【自社株買いの闇】Zホールディングスのヤバイ手法
株式投資の初心者のなかには「自社株買い」の意味が良くわからない人もいると思います。
自社株買いとは株価を上昇させたり下落を抑える目的で、自社の株式を市場等で購入することです。
本来、自社株買いは株式の価値を上げたり、維持させたりする効果があるので、増配とおなじく株主利益につながる行為です。
本日のブログはYahoo!の親会社であるZホールディングス(4689)の自社株買いの闇について紹介します。
株価の話題については「【株価下落は投資のチャンス?】この局面で考えたいこと」も見て下さい。
Zホールディングスの自社株買いに騙されるな!
ヤフーの親会社であるZホールディングス(ZHD)は、12月3日に自社株買いを発表しました。
自社株買いの規模は1億300万株で期間は12月13日までです。
ZHDの発行株式枚数はどのくらいなの?
ZHDのIRでは2021年9月末時点で7,656,319,295株が発行済みです。
今回の自社株買いの規模は1億300万株なので、約1.34%を購入する予定です。
本来の自社株買いであれば1.34%もの自社株買いは市場でのインパクトもあり、株価が上昇するきっかけになりますが、どうもZHDの自社株買いは勝手が違うようです。
ZHDが実施する自社株買いはZHDの親会社であるAホールディングス(AHD)が全て応募します。
つまり自社株買いではあっても、市場からでなく全数親会社のAHDが引き受けることが決まっています。
つまり、今回の自社株買いは親会社のAHDが保有する約65%のZHD株のなかから、1.34%をZHDが購入するシナリオができています。
えっ それでも自社株買いをするのなら、ZHDが消却すれば発行株式数が減るから株価上昇の要因になるのでは?
いや、今回の発表には続きがあって、ZHDはAHDから株を購入するだけでなく、同時期に新株予約券も発行して新たに株式数を増やします。(これも増資なのだろうか?)
そして新株予約権の行使された場合の株式数は、潜在株式数でなんと1億300万株。
そう…自社株買いと同数の新株予約権を発行するのですね。
(※潜在株式数とは新株予約権がすべて行使された場合の株式予定枚数)
自社株買いのメリットは発行済み株式数が減ることで、1株当たりの利益が増えることだよね。
それによって株の価値が高まり、株価が上昇するんだ。
自社株買いして同数を新株予約権で発行するなら…意味ないじゃん!
今回のZHDの自社株買いは株価対策や株主還元ではなく、あくまで別の目的があるようです。
自社株買いと発表されていますが、あくまで身内の株式移動と流通株式数を増やすことが目的です。
これを自社株買いと表すことで勘違いする投資初心者がいるかもしれません。
自社株買いが実施されても結局は、発行済み株式数に変化はありません。
騙されないように内容を理解してくださいね。
ZHDが自社株買いを実施する理由
なんでこんな意味のないことをするの?
実はこれには来年に迫っている東証再編が絡んでおり、ZHDは流通株式比率をクリアしないかぎりプライム市場への上場ができないんだ。
流通株式比率とは発行済み株式数のなかで、どの程度が株式市場で流通しているかを表す割合で、プライム市場の条件は35%以上と決められています。
すべての株式のなかの35%以上が、一般市場で取引されていないとダメなんだね。
そこでAHDがそのまま市場で株式を売っても良いのだけど、それでは株価に与えるインパクトが強いから、いったんZHDが引き取って株式数を減らした上で、新株予約権で同数を発行するのさ。
株価はどうなったの?
発表後はやはり自社株買いだと思って上昇したけど、直ぐに下落基調になったようだね。
プライム市場に上場するにはいくつかの基準があり、クリアできない企業はスタンダード市場やグロース市場を選択しなくてなりません。
プライム市場に上場するために株式を様々な手法で調整する企業もできてきますので、勘違いしないように対応したいですね。
それでも怪しい対応
ここからはJ塾長の憶測なのですが、実際に流通株式比率をあげたいだけなら、自社株買いにより株式を消却しても同じ効果があります。
新株予約権を発行しなくても親会社が保有する株式を買い取るだけでも同じ効果がありますよね。
まあ、自社株買いの規模は明らかに増えますが…
そこで投資家の中には「プライム市場の条件にかこつけて、AHD保有の株式を売却したのではないか?」との憶測もあります。
たしかに、結果だけ見るとAHDは株式を売却することで多額の資金を得られます。
またADHに購入代金をしはらうZHDも結局は新株の発行で資金が回収できます。
結果的にはAHDに現金が流れる仕組み…とも見れますね。
闇っぽい話ではありますが…
どちらにしてもZHDの自社株買いは、通常の自社株買いではなく株主のメリットはないので、投資判断には注意してください。
※このブログはあくまでJ塾長の感想であり、投資を勧めるものではありません。投資は自己判断と責任でおこなってください。