【敵対的TOB】SBIHDが新生銀行に仕掛けた買収の意味

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2021年9月9日に入ったニュースで、SBIホールディングス(SBIHD)が、新生銀行に対してTOBによる買収を実施することが判明しました。

(「SBIHDが新生銀に1株2000円でTOB、48%に出資引き上げへ」ブルームバーグ)

先日、ENEOSHDが子会社のNIPPOに対するTOBを実施するニュースをブログで取り上げましたが、今回のSBIHDの案件は「敵対的TOB」と呼ばれる手法による買収です。

 

本実のブログは敵対的TOBについて投資初心者向けに解説します。

TOBについては「【NIPPOにインサイダー疑惑】ENEOSによるTOBで」をご覧ください。

 

 

SBIHDが新生銀行の公開買い付けを発表

新生銀行は1998年に破綻した日本長期信用銀行が外資ファンドに売却された後に設立された銀行で、傘下の企業としてアプラス、レイクなどの金融会社があります。

SBIHDは新生銀行の株式を20.32%保有しており、現状でも筆頭株主です。

ちなみに新生銀行の自社保有株は、16.88%とSBIHDより保有数で劣っています。(2021年8月発表 第一四半期報告書)

 

今の時点でもSBIHDが筆頭株主なのに、なぜTOBを行う必要があるの?

SBIHDは新生銀行との業務連携を模索してきましたが、一定分野のみしか実現されていません。
SBIHDが求める証券分野などでは先送りされていたようです。

そこで48%の株式を保有することで、実質上の傘下企業にして事業連携を進める狙いがあります。

 

SBIHDが敵対的TOBに踏み切った訳

でもSBIHDも筆頭株主なんだから、話し合いで合意はできなかったの?

今回のTOBは新生銀行への通告が行われていないことから、突然実施される敵対的TOBです。

つまりSBIHDは新生銀行との協議ではらちがあかないことから、強硬策に打って出たと考えられます。

新生銀行は寝耳に水なので、びっくりしたのではないでしょうか?

 

敵対的TOBは買収される企業が事前に了承せずにTOBを実施するもので、新生銀行も発表翌日の9月9日には自社のホームページにて「SBI ホールディングス株式会社および SBI 地銀ホールディングスによる当行株式の公開買付けに関するお知らせ」を掲載しています。

 

中身はなんだった?

新生銀行は「今回のTOBが事前に相談された案件ではなく、新生銀行としては納得していない」、さらに「新生銀行はTOBに賛成していないので、売却には慎重な対応をお願いしたい」と書かれてあります。

つまり、新生銀行の対応が決まるまでは、SBIHDのTOBに応募しないでほしいとの内容でした。
まぁ敵対的TOBであれば敵の買収を阻止するのが買収される側の対応なので、まずは新生銀行としての立ち位置を表明したことになりますね。


新生銀行の株価の動き

今回の新生銀行へのTOBではSBIHDから2,000円の買付け価格が提示されています。

TOBが発表される前の9月8日の終値が1,440円、SBIHDの買い付け価格が2,000円なので、560円のプレミアムが加算されます。

プレミアム率で表すと38.8%なので敵対的TOBとしては、妥当な価格だと思います。

 

翌日9月9日のチャートはもちろんSTOP高で、2,000円まで数日で上昇すると思われます。

 

2,000円がTOBの買い付け価格だから、市場価格も2,000まで上昇するんだね。

そうですね。
SBIHDは公開で買付もしますが、市場からも買付します。

つまり株式市場に2,000円で大量の買いを入れて、2,000円で売却希望の株式をドンドン購入する手法です。

どちらにしてもTOB価格の2,000円はプレミアム付きの割高価格なのでFIRE銘柄としては利用できません。

 

来週には株価が2,000円になりその近辺を推移する動きになるでしょう。

 

SBIHDが新生銀行に敵対した理由

対立

SBIHDは筆頭株主なのになぜ新生銀行に敵対したの?

SBIHDは新生銀行との提携案件をもっと進めたかったらしいのですが、新生銀行側が乗り気ではなっかたようです。

そのなかで、今年3月に新生銀行がSBIHDのライバル企業である「マネックス証券」と業務提携したことも敵対したきっかけだと推測されますね。

筆頭株主のライバル企業と業務提携するのは…
その意味では最初に敵対行動をとったのは、新生銀行とも言えるね。

だから、SBIHDは敵対的TOBが成功した暁には、会長の交代など経営陣の見直しを要求すると発表しています。

 

新生銀行の上場は維持の予定

SBIHDが取得を目指す株式は全体の48%で、過半数をもとめるものではありません。

日本では銀行を買収する場合、さまざまな法律で規制されており、各種認可を国から得る必要があります。

そこでSBIHDは各種認可のいらない48%を目標に設定し、新生銀行を傘下に収める計画です。

 

新生銀行の株はどうなるの?

全株式をTOBするのでないことから、上場は維されると思います。
ただし、今回の2,000円の株価は、あくまでプレミアム価格なので、TOBが終了した時点で業績による価格に戻る可能性もあり、1,500程度までの下落も予想できます。

またSBIHDのTOBが失敗し48%の取得に届かなかった場合も株価が下落する可能性があります。

どちらにしても買収終了後には株価の調整が入ると思うので、FIRE目的の投資初心者は手を出さない方が賢明ですね。

 

本日はSBIホールディングスによる新生銀行のTOBについて紹介しました。

TOBにもいろいろな形があるので、理解できれば流れが見えてきます。

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