花王の株価下落で買場到来か?連続増配株に潜む減配リスク

花王減配リスク

毎年増配を続けている銘柄のことを「連続増配株」と言いますが、現在の日本市場のトップは「花王(4452)」です。

洗剤や化粧品で有名な企業だから知らない人はいないよね。

花王は連続増配を33期も続けており、長期投資を目的としたFIRE銘柄としても人気です。

しかし、人気銘柄の花王もコロナ、円安の煽りを受け業績は悪化、さらに株価も長い下降トレンドの状況にあります。

2023年2月2日に発表された2022年3月本決算においては、純利益が前期比21.5%の減益となっており、今期予想も微増とイマイチです。

最近では減配の予想も出ている「花王(4452)」について、今後の動きと株価下落による投資判断を考えます。

 

連続増配株については「【連続増配株とFIRE】長期の株式投資は増配銘柄がおすすめ」も見てください。

 

花王の株価下落が止らない

花王(4452)」の株価下落がとまりません。

花王の株価は2018年秋に1株9,200円まで上昇した後、長い下落トレンドが続いており現在は5,000円の水準にあります。

4年で株価が45%も下がったんだね。

昨年の2022年春には一時的に上昇しましたが、夏をピークに下落に転換しています。
株価は2018年秋の半値程度だから、かなり安い水準まで下がったと思います。

基本的に連続増配できる企業は業績が安定しており、株価の動きも堅調に推移するのが一般的ですが、花王に何が起きているのでしょうか?

 

花王は無理して増配しているのでは?

花王の2022年12月期の決算を見ると売上1.55兆円、純利益860億円で、2021年12月期と比べて増収減益です。

 

2022年12月期決算

  • 売上    :  1.55兆円(前期比9.3%増)
  • 経常利益  :  1,158.4億円(前期比22.8%減)
  • 純利益   :  860.3億円(前期比21.5%減)

売上は前期比で9.3%の増収ですが、利益は20%以上の大幅減益となっています。

売上は若干伸びているけど、収益性が悪化しているのが分るよ。

実はここ何年も花王の売上は微増と微減となっており、著しい成長は感じられません。
コロナの流行時で衛生品は人気でしたが、売上面では思ったよりも伸びていないのが現状です。

花王の収益性が悪化している理由は、世界的な原材料費高騰と円安だと考えられます。

現状ではこの2点は解決できない状況なので、これからも花王の業績が大きく回復するのは難しいと考えます。

そして最近聞かれるのが「花王は無理して増配しているのでは?」との疑いと、「いよいよ減配か?」との心配の声です。

投資家のなかでこのような疑惑が出ることも花王の株価を下げる要因になっているようです。
花王は減配せずに増配記録を伸ばせるのでしょうか?

 

配当性向が80%を超えている

花王配当状況
参照:花王HP

2022年12月期の決算では1株当たりの当期利益183.27円に対して、配当は148円支払われます。

配当性向は80.75%であり、利益の8割を配当に拠出している状況です。

配当性向が30%以上で株主還元に優れていると考えるけど、80%超えって大丈夫なの?

資金も豊富な大企業であれば、そこそこ高い配当性向でも問題ないけど、収益性が悪化している花王にとっては厳しい内容だと思うよ。
ちなみに2021年12月期の配当性向は62.45%だから、減益だったにも関わらず18%程度増えた計算になるね。

また花王は株主還元の一環として、自社株買いを実施しており2021年には約500億円の自社株を取得しています。

これにより2021年12月期の総還元性向は100%を超えており、これだけでもかなり無理していると考えられます。

 

キャッシュフローが悪化している

花王の決算書を見るとキャッシュフローが悪化していることが分かります。

例えば「営業CF」を見ると2021年12月期は1,755億円でしたが、2022年12月期は1,309億円に減少しています。

さらに「投資CF」、「財務CF」もマイナスの状況で、現金等は3,360億円から2,682億円まで減っている状況です。

キャッシュフローから見ても収益性の悪化により、現金資産が減少していることが分かります。

うーん…「このまま増配を続けられるのか?」…疑問になってきたよ。

 

花王の対策は戦略的値上げを実施

営業利益が悪化している花王は2022年から段階的な「戦略的値上げ」を実施していますが、2023年についても「値上げの対象品目100%」を目標にしてさらに収益性を高めたいとしています。

