株式投資⑤PBR(株価純資産倍率)の目安と高配当株の関係

資本金

企業には自ら保有する資産があり、それを資本として業務をおこなっています。

PBR(株価純資産倍率)とは企業が保有する純資産と株価の関係を表す指標で、会社の純資産に対して株価の水準がどこにあるかを表します。

前回の「株式投資④PER(株価収益率)による高配当株の見つけ方」では、PER(株価収益率)を紹介しましたが、今回はPERと一緒に利用されることの多いPBRを紹介します。

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PBR(株価純資産倍率)を理解するには純資産から

投資の初心者向けのブログですが、少しややこしい話をしますね。

企業は会社設立のさいに「資本金」を用意することで、事業を開始します。

つまり資本金は会社を運営するための資金であり、一定年数経過した企業においては「企業体力」とも考えられます。

たとえば経済の急激な落ち込みが発生した場合、体力がない会社は倒産し、体力(お金に余裕にある)のある会社は生き延びられます。

自己資本は「純資産」とも呼ばれ、上場企業においては株主からの出資金、利益の蓄積などが含まれます。

純資産は決算時の貸借対照表の貸方(右側)に記載されており、かんたんな意味合いとしては「返却の義務のない資金」と覚えてもよいでしょう。

BPRの前にBPS(1株当たりの純資産)を把握する

PBR(株価純資産倍率)は現在の株価と、保有する純資産の割合を分析する株価指標です。

計算するにはまず「BPS(1株当たりの純資産)」を計算します。

BPSは1株当たりの純資産額であり、純資産を「発行済み株式総数」で割って算出します。

BPS(1株当たりの純資産)  =  純資産 ÷ 発行済み株式総数

株式の発行総数が10万枚、純資産が500万円の会社のBPSは…

500万円÷10万枚=50円

BPSは50円

この会社のBPSは50円なので出資者が保有する株式1株あたり、50円の純資産があると考えられます。

わかりやすい説明が難しいのですが、「この会社がこの時点で倒産した場合、1株あたり50円が返却される余力がある」と思ってもよいでしょう。😅

PBRの計算方法

PBRは株価とBPS(1株当たりの純資産)を割って計算します。

PBR(株価純資産倍率) = 株価 ÷ BPS(1株当たりの純資産)

BPSで例に上げた企業の株価が150円の場合、PBRは…

150円 ÷ 50円 = 3.0倍

PBRは3倍

PBRはPERと同じく株価に対する割合を示す株価指標なので、BPSと違い「~倍」と表します。

したがってこの企業のPBRは3倍です。

PBRの見方と使い方

PBRは1株あたりの純資産額に対して株価が何倍かを表しています。

PBRはPERと同様に株価の割高・割安を計る目安であり、倍数が小さい方が割安と判断されます。

たとえばBPSが50円の企業は、1株当たりの純資産が50円あるので、そのまま倒産しても50円は株主に配分される計算です。

この50円を「解散価値」と言います。

PBRが3倍のこの会社の株価は150円なので、このまま倒産(解散)した場合、1株あたり50円が配分されて100円の損失が出る計算ですね。

それではこの会社の株価が75円としたらどうでしょう。

PBRは1.5倍、解散価値は50円のままですが、倒産時の損失は1株あたり25円の損失です。

2つを比較するとPBRが1.5倍のほうが1株あたりの純資産が多く、株価が安いと判断できます。

変な例えですが「150円で50円の純資産を買う(PBR3倍)」、「75円で50円の純資産を買う(PBR1.5倍)」…どちらが割安?と思ったららわかりやすいかもしれません。

このように株価が1株あたりの純資産と比較することで、株価の割安、割高を計る指標として使用するのがPBRです。

PBRの目安は1倍~1.5倍以下が基本

PBRは倍数が低い方が株価が割安ですが、その目安となるのは「1倍~1.5倍」と言われています。

つまりBPSが1,000円の企業なら株価は1,500円以下なら割安、以上なら割高と判断する方法です。

とくにPBRが1倍近辺にある株式は、倒産しても株価分が配分される可能性があることから、割安株として判断されます。

反対にPBRが10倍とか100倍とかの高PBR株は、株価が異常に高騰している状態なので、投資には慎重になりましょう。

ネット証券のPBR(実績)一覧を見ると、PBRが100を超えている企業がいくつかあります。

PBR1倍割れは超割安か要注意

イエローカード

反対にPBRが低い株式はどうでしょうか?

PBR(実績)一覧を見ると、PBRが1倍未満の株式が多く出ます。

なかにはPBR0.09倍や0.11倍などもあり、超お買い得なにおいがしますね。

しかしこのような会社には注意が必要です。

PBRはあくまで株価が下がると倍率が下がる計算式なので、業績悪化で急激な株価下落が起きた企業はPBRは一時的に1倍を割ります。

また赤字が続くこととで純資産を食いつぶす企業もあります。

本来会社の価値は純資産より大きいことから、理論上はPBRも1倍を割ることはありません。

つまり1倍を割っている企業は何かの事情があるか、株価が業績に追いついていない優良企業かのどちからです。

しっかりと調査した上で検討してください。

FIRE用の不労所得の判定のPBRを活用

FIRE(ファイア)用の不労所得として株式投資をおこなう場合、株式の選び方としてPBRを活用してください。

とくに不労所得は長期的な運用が基本なので、PBRが低い銘柄で高配当株を選択すれば、割高の株式を購入しなくて済みます。

長期運用は株価が安い銘柄を選び、長期保有で安定した運用を目指す投資です。

とくに株式投資の初心者の人は高PBR株には手を出さず、あくまで1.5倍以下を対象とした株式投資をおすすめします。

また明確な理由により1.5倍を超える株式を購入する場合には、十分な調査をおこなってから判断してください。

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