなんなの?
実は売上は過去最高である1,402億円を達成しているよ。
ただし利益はコロナの時短協力金や、有利買付効果がなくなったことで大幅な減益になっています。
2022年9月期第二四半期累計決算を見てみましょう。
- 売上 : 1,402億円(前期比17.8%)
- 経常利益 : 90億円(前期比△27.1%)
- 純利益 : 55億円(前期比△28.5%)
また上半期の決算が終わったことで通期の見通しが可能になったことから通期業績予想を下方修正しています。
- 売上 : 2,950億円(当初予想:3,100億円)
- 経常利益 : 1,400億円(当初予想:1,900億円)
- 純利益 : 87億円(当初予想:120億円)
原材料価格が高騰しているから、仕入にかかる経費はこれからも上がるかも?
値上げなどの対策をとると思うけど、客離れを加速させる値上げには限界があるね。
その意味でも今期は売上が高くても、利益が生まれない構造になる可能性が高いよ。
そしてその状況下で「おとり広告による措置命令」を受けてしまった。
これじゃ、「泣きっ面にハチ」…売上に大きな影響が出るかも?
スシローがやってしまった詐欺的なキャンペーン
スシローはテレビCMを多く出しており、定期的に実施されるキャンペーンを前面に出すことで集客をはかってきました。
テレビCMは見たことあるぞ。
今回消費者庁に問題にされている広告は、昨年冬から今年春に実施したキャンペーン広告で、「ウニ」、「カニ」などの食材を使用したものです。
大々的にテレビCMを流しておいて、実際にはキャンペーン初日から提供していなかった店舗が複数あったそうだよ。
さらに全国の9割の店舗で提供をしていなかった日があったことも指摘されている。
とくにカニはキャンペーン期間中を通して、まったく提供していなかった店舗が多数見つかっている。
広告で客を引き付けて、目当ての品は「品切れ」…そもそも提供していなかったのだから、品切れでもない。
消費者庁は「おとり広告」と言っているけど、これは立派な詐欺行為だよね。
手元に商品がないにも関わらずオークションに出品するのと変わらないと思うよ。
悪質だね。
ウニやカニを餌にして、他の寿司を購入させる手口だ。
日本人はこんなことされても、店舗では怒らず大人しいから舐められるんだよね。
FOOD&LIFE COMPANIESの株主優待
FOOD&LIFE COMPANIESは人気優待銘柄で、保有株式数により年2回、株主優待券がもらえます。
- 100株以上 : 1,100円×2回
- 200株以上 : 1,650円×2回
- 400株以上 : 2,200円×2回
- 800株以上 : 4,400円×2回
- 2,000株以上 : 11,000×2回
100株保有だと年間2,200円の優待券がもらえるから、現在の株価が3,080円と仮定すると0.71%の優待利回りだ。
優待利回りはそこまで良くないね。
ライバル企業を見ると、くら寿司は100株保有で優待利回りが1.62%程度、元気寿司は同じく1.19%だね。
そのなかでFOOD&LIFE COMPANIESの優待利回りは0.71%と断トツ最下位だね。
果たしてスシロー株は割高なのか?
それではスシローを運営するFOOD&LIFE COMPANIESが、他の回転すし銘柄と比べて割高なのかを比較してみましょう。
- 会社名 PER PBR ミックス係数 優待利回り
- FOOD&LIFE COMPANIES 40.99倍 5.42倍 222.1倍 0.71%
- くら寿司 42.32倍 2.42倍 102.4倍 1.62%
- 元気寿司 37.57倍 2.38倍 89.41倍 1.19%
ミックス係数で見るとFOOD&LIFE COMPANIESが圧倒的に割高に見えるね。
この3社は寿司チェーンのなかでも人気企業ですが、数字的にはFOOD&LIFE COMPANIESの株価が一段高く感じられますね。
PERには大きな差がないのですが、PBRは2倍以上高くなっています。
新規出店を継続していることから、PBRが高くなっているのかもしれません。
FOOD&LIFE COMPANIESの株価は2021年秋の5,300円台から大きく下落しており、現在は3,000円水準で取引されています。
現状の株価でも割高感が出ていることから、直近では2020年夏の価格である、2,300円~2,500円近辺まで下落するのではないでしょうか?
FOOD&LIFE COMPANIESの株価はどうなる?
実はJ塾長は今回のおとり広告の問題は、すぐに治まると思っていました。
しかし、6月9日以降テレビのワイドショーや、ネットで大きく取り上げられて、スシローのブランドイメージが棄損したことは間違いありません。
とくにファミリー層は不正に敏感なので、スシローから一定の顧客離れが起きる可能性があります。
措置命令翌日の6月10日の終値は110円安の3,080円で、前日比-3.45%です。
この日の日経平均は-1.49%なので、思ったよりは下がらなかった印象です。
ただ6月10日の夜間取引であるPTS株価は、続落して3,045円で終了しています。
人気優待銘柄はコアなファンが多いから、不祥事が発覚しても株価は支えられることが多いんだよね。
ただFOOD&LIFE COMPANIESは収益性も悪化しているから、どこまで株価を支えられるかな?
FOOD&LIFE COMPANIESは業績の下方修正、有利買付がなくなることによる原価高騰など問題が山積みで、そこにきての措置命令。
ここから株価が上昇するきっかけを作るのは難しいと考えます。
J塾長はやはり2,500円付近まで下落すると予想しますが、影響が出るのは7月以降だと思います。
FOOD&LIFE COMPANIESの配当は年間22.5円で、今期の配当予想も22.5円と発表しています。
配当利回りは0.73%程度で、優待と合わせた総合利回りも1.44%しかありません。
人気優待銘柄なのでFIRE(ファイア)銘柄として保有している人も多いと思いますが、一旦は売却することも検討されてはいかがでしょうか?
※このブログはあくまでJ塾長の感想であり、投資を勧めるものではありません。投資は自己判断と責任でおこなってください。