全ての商品を値上げするんだね。
原材料費が上がったから値上げは仕方がないけど、買い控えが出るかもね。

2022年は値上げにより140億円の利益を確保しましたが、原材料費高騰によるコスト増の1/3しか対応できませんでした。

2023年期は値上げ品目を100%目標として、さらに200億円の利益を確保したい計画です。
しかし、それでも材料費高騰の影響である580億円の60%しか吸収できません。

現状計画している値上げでは、材料費の高騰によるコスト増の全てをカバーすることはできないようです。

日本だけでなく中国市場が活況にならない限りは、花王の業績も上向きにならないことから、値上げだけでなく大幅なコストダウン等の対策も必要になるでしょう。

また、利益の大部分を占めている配当についても減配を実施する可能性があると思います。

 

花王は減配を実施するのか?

最近では「花王が減配を実施するのではないか?」との噂を耳にしますが、実際に可能性はあるのでしょうか?

J塾長の個人的な意見としては、減配の可能性はあると思います。

33期も連続増配を実施している名門企業の花王ですが、やはり配当性向80%を数年も続けるのは不可能だと思います。

また戦略的値上げを実施しても、買い控えが出ると意味がありません。

ここ5年の花王の配当性向の平均は55%程度なので、減配するとしたら配当性向50%あたりではないでしょうか。

減配する場合、配当100円前後あたりだね。

あくまで予想ですがキャッシュフローを立て直す意味でも、配当性向40%~50%あたりが想定されますね。

 

花王への投資は減配後に考える

あくまで個人的な考えですが花王への投資は今ではないと感じています。

株価も下がっているけど、タイミング的にはまだ駄目なの?

花王の指標を見るとまだ割高のイメージを受けます。

 

  • PER    :  26.58倍
  • PBR    :  2.41倍
  • 配当利回り :  2.98%
  • ROA    :  4.98%
  • ROE    :  8.88%

 

PERが26倍だからまだ割高感があり、さらにROAやROEも年々下がっているので、今後株価はさらに下落すると思います。

配当利回りが3%近いので、高配当株としても魅力が出てきましたけど、配当利回りなんて減配で一瞬で飛びますから…
株価が高いので投資するには勇気がいる状況ですね。

じゃぁどうするの?

どうなるかわからないけど、減配するまで投資は待ちたいと思います。
確実ではないけど近い将来に減配があると予想しているので、減配により株価が大きく下落したタイミングを狙いたいですね。(笑)

花王はネームバリューから見ても魅力的な銘柄ですが、収益性の悪化したPER26倍の会社であることは間違いありません。

1株5,000円水準で購入するのは難しいと判断します。

 

過去には日本たばこ(JT)も連続増配を中止

2021年には「日本たばこ(JT)」が、27年続けてきた連続増配を中止しました。

JTの減配には驚きましたが、コロナやウクライナ紛争で業績が悪化していたので納得でした。

JTとしては「連続して配当金を増やすのではなく、配当性向75%を維持する」ことを新たな還元方針にすると発表しています。

無理して1円の増配を実施するよりも、配当性向を維持する方が株主としては安心できますね。
J塾長もJTの株主なので、この方針には賛成です。

でも配当性向75%も高いきがするなぁ。

 

まとめ

連続増配トップの花王の株価が下げ止まりません。

原因は収益性の悪化ですが、現状では値上げ以外に対策は無いように感じています。

花王は戦略的値上げと呼んでいますが、2023年は100%の品目で値上げを実施する予定です。
しかし値上げにより需要悪化も考えられるので、値上げ効果がどこまで出るかは疑問です。
また戦略的値上げが成功しても、材料費高騰における負担の6割しか補てんできません。

花王のような大企業はここからの急激な成長が見込まれず、また値上げで業績が急回復するとは思えません。

もしかしたら連続増配を止めて減配を実施する可能性があります。
JTのように連続増配ではなく、配当性向の維持に方針転換する可能性もあります。

J塾長は花王が減配に転じる可能性は高いと考えており、花王への投資は当分見送ることにしました。

連続増配企業であっても業績が悪化しているのに増配を続けるのは不可能ですから…

 

※このブログはあくまでJ塾長の感想であり、投資を勧めるものではありません。投資は自己判断と責任でおこなってください。

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