不動産投資㉓実務編…投資不可の物件を投資可能にする条件

握手

昨日のブログではこれまで紹介してきたキャッシュフロー表と入力項目を利用して、不動産投資物件サイトに掲載されている実際の物件をシミュレーションしました。

残念ながらJ塾長の投資判断は「不可」でしたが、この物件を「投資可能」にする方法はないのでしょうか?

本日はキャッシュフロー表の連載の最後として、CFシミュレーションで投資不可と判断された物件を投資可能にする条件を探してみます。

このブログのシミュレーションは、「株式会社ファーストロジック:楽待」が一般公開している「CFシミュレーション」を使用します。😍(ありがとうございます)

1回目からのキャッシュフローのブログは「不動産投資⑯業者が作るキャッシュフローの計算に騙されるな」からご覧くださいね。

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物件概要とCFシミュレーションの結果

昨日シミュレーションした物件の概要と入力条件を再度紹介します。

  • 価格:4,200万円
  • 立地:埼玉県川口市
  • アクセス:駅から徒歩5分
  • 築年数:7年
  • 建物面積:98.93㎡
  • 敷地面積:82.49㎡
  • 構造:木造2階建て
  • 部屋数:5部屋
  • 表面利回り:7.09%
  • 満室時年収:297.78万円
  • 頭金:1200万円
  • 融資金利:2.6%
  • ローン期間:16年
  • 入居率:88%
  • 家賃下落率:1%
  • 管理費:5%
  • 年間修繕費:5%
  • 大規模修繕:3年後50万円、13年後150万円、23年後150万円
シミュレーション画面結果
(引用:株式会社ファーストロジック 楽待 CFシミュレーション)

CFシミュレーションの結果は投資開始からキャッシュフローとしては赤字が続き、ローン返済が終わる16年後には累計1,700万円以上もの赤字になっています。

また累計赤字が解消されるのは、投資開始から38年後であることもわかりました。

J塾長の判断ではこの物件における投資は不可で、購入当初からキャッシュフローは残らず、状況によっては持ち出しによる支払いが必要になる物件です。

それではこの物件を投資可能物件にするにはどのようにすればよいのでしょうか?

「えっそんなことができるの?」🤔

そうですね、インターネットに掲載された物件価格などの条件は、交渉により有利に変更できる場合があります。

そのためには、どのポイントを交渉テーブルに上げるかが大切です。😎ニヤ

物件価格の交渉

まずは物件価格を交渉します。

この物件の販売価格は4,200万円ですが、果たして交渉の余地はあるのでしょうか?

J塾長のこれまでの経験では、インターネット上に掲載されている物件の多くは、価格の交渉に応じてもらえます。

もちろん交渉イコール値引きではありません。😎

なかには値引きを意識して値段を高く設定している物件もあることから、交渉によりスムーズに値引きを受けられるケースも少なくありません。

価格交渉で5%の値引きを受けられたと仮定した場合の販売価格は3,990万円、これだけで16年目の累計キャッシュフローが1,757万円の赤字から1,588万円の赤字に改善しました。

表面利回りとローン金利の見直し(イールドギャップ)

この物件の投資では表面利回りが7.09%に対して、ローン金利が2.6%でイールドギャップが「4.49%」と低水準です。

またこの数字はあくまで表面利回りであり、実質利回りで計算するとさらに低くなるでしょう。

「イールドギャップを改善させるとキャッシュフローが良くなるの?」😅

そうです、いくつかの方法でイールドギャップを改善できれば、投資不可の物件でも可能性が見えてきます。

イールドギャップを改善させるには

  • 実質利回りを上げる
  • ローン金利を下げる

この2つしかありません。

家賃の設定はエリアでほぼ一定であることから、それを上げるのは難しいでしょう。

今回の物件でできることは、2.6%のローン金利を下げる方法を探すのが有効だと思います。

たとえば都市銀行などの大手銀行では、1.6%程度の不動産投資ローンを提供しています。

審査には条件等がありますが、シミュレーションの2.6%から1.6%にできれば、キャッシュフローも大きく改善します。

販売価格を3,990万円、ローン金利を1.6%にすることで16年目の累計赤字が1,368万円にさらに改善しました。

自己管理を検討する

昨日のCFシミュレーションでは不動産の管理は管理業者に委託し、委託費用として家賃の5%を経費にしていました。

これを「自己管理」として、自分で管理することで家賃収入が5%増え、キャッシュフローが改善されます。

管理費を0%したところ16年目の累計赤字が1,232万円に改善されました。

大規模修繕費の見直し

これは少し難しいのですが、大規模修繕費を見直すことも可能です。

たとえば階段部分の錆除去、塗装などはDIYレベルでも可能です。

また洗面台、シンクさらにトイレの交換も、いまや大家さんが自分でおこなう時代です。

ユーチューブでも多くの自己管理大家さんが、業者を使わず自分で修繕をおこなっており、電気や水道管などのみ専門業者へ依頼しています。

大規模修繕の13年後と23年後を150万円から100万円に変更すると、16年目の累計赤字は1,182万円です。

「ここまでやってやっと累計1182万円の赤字かぁwww」😖

「やっぱり無理だなぁ」😰

そうですね、この物件に対する投資は難しいかもしれませんね、それでも大きな変化がキャッシュフロー表におきたんですよ。

累計黒字が10年早まった

CF修正シミュレーション結果

表でわかるようにシミュレーションを修正しても、キャッシュフローは投資初期から赤字の状態は変わりませんでした。

修正CFシミュレーションで変更した項目を見てみましょう。

  • 価格:3,990万円
  • 融資金利:1.6%
  • 管理費:0%
  • 年間修繕費:5%
  • 大規模修繕:3年後50万円、13年後100万円、23年後100万円

この5項目の見直しを実施しました。

結果はやはり投資可能にはなりませんでしたが、累計キャッシュフローが大きく改善したことがわかります。

とくに累計赤字が黒字に転換するのが29年目と、当初のシミュレーションより約10年も早まりました。

「うーん、それでも29年かかるのぉwww」😥

そうですね、それでもシミュレーションを見直して、価格やローンを交渉することでキャッシュフローが改善することはわかったと思います。😎

このブログで理解してもらいたいのは、単純に一回だけのシミュレーションで判断しないで、対策する事で投資可能になる物件も少なくないことです。

また今回は入居率を88%と、厳しく設定しています。

駅近物件なので実際は90%〜93%程度でも問題がないと思いますが、現場を見ないと判断できません。

もし入居率が90%以上に変更できれば、さらにキャッシュフローは改善されるでしょう。

とくに不動産投資は人間が相手の投資なので、時間をかけて検討することも大切ですね。😎

不動産/REIT