楽天グループ過去最大の赤字!決算から見るヤバすぎるポイント

楽天グループ決算

みんな大好き「楽天グループ(4755)」が、2022年12月期第3四半期(3Q)の決算報告を行いました。

2Qでは半期の純利益が1,766億円の大赤字でしたが、それから3ヵ月後の3Qではどのような内容になったのでしょうか?

楽天グループ(楽天G)の三木谷社長は、赤字を出しても強気の発言をするから、今回も赤字だけど強気な決算報告になったと思うよ。

今回は楽天グループが2022年11月11日に行った3Qの決算を確認して、これからの投資判断に与える「ヤバいポイント」考えます。

 

楽天グループの業績内容についての話題は「楽天グループがモバイル地獄へ突入!大幅赤字と加入者減の影響」も見てください。

 

楽天グループの純利益は過去最高の大赤字へ

今回の楽天Gの決算で1Q~3Qの純利益が2,580億円の赤字となり、赤字額としては過去最高を記録しました。

2,580億円って…
楽天市場は好調に見えるから、やはり「あの口にしてはいけない事業」がヤバいの?

口にしていけない事業は「モバイル事業」のことだよね。
楽天は楽天モバイル事業で多額の投資を行っており、その設備投資が他の事業を全て食いつぶしているようです。

楽天Gの2022年12月期3Qの内容をみてみましょう。

 

  • 売上   :  1兆3,647億円(前年同期1兆2,005億円)
  • 経常利益 :  △3,120億円(前年同期△1,193億円)
  • 純利益  :  △2,580億円(前年同期△1,039億円)

 

売上は伸びているのに利益が大幅に悪化しているよ。
やっぱり、これは「口に出してはいけない事業」が食いつぶしているんだ!

3Qにおいて純利益の赤字は過去最高であり、楽天Gの経営悪化を示唆しています。

J塾長が今回の決算をみて楽天Gの投資判断として考えたい、いくつかのポイントを紹介します。

 

ポイント①モバイル加入者が減少している

今回の決算では2022年9月末の楽天モバイルの加入者数が455万回線と6月末の477万回戦から、22万回線減少しています。

楽天は人気の無料プランを廃止しており、これが原因で無料加入者の解約増えており、有料加入者数は純増に転換していると話しています。

そもそもビジネスをやっているのに無料加入者っておかしいよね?

無料で契約させてそのまま有料へ…って思ってたんだろうけど、そんなに上手くはいかなかったのだと思うよ。

楽天Gの発表では11月以降の契約者数は増加しているとしていますが、これもどの程度の話なのかは確認できません。

どちらにせよ、楽天モバイルへの新規加入者数が爆発的に増えることは考えられず、このままの加入者数では楽天モバイルの負債でグループ全体が自滅する可能性も考えられます。

三木谷社長は2023年12月には楽天モバイルの黒字化を計画していますが、今までの計画が予定通り進んでいないので、これも難しいのではないかと予想します。

 

ポイント②有利子負債がヤバイ金額になっている

今回の3Q決算の決算短信にある「連結財政状態計算書」を見ると、「社債及び借入金」の額が1兆7,625億円になっています。

つまり、将来的に返済する借金や社債の償還金が1.7兆円以上あることが分かります。

3Qの売上が1.3兆円だから、それを越える借金があるんだ。
これは凄い金額だよ。

実は前期末(2021年12月31日)の「社債及び借入金」の金額は、1兆3,552億円だから9ヵ月で有利子負債が4,073億円も増えているんだよ。
これも全てモバイル事業へ投入されたものだと考えますね。

今年の5月に楽天証券で「楽天モバイル債」が発行されました。

3年社債で0.72%の金利だったので微妙な印象を受けていましたが、利息の支払いと3年後には社債を償還する必要があります。

楽天グループ全体の負債は1.8兆円を超えており、全体の売上に匹敵する金額になっています。

投資対象として考えるとかなりやヤバイ印象を受けますね。
楽天モバイル債については下の記事を見てください。

 

ポイント③楽天グループの格付けがさらに引き下げに

世界中の投資家が参考にする「S&P」の格付けがさらに引き下げられる可能性が高まっています。

9月にはS&Pが楽天もモバイル事業を「計画性に不透明な部分が多い」と、格付けの引き下げを示唆しており、他の格付け会社も同様の動きをしているようです。

今の格付けはどうなの?

現在はBB+だけど、引き下げを念頭にクレジットウォッチ入っています。
今回の決算を理由に引き下げられる可能性がありますね。
一般的に投資対象なるのはBBBからなので、BB+でも問題だけどBBまで落ちると投機対象になるので、債券を発行してもお金が集まらない可能性があります。
とくに米国の利上げにより米国債等の利回りが高まっているので、楽天モバイル債のように0.72%程度の金利でお金を集めるのも難しくなるでしょう。

実は楽天モバイル債の格付けは、S&Pではなく日本のJCRが行っており、格付けは「A」でした。

格付け会社によって判断に違いが出るのは理解できますが、これからはAとはならないと思いますね。

実際に楽天Gの格付けが引き下げられると、資金の調達等に問題が出ることから、さらにモバイル事業の負債が楽天Gを苦しめることでしょう。

 

ポイント④楽天証券の株を売却して資金調達

2022年10月の報道では「みずほ証券が楽天証券ホールディングスが保有する楽天証券を800億円で取得する」ことが発表されました。

これは楽天証券株の19.9%に該当する株式で、みずほフィナンシャルグループが楽天グループとの事業提携を結んだことになります。

しかし、J塾長としてはこの動きに府が落ちません。
楽天証券は今年の5月に新規上場の準備を発表しており、近い将来にはIPOすると見られます。
今のタイミングで20%程度の株式を売却しても、楽天グループとしては何も得がないと思います。

じゃあなんで、20%も株を売ったの?

