【欧州連合(EU)もテーパリング開始か】ユーロ圏経済の復活
先日、米国FRB議長の講演のなかで、今年中のテーパリングの開始が示唆されました。
このように国の中央銀行のトップが、自身の講演やインタヴューで政策について述べることは珍しくなく、それらリークされた情報により投資家等は事前の対策を行います。
コロナの影響から脱出しつつあるアメリカ経済ですが、これはアメリカだけの状況ではなく、EU連合のユーロ経済も着実に回復しているようです。
本日のブログは欧州・ユーロ圏経済のテーパリング開始について紹介します。
アメリカのテーパリングについては「【量的緩和は年内維持】FRB議長テーパリングは年後半に?」をご覧ください。
ユーロ圏のインフレ率はなんと3.0%超
Yahoo!ニュースに掲載されたロイタ―の記事を見ると、ユーロ圏のインフレ率が前年比3.0%を超えたことが記載されています。
(「ユーロ圏インフレ、ECB予想を上回るリスク=独連銀総裁」ロイター)
この数値は「8月消費者物価指数(CPI)」の速報値から出されたもので、10年ぶりに高い伸びを出しています。
EUもコロナで経済が悪化していたのに、気づかない間にインフレが3.0%増になっていたんだね。
日本では2.0%の目標も実現不可能と言われているのに…やはり経済圏が広いと回復も早いですね。
EUの中央銀行である「ECB(欧州中央銀行)」は、コロナ対策の一環として「PEPP(パンデミック緊急供給プログラム)」を実施しており、債券購入により市場へ資金注入政策をおこなっています。
この前聞いた!
日本やアメリカと同じ量的緩和だよね。
よく覚えていたね。
ECBも日本やアメリカと同じく「低金利政策」と「PEPPによる量的緩和政策」を実施しています。
中央銀行がコロナ禍でできる主な経済対策は、金利低下と量的緩和などに限られていることがわかりますね。
日本では日銀によるETF、J-REITの買い支えなどの株価対策も行われていましたが、それは既に縮小されています。
インフレ加速でテーパリング開始か?
ユーロ圏の中央銀行であるECBは、EU加盟国の中央銀行をまとめる役目で、理事会は各国の代表(中央銀行総裁レベル)により構成されています。
そのなかでオーストリア中銀総裁やオランダ中銀総裁、フランス中銀行総裁などが、相次いで量的緩和の縮小を意味するテーパリングの開始に言及しています。
そーかぁ
EUは欧州各国の連合経済だから、各国の中央銀行のトップによる理事会で政策が決められるんだね。
EUの加盟国は27ヵ国ですが、オーストリア、オランダ、フランス、ドイツなどの大国は、インフレを理由にテーパリングの開始を推進しています。
しかし、3.0%のインフレは小国にも起きているのでしょうか?
もしインフレが大国だけの現象であれば、経済規模が小さいEU加盟国はテーパリングにより厳しい経済状況に陥るかもしれません。
たしかにフランスやドイツとギリシャ、クロアチアでは経済基盤が違うよね。
とくにギリシャやポルトガル、クロアチアなどは観光業がメインの国ですから、コロナ禍で経済は疲弊しています。
観光は回復していないので、ECBのテーパリング開始はこのような小国にとって厳しい選択になりそうです。
もともとPEPPは2022年3月が期限の政策でしたが、はやければ11月~12月に終了が決定される見通しです。
大国の都合だけで経済政策を進めると、過去のギリシャ危機のような経済混乱がおこる可能性があります。
ギリシャ以外にもスペインやポルトガルなど経済基盤が弱い国は大丈夫なのでしょうか?
ユーロ圏の利上げはあるのか?
テーパリングを開始したあとは利上げの順番ですが、ECB総裁はインフレ7月22日に「インフレ率が持続帝に2%になると確信がないかぎり利上げをしない」と話しています。
(ロイター「ECB理事会後のラガルド総裁発言要旨」)
この発言を見ると「PEPPを終了した後の経済状況を確認し、インフレ率が継続的に2.0%を達成できることが確認しない限り利上げはしない」と読めます。
アメリカ同様、まずはテーパリングを実施し、それから利上げについては検討するスタンスですね。
株価に与える影響は少ないと思います。
なんか遅れているぞ日本!がんばれ
アメリカもEUもコロナの影響から少しづつ脱出している感じがしますね。
しかし日本はインフレターゲットを2.0%に据え置いていますが、実質的には「無理」だと言われている状況で悲しい限りです。
今回もEU経済について見ていると気になる言葉が出てきました。
それが「賃金」です。
ECB要人の発言のなかに「賃金が上がるとおのずとインフレ率も上昇し安定する」との発言を見かけました。
その通り!
日本のインフレが全く進まない原因は、やはり賃金が上がらないことが原因だと思います。
昔はベースアップやボーナス年間6ヵ月は標準でしたが、近年では一部の大企業と公務員以外は、賃金アップは微々たるものです。
企業は賃金を上げないことで経済が回らず、そのツケが自社の業績に来ていることをそろそろ受け止める時期ですね。
賃金が上がらないのに物価が上がる訳ないでしょう?
だれでもわかる簡単な理屈を見ないふりして、税金で経済対策をおこなっているのが日本の現状です。
思い切った賃上げ政策を実施することも重要ではいないでしょうか?