不動産投資⑫家賃収入は表面利回りでなく実質利回りを

利回りと空

不動産投資の利益を表す言葉に「利回り」があります。

利回りとはおもに年間の家賃収入に対して、不動産投資にかかった費用(不動産購入費用)を割ることで算出されるもので、株式などの利回りと同じイメージです。

不動産投資の利回りは利益の目安であり、投資物件を購入するさいにもしっかりと計算しなくてはなりません。

物件情報に記載されているのは表面利回り

投資用の物件情報をみると必ず物件に対する利回りが記載されていますが、これはあくまで満室時に想定される「表面利回り」です。

たとえば「株式会社ファーストロジック」が提供する投資物件サイトの「楽待」をみると、物件価格の横に「利回り」が表示されています。

ここに表示されている利回りはあくまで、その物件が満室だった場合の利回りであり、空室があればそれに応じて利回りは低下します。

このように他社の物件サイトでも同様に掲載されている利回りは、株式投資における配当利回りとは違い、一定の条件(満室)において実現する目安の数値だと思ってください。

表面利回りはあくまで投資の目安

単純に満室の状態で受け取れる年間の家賃と、不動産価格を割ることで算出されるのが「表面利回り」です。

  • 不動産価格:7,000万円(木造8部屋アパート)
  • 家賃収入:40万円(5万円×8部屋)
  • 年間収入:480万円
  • 表面利回り:6.85%

この物件のように不労所得として年間利回りが6.85%もあるのなら、ほかの投資と比べて魅力的に感じてまいますが、これはあくまで目安の利回りであり実質的なものではありません。

表面利回りで不動産投資を判断すると後から後悔することもあるので、「実質利回り」を計算することが大切です。

実質利回りで不動産投資が見える

不動産投資では運用を開始することで、さまざまな費用(経費)が必要です。

  • 管理会社に支払う管理料
  • 修繕費(修繕積立金)
  •  固定資産税、都市計画税など税金
  • 共用施設の維持管理費(電気代、水道代など)
  • 清掃費
  •  交通費
  • その他

これらの経費は家賃から支払うのですから、当然ですが家賃収入は減り利回りも下がります

前述した例で年間480万円の家賃があっても、経費に年間100万円かかれば、利回りは6.85%から5.42%に1.43%も下がります。

このように家賃収入から経費を差し引き、物件取得費用を割ったものが「実質利回り」です。

実質利回りは実際の不動産の運用状況をもとに算出されており、実際の不動産投資の利益を表します。

不動産投資の利益率はあくまで実質利回りで判断してください。

築古物件の方が表面利回りと実質利回りの差が大きい

一棟アパートやマンションでは、新築や築浅物件よりも不動産価格の安い築古物件の方が、表面利回りが高くなります。

しかし、築古物件は修繕などの費用がかさむことから、実質利回りは大きく低下することもあります。

つまり築古物件は表面利回りと実質利回りの差が大きく、表面利回りのみで投資を判断するのは危険です。

不動産投資の新築と中古物件については「不動産投資⑤投資物件の選択!新築と中古の種類を紹介」を参照ください。

たとえば築古物件を購入してすぐに屋根の雨漏りが見つかった場合、修繕に数百万円もかかれば実質利回りは低下するだけでなく、マイナスになることも珍しくありません。

とくに安価な築古物件は表面利回りが見かけ上で高くなっていますが、実質利回りを考えるとそうでもないことが多くあります。

不動産投資の物件探しでは表面利回りに惑わされないで、実質利回りを自分で計算することが大切です。

実質利回りの考え方は明日のブログでも取り上げます。

不動産/REIT