株主優待制度は内容と利回りを確認!新設銘柄における注意点
先日は株主優待制度を新たに導入した企業の株価がどのように反応するかを紹介しました。
株主優待を新設することで、株価が数倍に上昇することもあれば、反応が少ないこともあります。
株主優待制度を導入したからと言っても、それが株価上昇につながらないのであれば、慌てて購入すると損害を出す可能性もあります。
本日は株主優待制度を新設した銘柄に投資する場合の注意点について考えてみます。
株主優待の導入についてのブログは「株主優待制度の新設!その後の株価の行方と利回りの変動」をご覧ください。
株主優待制度による株価上昇は内容による
先日も紹介したとおり、株主優待制度を導入しても、株価が反応しない銘柄が少なからずあります。
「空港施設(8864)」は2021年7月29日に優待制度の新設を発表しましたが、翌日の株価は反応しませんでした。
空港施設の優待内容はHPに掲載されているように、関連ホテルの宿泊割引券であり、QUOカードや商品券のような金券ではありません。
みんな大好きQUOカードではなかったんだよね
お菓子でもよかったのに
そうですね
宿泊券であれば投資家の反応も違ったと思いますが、割引券では反応がないのも仕方がありません。
それでも発表翌日の7/30には一時的に株価が上昇したので、若干の反応はあったようです。
このように株主優待の新設は優待内容により株価への影響が変わりますので、しっかりと見極める必要があります。
株主優待は投資初心者への罠
空港施設の株価は優待新設で大きな動きがありませんでしたが、実は翌日は一時的に株価が上昇しています。
これは優待新設による株価上昇を見込んだ投資家の買いが入ったと思われますが、J塾長はその多くが投資初心者ではないかと推測します。
現在、テレビの影響もあり株主優待の認知度が広がっており、優待欲しさに株式投資を始める人も少なくありません。
このロジックは「ふるさと納税」と同じですが、人気が先行して冷静な判断をせずに投資をおこなっているように感じます。
そーかぁ 株主優待の新設だけで飛びつく投資初心者がいるんだね
そうですね、内容、利回り、株価などを考えずに購入する投資初心者は少なくないようです
「株主優待制度の導入=株価上昇」ではないので、内容をしっかり確認することが大切です。
株主優待制度の新設銘柄に投資するさいの注意点を考えてみます。
注意点①その優待…使いますか?
まずは優待内容をしっかりと理解することが大切です。
テレビで活躍されている「桐谷さん」は面白くていいのですが、見ていると必要のない優待を無理やり使用している場面を見かけます。
J塾長としては必要としない優待銘柄であれば、高配当株やETF、J-REITに投資した方が…といつも考えています。
普段スーツなんて着ないのにネクタイやYシャツもらってたよ
せっかく投資で頂く優待なので普段の生活で利用でき、かつ使用することで生活費の節約につながるものがいいですね
FIRE(ファイア)における優待は、あくまで生活費の一部として利用できないと不労所得の価値が出ません。
自分にとって有益な優待かを見極めてください。
注意点②優待品の価値を考える
優待で頂く商品は多種多様です。
- QUOカード
- 商品券
- 食事券
- カタログギフト
- お菓子セットなどの食品
- おもちゃ
- 宿泊券
- 施設入場券
- サービス割引券
- その他
このように優待内容は企業によりさまざまですが、とくに人気なのはQUOカード、商品券、食事券、カタログギフトなどです。
施設入場券は対象施設により人気に違うので、よく調べて考えてください。
施設の割引券はあまり魅力的じゃないね
そうですね、とくに「○○%引き」などの割引券は、あまり人気がないようです
注意点③優待利回りを確認する
つぎに大切なのは「優待利回り」を確認することです。
優待利回りは優待品の価格と株価の割合であり「優待利回り = 優待品の価格 ÷ 単元株価」で計算します。
たとえば「すかいらーくホールディングス(3197)」は、100株保有の株主に対して半期ごとに2,000円の食事券を提供しています。(年間4,000円の食事券)
すかいらーくの株価を1,470円と仮定して、1単元購入すると147,000円、年間で4,000円分の優待ですから、優待利回りは2.72%です。
2.72% = 4,000円 ÷ 147,000円
このように優待内容の利回りを計算することはとても大切です。
お得だと思って投資しても、かえって利回りが低いことは投資の「あるある」ですから、注意してください。
優待制度が必ずしもお得ではないんだね
優待利回りが1%程度なら、3.5%の高配当株に投資して配当金でほしい商品を買う方がお得です
FIRE(ファイア)では優待利回りと配当利回りの合計で4.0%程度を目安にしたいですね
注意点④株価が上昇した局面では投資しない
株主優待制度の新設を発表することで株価が大きく上昇することがあります。
先日紹介した「京極運輸商事(9073)」は、QUOカードの優待を発表したところ2日連続のストップ高で、株価が3倍に急騰しました。
100株以上で1,000円のQUOカードを年1回の優待なので、発表前の株価(約600円)であれば優待利回りは1.66%です。
しかし、発表後、株価は1750円(8/3)まで急騰しているので、優待利回りは0.57%へ低下しています。
これでは魅力的な優待とは言えない状態なので、J塾長なら投資はしません。
それでも発表から5日たってもまだ高騰を続けているよ
発表から4営業日の8/3も一時ストップ高でしたね
もともと出遅れ感のある銘柄でしたが、600円が4営業日で1,700円です
1,000円のQUOカードにそこまでの力があるなんて驚きですね
反対にそれだけ投資初心者が飛びついているように見えますね
注意点⑤加熱したら必ず下がる
そして最後の注意点ですが、優待により加熱した株価は高確率で下落します。
冷静に優待利回りを計算すると、株価の上限も見えてくるので、上がりすぎた部分は下落により解消されます。
また高値で購入してしまった投資初心者は、株価が下落することで「狼狽売り」を始めるでしょう。
狼狽売りが売りを加速して株価は下がり、結局は新設前の株価に戻ることも珍しくありません。
優待が新設されたからと、高値で購入してはいけないんだね
加熱した株価は必ず下がるから、数ヵ月待ってから投資するのもよいでしょう
とくに株主優待目的の投資初心者は、優待が新設されるだけで投資を考えてしまうので注意が必要です。
FIRE(ファイア)生活では安定した現金資産を確保したいので、生活費として使用できない優待は落ち着いて考えた方がよいと思います。
- 自分にとって有益な優待か?
- 優待利回りは?
- 配当利回りと合わせた合計利回りは?
- 株価は妥当か?
これらの項目をよく考えて投資を判断してください。
明日は株主優待制度の廃止による影響について考えます。