SBIがアルヒにTOBを発表!株価上昇&高配当でも要注意

アルヒTOB

2022年9月14日、「SBIホールディングス(8473)」は、「フラット35(住宅ローン)」販売首位の「アルヒ(7198)」に対して株式公開買い付け(TOB)を実施すると発表しました。

最近、SBIホールディングス(SBIHD)は、TOBの話題が多いような印象を受けるね。
最近では新生銀行(8303)のTOBでも話題だったよね。

本日のブログはSBIホールディングスが仕掛ける「アルヒ(7198)」に対するTOBについて、投資対象としての考えを紹介します。

 

SBIHDの新生銀行に対するTOBの話題は「新生銀行TOBはSBIの勝利!でも新生銀行株は下落予想」も見てください。

 

アルヒ(7198)の事業は?

SBIHDは9月4日、住宅ローン大手の「アルヒ(7198)」に対して、株式公開買い付け(TOB)を実施することを発表しました。

 

アルヒと言えば以前に「投資用マンションの不正融資問題」で話題になった会社だよね。
実際にはどのような会社なの?

アルヒは住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携して提供する住宅ローン「フラット35」の販売首位の金融機関(ノンバンク)だよ。
住宅ローン専門会社と思っても大丈夫だよ。

アルヒのサイトではフラット35の取扱いが12年連続で首位であること、さらに自社住宅ローンや他社住宅ローンのとり扱いも行っていることが紹介されています。

2020年当時に話題になった不正融資問題とは、アルヒが取り扱っている事業用融資(投資マンション用融資)

の審査において、一定の不正行為があったとされる問題です。

通常なら審査に通らない若年層の投資家が、年収を改ざんすることで事業融資を受けて、相場よりも高い投資用マンションをを購入した問題です。

またこの時のスキームではアルヒの融資担当者だけでなく、不動産販売会社も絡んでおり、最終的に自己破産を選択した投資家もいました。

過去には「かぼちゃの馬車」の不正融資問題も話題になったので、アルヒのずさんな融資体制も問題視されたと記憶しています。

かぼちゃの馬車については下の記事でも取り扱っていますので、ぜひ見てください。

 

SBIノンバンクホールディングスがアルヒにTOBを実施

今回はSBIHDがTOBを発表しましたが、実際にTOBを実施するのはSBIHD傘下の「SBIノンバンクホールディングス」です。

SBIHDが直接TOBを仕掛けるのではないんだね。

SBIノンバンクホールディングスは、SBIグループのノンバンク部門の統括企業で、「ノンバンク部門の持ち株会社」だと考えていいと思うよ。

今回のTOBにおける買付代金は262億9500万円、買付予定株数は発行済み株式総数の51%を予定しており、TOBが成功しても上場は維持されます。

気になる買付価格はいくら?

TOBが発表された9月14日のアルヒの終値は1,017円でした。

それに対して買付価格は1,500円なので、47.92%のプレミアムを付けています

TOBにおけるプレミアムの話題は下のブログも参考にしてください。

 

今回のTOBは買付期間が9月15日~10月31日までとしています。

買い付け予定は51%が上限ですが、下限としては33.4%(SBIHD持ち分2.6%含む)で、アルヒもSBIHDのTOBに賛同していることからTOBは成立すると思われます。

 

TOBにより株価は急上昇へ

アルヒチャート
参照:Yahoo!ファイナンス

TOBの発表により9月15日の株価はストップ高の1,317円まで急騰、翌日の9月16日も90円高(6.83%)の1、407円となりました。

TOB価格が1,500円だから、1,500円近辺まで価格が寄っていくんだよね。

そうだね。
このままTOB終了の10月末までは、1,400円~1,500円の間を推移すると考えられますね。

 

アルヒへの投資を考える

アルヒの2023年3月期第1四半期(1Q)を見ると、大幅な業績悪化が見られます。

 

  • 売上   :  59.4億円(前年同期比13%減)
  • 経常利益 :  12.2億円(前年同期比33%減)
  • 純利益  :  8.4億円(前年同期比33%減)

アルヒの年間配当予想は1株あたり60円で、株価が1,407円で考えると配当利回りは4.26%と高配当レベルです。

PERは11.56倍、PBRは1.57倍、ミックス係数は18.14倍なので、割安状況ではないと思います。

 

業績が悪化しており、年間配当が予定の60円を維持できるかが疑問であり、配当利回りも低下する恐れがあります。
また株価はTOBのプレミアムにより1,500円近辺まで上昇していますが、TOBの終了で1,000円水準まで低下すると思います。

見た目では株価は上昇、配当利回りも高いことから、FIRE(ファイア)銘柄として注目できますが、あくまで見せかけと思われることから投資対象にはならないと考えられます。

 

アルヒ株の保有者は売却チャンスと考える

アルヒは業績が大幅に悪化しており、SBIHD傘下に入っても直ぐに改善されるとは思えません。

FIRE(ファイア)投資としては論外ですが、現在アルヒ株を保有している人は売却を検討することもおすすめです。

前回TOBでSBIHD傘下に入った新生銀行は、TOB買付価格が2,000円でした。
TOBの成立から一時的に2,400円以上に上昇しましたが、現在は1,900円水準なのでTOB価格よりも下落した状況です。
1Qをみると売上は4%増ですが、経常利益は赤字に転落、TOBの効果が見えていません。
TOBの成立と業績は関係ないので、業績をしっかり確認して投資を判断するべきです。

同じようにアルヒもTOBが成立しSBIHD傘下に入っても、劇的に業績が改善するとは思えません。

また今回のプレミアムが43%と高いので、TOB後の下落幅も大きいのではないかと推測します。

だから、株主は今の間に売却した方がいいんだね。

将来的にはSBIグループとして業績も拡大すると思いますが、現状すぐに改善されるとは思えません。

とくに新規投資は難しい銘柄だと思います。

 

まとめ

アルヒはもともとSBIグループの「SBIモーゲージ」が前身の会社ですが、2014年にアメリカの大手ファンド「カーライル」に売却していました。

今回は手放した株を買い戻し、SBIHDの完全子会社化することが目的です。

TOBのプレミアムが43%と高い理由は、アルヒの価値ではなくカーライルに考慮した価格であることが理由だとも考えられますね。

アルヒの業績は悪化しており、TOB後の株価は1,500円を維持できない可能性があります。

配当利回りが4.26%と高配当利回りですが、減配リスクもあるので投資する場合は、よく検討した方がよいでしょう。

もし、投資を考えているのであれば、TOBが終了した年末あたりで考えても遅くないと思います。

 

※このブログはあくまでJ塾長の感想であり、投資を勧めるものではありません。投資は自己判断と責任でおこなってください。

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