楽天は大丈夫か?楽天モバイル債とSUPの改悪からの推察
2022年5月30日から楽天証券から新発債券として「楽天モバイル債」が販売されます。
楽天モバイル債って、いかにも楽天モバイルの設備投資用の資金集めって感じがするよね。
発行体は楽天モバイルなの?
発行体は楽天モバイルではなく、あくまで「楽天グループ(4755)」です。
楽天モバイル債とはあくまで愛称で正式名称ではありません。
愛称から考えると楽天モバイルの5G投資資金を集めるための社債だと推測できるけど、最近の楽天グループは楽天SPUの改悪などが多く、ユーザーの不満も高まっている状況だよ。
そのなかで楽天モバイル債の発行は、やはり5Gの設備投資が大きな問題になっているようにしか思えませんね。
本日のブログは「楽天グループ(4755)」が売り出す楽天モバイル債の中身と、楽天グループの現状について考えます。
楽天グループについての話題は「楽天でんき、ガス、モバイル…子会社リスクの楽天グループ」も見てください。
楽天モバイル債は利回りがイマイチで投資対象外?
楽天証券のホームページには新発債券として「楽天モバイル債」を一押しで掲載しています。
楽天モバイル債ってあくまで愛称なんでしょう?
正式には「楽天グループ株式会社第21回無担保社債(社債間限定同順位特約付)」で、楽天グループの無担保社債だよ。
使用目的があくまで楽天モバイルの事業ってことだね。
楽天モバイル債の発行条件を見てみましょう。
- 名称 : 楽天グループ株式会社第21回無担保社債(社債間限定同順位特約付)
- 愛称 : 楽天モバイル債
- 期間 : 3年
- 格付け : A(JCR)
- 販売期間 : 2022年5月30~6月10日
- 利率 : 年率0.4%~1.0%(2022年5月27日仮条件決定)
- 償還日 : 2025年6月13日
- 買付単位 : 50万円以上50万円単位
債券で気になる年利ですが、仮条件の決定は5月27日で0.4%~1.0%の範囲で決定されます。
どの程度の金利になるかな?
決定は5月27日ですが最高でも1.0%なので、ソフトバンクGの社債と比較して低金利ですね。
さらに、いままでの流れをみると0.6%~0.8%の範囲で決定されると推測しています。
そうなると償還までに3年かかる割には低金利だよね。
楽天モバイル債の償還期間は3年なので、原則3年間は中途換金できずに資金はロックされたままです。
仮に金利が0.7%に決まったとしても金利が高いとは言えませんね。
今の状況では3年間も資金を預けるのはできませんよ。
「ゼロ金利の今だからこそ」って無茶ぶりだよ
楽天モバイル債の案内ページには「ゼロ金利の今だからこそ、決まった利息が貰える商品を!」って書かれています。
しかし現在はアメリカの利上げの影響もあり、世界中でインフレリスクが増しているのは誰もが感じているでしょう。
日本も物価が上昇していて、インフレ傾向が高まっているよね。
現在の日本は物価が上がっているけど、その原因が需要ではないことから、正しくはインフレではありません。
しかし、将来的にはインフレに向かう可能性が高く、数年以内にゼロ金利政策が変更される日がくるかもしれません。
そのなかで「ゼロ金利政策の今だからこそ」って書くのは、ちょっと不信感を覚えますね。
なんか2年前のキャッチコピーを使っているみたいに感じるよ。
世界経済はアメリカの利上げ、原油高、ウクライナ紛争などの問題を抱えており、この先どのような動きになるかわかりません。
この状況下では3年縛りで金利0.7%程度の債券を購入するのは危険ではないでしょうか?
そのそも楽天Gもこの状況下なので、もう少しまともな金利を付けるべきだと思います。
安く楽天モバイル用の資金を調達したい思惑が見え隠れしますね。
反対にそれだけ5G資金が厳しいとも推測できますよ。
楽天ポイントクラブの改悪が止らんぞ
楽天市場の「SPU(スーパーポイントアップ)」プログラムの改悪が止りません。
楽天SPUのルールは定期的に変更されていましたが、最近は改悪と思われる変更が目立つようになりました。
もともとは最大で16倍もあったSPUだけど、今回の改悪で最大14倍に縮小されるんだよね。
2022年4月にSPUの対象が税込みから税抜になったり、楽天保険の保険料を楽天カードで支払った場合に貰える+1倍ポイントなくなったりと、ここしばらくSPUの改悪が続いていました。
その状況でさらに2022年7月からSPUのルールが改正されます。
やっぱり、改悪?
7月1日より楽天SPUの条件がさらに変更されます。
今回の変更はクレジットカードである楽天カードがらみの変更がメインですね。
楽天銀行の口座で楽天カードの利用代金を引き落とした場合、今まではポイントが+1倍でしたが、7月1日からはポイント+0.5倍に減額されます。
さらに今までは楽天カード月間獲得上限ポイントは、楽天会員ランクより5,000ポイント(一般会員)から15,000ポイント(ダイヤモンド会員)まで5段階ありましたが、これを一律5,000ポイントに変更されます。
楽天カードの引き落としを楽天銀行にしていたら+1倍だったのが+0.5倍!
半分だね。
さらに上限も最大15,000ポイントから5,000ポイントに減額されるんだ。
これは改悪だよ。
逃げ道として楽天銀行で給与・賞与・年金の受け取りをした人は、+0.5倍がついて合計は今まで通りの+1倍になります。
ただし、自営業やフリーランスの収入は不定期なので、これはサラリーマンや年金生活者のみ対象になるね。
さらに上限が5,000ポイントに集約されるので、ビジネスで楽天カードを使っている人は、月間のポイント数が激減する可能性もあるよ。
いままでも楽天SPUのルール変更は行われていましたが、今回の変更も実質的に改悪でした。
最近多い実施されるルール変更はポイント負担を減らし、楽天モバイルへの資金を回すのが狙いだと推測されます。
楽天グループの投資について
「楽天グループ(4755)」の株価は2021年3月の1株1,545円をピークに下落が続いており、現在は半値以下の760円水準です。
楽天市場の業績には大きな問題もなく順調ですが、やはり楽天モバイルの5G投資が重くのしかかっているように感じます。
楽天の2022年12月期第一四半期の決算では、連結損益が914億円の赤字と前期よりも赤字幅が大きく増加しています。
ただし売上は過去最高である1.7兆円を達成していることから、やはり5G投資が重しになっている可能性が高いと思います。
現状は楽天グループの利益の大部分が楽天モバイルに流れているように感じますね。
過去に楽天はローミング費用の削減等で、楽天モバイルの黒字化がみえてくるなどの説明を行っていましたが、実際には上手く進んでいないかもしれません。
今回の楽天モバイル債も年利が微妙で期間も3年もあるから、どの程度の販売ができるのかを見極めないとね。
アメリカの利上げなどが始まっている状況で、低金利の楽天モバイル債を買うのはちょっとできないかな。
JCRの評価はAだけど、不安要素もあるからね。
でも仮条件の1.0%近くまで金利が高くなると、興味を持つ投資家も増えるかもね。
楽天グループは楽天モバイルの5G投資を支えるために、SPUの改悪や楽天モバイル債の発行などを行っているように見えます。
第1四半期の業績も悪化、株価も最低水準まで下がっており、現状では投資対象として見ることはできません。
どうも楽天グループの将来は楽天モバイルの5G資金にかかっているようです。
でも、またすぐに6Gの設備投資が来るんじゃないの?
イタチごっこだ。(笑)
※このブログはあくまでJ塾長の感想であり、投資を勧めるものではありません。投資は自己判断と責任でおこなってください。