それだけモバイル事業での赤字が多く、資金が足りなくなっているんだと思うよ。

このタイミングで楽天証券株を売却して、楽天Gには恩恵がなく単に現金が欲しいから売却したと考えた方がわかりやすいと思います。

そこまで追い詰められているのでしょうか?

 

ポイント⑤そもそもNO.1携帯キャリアになれるの?

参照:楽天グループ決算資料

楽天Gの決算報告を見ると毎回のように「No.1携帯キャリア」を目指すと書かれていますが、本当に実現できるのかが不透明です。

現状ではNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクで約97%のシェアを持っている状況であり、トップのドコモは40%以上の加入者数を誇ります。
KDDIも猛追していますが、20年以上たっても順位は変わらないのが現実ですよね。

日本のスマホ事業の品質は各事業者で大きく変わらず、価格も総務省の意向で低価格が実現しています。
つまり価格競争のみでシェアを増やすのは難しい状況で、新規参入者が成り上がることは不可能だと考えてよいでしょう。

ここから3%程度のシェアしかない楽天モバイルが、ドコモを超える40%以上のシェアを取れると本当に考えているのでしょうか?

楽天Gの決算を見るたびに思いますよ。

楽天Gの説明を見ると「人口カバー率99%目標」だの「プラチナバンド取得」だの言っていますが、それはどこのキャリアも同じで特段差別化にはならないと考えます。

よってそれが加入者数3%からドコモを超える40%超になれる理由とは思えません。

カバー率を増やしたり品質を改善したりすることは、ドコモでもKDDIでもソフトバンクでも行っており、楽天モバイルがNo.1キャリアになるための要素にはならないと思いますね。

 

ポイント⑥売るに売れないモバイル事業

楽天Gとしてはモバイル事業がなければ、超優良企業なので「モバイル事業を売却しろ」との声が出ていても不思議ではありません。

また楽天Gの投資家のなかにもモバイル事業の負担により、配当等の還元を受けられず不満に思っている人も少なくないでしょう。

モバイル事業を売っちゃえばいいのかな?

それも着地点としては理想だけど、今さら楽天モバイルを買う企業があるかな?

ないと思うよ。
 
これだけの設備を引き受ける企業を探すのは難しと思うよね。
NTTやKDDI、ソフトバンクもシステムの違いもあるし、基地局がかぶっているから手は上げないと思う。
そうなれば…中華…さすがにこれは国が許さないでしょう。(国民も許しません)

売るに売れないモバイル事業」はこれからも楽天を苦しめると思います。

 

ポイント⑦これが終わりではない

楽天Gの説明を見ていると、現在の4Gの設備投資が終了したら、それからは楽になると受け取れる説明をしていますが、実際にはそれ以降も設備投資は続きます。

通信技術は日進月歩なのでこれからも新しいシステムが生まれ設備投資が必要になります。

そりゃそうだね。
携帯キャリアって常に新しい技術を導入して設備投資しているイメージがあるよ。

だから、ここを乗り切ったらあとは多額の利益が出る…なんて話はないと思います。

大切なのではNTTは40%のシェアで全国の設備投資ができるけど、楽天モバイルは3%のシェアで同じ設備投資をしないと競争できないところです。

これを考えると楽天モバイルの将来性に絶望さえ覚えますね。

 

楽天グループへの投資はどう考えても無理

今回の決算を見てJ塾長なりの投資判断をしましたが、どう考えても楽天Gへの投資は危険だと感じました。

また楽天G株を保有している株主は、売却も検討された方が良いのではないでしょうか?

あくまで個人的な見解で数字よりも感情的な内容でしたが、どう考えても楽天モバイルがNo.1キャリアにはなれるとは思えなく、これからも楽天GのEC事業を圧迫する将来しか見えてきません。

楽天モバイルがNo.1キャリアになるには、ドコモ、KDDI、ソフトバンクの加入者数がそれぞれ約5割減になる必要があり、それが叶えば楽天モバイルのシェアは45%になりトップです。
(ドコモ 40%->20%、KDDI 30%->15%、ソフトバンク 15%->7.5%)


そんなことが本当に起こると思いますか?

ないでしょう~(笑)

だから楽天Gへの投資は考えられません。

 

まとめ

楽天グループの2022年12月期第3四半期決算が発表されましたが、純利益で過去最高の赤字となりました。

原因は楽天モバイルの設備投資などで、楽天Gの借入金、社債等の有利子負債だけで1.7兆円を超えています。

2022年6月末と比較して9月末までの3ヵ月で、楽天モバイルの加入者数は22万人減少しており、これからも負債が増加する可能性があります。
然し、11月は加入者純増しているとの話もありますが、実際の数字は不明です。

楽天GのEC事業は好調であり、モバイル事業がなければ超優良企業なのは間違いなく、なんとしてもスムーズにモバイル事業から撤退することを願うばかりです。

なんども言いますが…

どう考えても今からNo.1キャリアにはなれないでしょう…

皆さんはどう思いますか?

 

※このブログはあくまでJ塾長の感想であり、投資を勧めるものではありません。投資は自己判断と責任でおこなってください。

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